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2022年01月18日 14:29 更新

【医師監修】妊娠2ヶ月のママと赤ちゃんの様子(妊娠4週、5週、6週、7週)

妊娠2ヶ月は尿検査で妊娠が判明するころ。赤ちゃんの重要な器官が育つ時期のため、食生活や健康管理には注意が必要です。また、つわりの症状が出るママも。妊娠2ヶ月のママと赤ちゃんの様子、心がけたいことなどについてまとめました。

妊娠2ヶ月に見られるママの体の変化

妊娠2ヶ月で自分の妊娠を検査薬で確認した女性
Lazy dummy

※画像はイメージです

予定日を過ぎても月経が来ない、高温期が続いている、といったことから「妊娠したかも?」と思い始めるころ。ママの体にはどのような変化が起きているのでしょうか?

1. 妊娠反応で陽性が出始める

妊娠 すると「ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)」ホルモンが分泌されるようになります。hCGホルモンは妊娠の維持に必要なホルモンで、妊娠4週ごろからは尿からも検出されるようになります[*1]。

市販の妊娠検査キットはhCGホルモンが出ているかどうかで妊娠を確認しますが、こうしたキットでは初期流産や子宮以外の場所に妊娠する異所性妊娠(子宮外妊娠)との判別はできないので、自分で検査して陽性が出たら、医療機関で妊娠と確定できるかどうかを判別してもらいましょう 。

なお、妊娠検査キットでは妊娠4週より早い時期の“フライング検査”でも妊娠反応を示すことがありますが、確実なのは妊娠4週以降です。

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妊娠検査薬について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎妊娠検査薬はいつから陽性が出る?

2. つわりの症状が出始める

個人差はありますが、妊娠5~6週ごろから「つわり」の症状が出始めます。つわりは一般的に初めて出産する妊婦さんに多く、全体で50~80%の妊婦が経験すると言われています[*2]。
関連記事 ▶︎つわりの時期はいつから?

つわりの症状はさまざまですが、吐き気や嘔吐が代表的です。中には、今まで好きだったものが食べられなくなったり、特定の食べ物ばかり食べたくなったり、食の好みが変わることもあるでしょう。

ほかにも、だるさや眠気をいつも以上に感じる人もいます。頭痛や唾液量の増加といった変化が出ることもあり、人によって症状やその程度は違います。
関連記事 ▶︎つわり症状ってどんな感じ?

つわりがつらいときは無理をせず、安静に過ごすようにしましょう。また、趣味や楽しいことで気分を紛らわせるのもおすすめです。空腹時につわりの症状を強く感じる人が多いことから、朝起きてすぐに軽食を食べたり、外出先でもキャンディーやグミなどを口にしたりすると、症状が和らぐ人も多いようです。
関連記事 ▶︎つわりを軽減するには?

つわりがつらくて、仕事にも支障をきたすときは医師にも相談を。「母性健康管理指導事項連絡カード」というものを書いてもらえれば、事業主に対して勤務時間の短縮などをお願いできます。
関連記事 ▶︎つわり中の仕事の対応方法

この時期の赤ちゃんは、ママの体に蓄えられている栄養だけでも十分に成長できると言われています。食欲がない、吐き気がする、といったときは、「食べたいものを食べられるときに食べる」ようにしましょう。

ただし、つわりの症状がどんどん悪化し、嘔吐による脱水や栄養障害、5%以上の体重減少があるときは「妊娠悪阻(おそ)」と診断され、治療が必要となります。
関連記事 ▶︎つわりで点滴が必要なのはどんなとき?

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妊娠2ヶ月の各週の様子について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎妊娠4週まとめ|どんな時期? 初期症状と赤ちゃんの状態、起こりうるリスク
関連記事 ▶︎妊娠5週に気を付けたいこと4つと特徴的な症状
関連記事 ▶︎妊娠6週の妊婦の変化と赤ちゃんの成長、出血などの注意点
関連記事 ▶︎妊娠7週|赤ちゃんの状態・妊婦の症状と注意したいこと

妊娠2ヶ月の赤ちゃんの様子

妊娠5週から7週は、医学的には「胎芽期」と呼ばれます(妊娠10週未満を胎芽期とする説もあります)。胎児になる前の時期ですが、赤ちゃんの成長は著しく、日々、大事な器官が作られていきます。

赤ちゃんの姿・大きさ|エコーで赤ちゃんの様子が見える

妊娠2ヶ月ごろの赤ちゃんは、超音波検査ではだるまのような形に見えます。
妊娠7週で赤ちゃんの頭臀長(頭からおしりまでの長さ)は1㎝ほど。まだまだ本当にわずかな大きさですが、赤ちゃんは日に日に成長しています。

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このころのエコー写真について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
▶︎妊娠6週のエコー写真|心拍が確認できるころ
▶︎妊娠7週のエコー写真|胎盤が作られ始めるころ

赤ちゃんの発育|重要な器官が作られる大切な時期

妊娠5週から11週ごろ(妊娠2ヶ月の前半から妊娠3ヶ月の終わり) は「器官形成期 」と呼ばれ、神経系・呼吸器系・循環器系・消化器系など主要な臓器が作られる大切な時期。

たとえば妊娠5週 で中枢神経・心臓、妊娠6週で眼・耳・腕・脚、妊娠7週で肺の形成が始まります。

妊婦健診では何を診る? 妊娠2ヶ月の検査内容

妊娠2ヶ月になれば、妊娠しているかどうか、医療機関で確認できるようになります。

初めて医療機関の産科を訪れるときはドキドキしますよね。健診では、どのようなことを確認するのでしょうか。

初診時の健診内容

初診時は、問診、検尿による妊娠反応の検査、身長・体重・血圧測定、内診、外診などを行います。

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妊娠時の初診について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎初診のタイミングはいつ?持参するもの、服装、初診でやること

2回目からの基本的な健診項目

ママや赤ちゃんの健康状態をチェックするため、妊婦健診では毎回、尿検査と血圧測定を行います。これは「妊娠高血圧症候群」や「妊娠糖尿病」を早期に発見するためです。

また体重測定をして、妊娠中の体重管理を行います。ほかにむくみの有無や腹囲測定、子宮底長測定などが行われることもあります。

必要に応じて行う検査

尿検査で妊娠判定が陽性となっても、受精卵が子宮以外の場所に着床している「異所性妊娠」の可能性もあります。この場合は残念ながら、妊娠とはなりません。

そのため妊娠初期には、「経腟プローブ」と呼ばれる検査器具を腟の中に挿入して画像診断を行う「経腟超音波検査」を行います。この検査により、子宮内部に赤ちゃんの入った袋「胎嚢(たいのう)」があるかどうかを確認。一般的に妊娠5週に入ると、ほぼ100%の確率で子宮内の胎嚢が確認できると言われています[*3]。

また経腟超音波検査によって、妊娠5週後半から6週前半ごろには、赤ちゃんの心臓が動いている様子(心拍)も確認できるように。心拍が確認されれば、妊娠していることが確定します。

中には子宮内に胎嚢はあるのに、赤ちゃんの心拍が確認できない場合もあります。また、一度、確認された心拍が、次の健診で無くなっていることもあります。この場合は「稽留(けいりゅう)流産」の可能性が疑われます。

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妊婦健診について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎妊婦健診はいつから、どんな検査を行うの? 補助券を使えるタイミングは?
関連記事 ▶︎妊婦健診ってどんな服装で行けばいいの?

妊娠2ヶ月の過ごし方、3つの注意点

妊娠していることが確定し、うれしい気持ちでいっぱいになる人も多いはず。

一方、つわりで体調がすぐれない人や、妊娠の実感がわかない人もいるでしょう。妊娠2ヶ月は、どのように過ごしたら良いでしょうか。

1. 自分に合った方法でつわりを上手に乗り切ろう

個人差はありますが、妊娠2ヶ月の後半になるにつれ、つわりによる「吐き気」や「嘔吐」で、苦しい思いをするママが増えてきます。

一般的に、空腹のときに症状が強まる人が多いので、食べられるときに、食べられるものを口にするのがおすすめです。水分補給も忘れずに。

つわりは妊娠16週ごろには自然に治まります。神経質になりすぎると、余計につわりの症状を強く感じることもあります。上手に気分転換するなどして、この時期を乗り切りましょう。

2. 不要な長時間の外出や旅行は避けよう

妊娠中に旅行やレジャーを楽しんでおこう、と考える人もいるかもしれません。“マタ旅”などとして、妊娠中の旅行を楽しむ様子がSNSにもたくさんアップされています。

しかし、過去に行われた調査では、あるレジャー施設から産科へ緊急搬送された妊婦が3年間で約90人もいた、という結果があります。中には重症例もあり、入院が必要になったケースもある、とのこと。

また海外旅行でも、普段とは違う環境で思いがけず出血やおなかの張りなどに見舞われるかもしれません。地域によっては、赤ちゃんに影響する感染症にかかってしまう可能性もあります。旅行やレジャーは出産後でも楽しめること。「自分は大丈夫」と安易に考えず、妊娠中は長時間の外出や旅行は避けた方が良さそうです。

3. アルコールとタバコは厳禁、感染症やサプリメントにも注意を

妊娠2ヶ月は赤ちゃんの大事な器官が作られる時期。

多くの場合でそれほど大きな心配はないとされていますが、X線検査(レントゲン検査)や薬の内服は、この時期、とくに慎重に行いたいところ。別の病気で医療機関にかかった際は、妊娠やその可能性があることをかならず伝えるようにしましょう。

タバコやアルコールからも、さまざまな影響が懸念されます。ママ自身はもちろん同居家族にも禁煙をお願いし、受動喫煙を防ぎましょう。

また、妊婦さんが感染するとお腹のなかで赤ちゃんにうつり影響を及ぼす、風疹、サイトメガロウイルス、りんご病(ヒトパルボウイルスB19)、梅毒、トキソプラズマなどの病気にも注意が必要です。

近年は、特に風疹の流行が問題視されています。妊娠中の女性が風疹にかかると、生まれてくる赤ちゃんに「先天性風疹症候群」という障害が出る可能性が高くなります。妊娠を希望している女性は妊娠前に接種しておくことが大切で、同居する家族にもワクチンの接種をしておいてもらいましょう。

妊娠中は風疹ワクチンの接種ができないため、ワクチン未接種で妊娠した場合や接種歴があっても抗体価が低い場合は、流行している地域では特に不要な外出を控えるなどの対策が必要になります。

なお、妊娠初期に葉酸 を摂取することで、赤ちゃんに「神経管閉鎖障害」が起きるリスクを減らせることが分かっています。そのため葉酸は妊娠3ヶ月 ごろまでは欠かせない栄養素。厚生労働省では、野菜を多く含むバランスの良い食事を心がけるとともに、1日0.4mg(400μg)を目安に栄養補助食品からも葉酸摂取 することも勧めています。

ただし1日1mg(1000μg)以上の過剰摂取は望ましくないので、サプリメントの摂りすぎには注意しましょう[*4]。

まとめ

妊娠2ヶ月は、妊娠していることが分かり、喜びでいっぱいになる反面、つわりが始まったり、流産を心配したり、心身ともにデリケートな時期。

つわりの程度や症状には個人差がありますが、食べられるものを食べる、気分を紛らわせるなどの工夫を。一方、中枢神経や心臓、眼や耳など、赤ちゃんの大切な器官が作られる時期なのでアルコールやタバコ、風疹の感染などには細心の注意が必要です。長時間の外出や旅行なども控えた方が良いでしょう。

(文:剣崎友里恵、監修:中林稔先生)

参考文献
[*1]『病気がみえるvol.10 産科第3版』p6
[*2]『病気がみえるvol.10 産科第3版』p82
[*3]日産婦学会監修_Babyプラス9p
[*4]厚生労働省「神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について」

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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