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【妊娠出産のウソ&ホント】妊娠中に好きになった食べ物が赤ちゃんの好物になるってホント?

尾西芳子(産婦人科専門医)

将来妊娠したい、したくないに関わらず、妊娠・出産は未知の世界。出産未経験の女性たちが感じている妊娠・出産にまつわる素朴なギモンについて、産婦人科専門医の尾西芳子先生がわかりやすく教えてくれます。ウソかホントかわからない情報に惑わされずに、正しい知識を身につけましょう!

おなかの中の赤ちゃんは、母親の胎盤を通して栄養を受け取り、成長をしています。つまり、母親が摂った栄養がそのまま赤ちゃんの栄養になっているということ。では、妊娠中に急に好きになった食べ物というのは、赤ちゃんの好物ということなのでしょうか? 今回は、そんな妊娠中の味覚にまつわるウソ&ホントに迫りました!

本日の「ソボクな疑問」

Q.妊娠中に好きになった食べ物が赤ちゃんの好物になるってホント?

<読者の声>

・妊娠中に味覚は変わるとは聞きますが、赤ちゃんの好みにはならないと思います。(24歳/金融・証券/営業職)
・うちの母親はフルーツとか特別好きでもないのに、妊娠中はやたら食べたくなったらしい。私は大のフルーツ好き。(27歳/機械・精密機器/秘書・アシスタント職)
・母親が妊娠中に梅干しにはまっていたらしいが、私はそんなに好きじゃないから、ならないと思う。(28歳/食品・飲料/販売職・サービス系)
・姉が上の子がおなかにいたときと、下の子がおなかにいたときで多少の好みの差があったので、何かあるんじゃないかとは思う。(32歳/金属・鉄鋼・化学/秘書・アシスタント職)

尾西先生のアンサーは!?

答えは……
ウソです!

そもそも母親の血液にのった栄養が胎盤を通して赤ちゃんに行っているため、母親が食べたものの味を赤ちゃんがじかに感じているわけではありません。

たしかに妊娠中に味覚が変わる人は多いですが、だからといって、突然好きになった食べ物=赤ちゃんの好物であるかというと、関係ないと思います。「上の子がおなかにいたときと、下の子がおなかにいたときとで多少の好みの差があった」という声もありますが、そのときどきのホルモンバランスによっても味覚は変わりますので、やはり赤ちゃんの好物だからという理由にはなりません。

ちなみに、味覚の変化については、妊娠中は体に害のあるものを本能的に避けるようにできているという説があります。たとえば生魚の匂いがダメになる人は多いですが、これは、生魚などに含まれている「アンモニア」という、体にあまりよくない成分に反応しているのではないかと言われています。そのため、アンモニアを中和する成分である酸=酸っぱいものを好む人が増えるのだという説を唱えている先生もいらっしゃいます。

そういったことを踏まえて、もし実際に「妊娠中に好きになった食べ物が赤ちゃんの好物になった」としても、それは“たまたま”でしょう。ですから、最近は牛乳や小麦、卵など子どもの食物アレルギーを気にして妊娠中は食べるのを避けているお母さんもけっこういらっしゃいますが、必要以上に敏感になる必要はありませんよ。むしろ、牛乳は妊娠中に必要なカルシウムが豊富ですし、卵もタンパク源として非常にバランスのいい食材ですので、きちんととってバランスのいい食生活を心がけていただきたいですね。

(取材協力:尾西芳子、文:ヨダヒロコ、撮影:masaco)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.19)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

※次回の更新は9月3日(土)です。お楽しみに!

※この記事は2016年08月27日に公開されたものです

尾西芳子(産婦人科専門医)

高輪台レディースクリニック副院長

日本産科婦人科学会会員
日本女性医学学会会員(専門医)
日本産婦人科乳腺学会会員

神戸大学国際文化学部卒業後、山口大学医学部学士編入学。慈恵医大病院、日本赤十字社医療センター、済生会中津病院の勤務を経て、都内の産婦人科クリニック勤務。2017年7月、高輪台にて開業。

妊娠・出産から、婦人科がんの手術、不妊治療と広く学び「どんな小さな不調でも相談に来てほしい」と女性のすべての悩みに応えることのできる女性のかかりつけ医を目指す。モデルの経験を活かし、美と健康に関する知識も豊富。Webの連載をはじめ、TV、雑誌、講演会で活躍中。

オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/yoshiko-onishi/

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