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2021年01月09日 17:42 更新

【医師監修】基礎体温表の見方とグラフのパターンからわかること

自分の基礎体温表を見て、「私のグラフの形は大丈夫?」と不安になってしまう方がいるかもしれません。基礎体温表の形には個人差があります。基本的な基礎体温表の見方とグラフのさまざまなパターンを知っておきましょう。

基礎体温表パターンからわかること

基礎体温のグラフと体温計
Lazy dummy

※画像はイメージです

基礎体温表からは、月経周期、排卵の有無とその時期、女性ホルモンの状態など、自分自身の体について多くの情報を読み取ることができます。体に何かしらの不調や変化がある場合は、正常パターンとは違った基礎体温表になります。体のリズムを映し出す大切なデータが基礎体温のグラフといえるでしょう。

基礎体温表のさまざまなパターンと考えられる理由

自分の基礎体温表を見て、「グラフがギザギザしているけれど、これで大丈夫かな」「ちゃんと測れているのかな」と不安になってしまう方は少なくないかもしれません。基礎体温表には個人差があり、必ずしも見本のようになるわけではありません。正常パターンの基本を頭に入れておけば、自身の基礎体温表をチェックする時にきっと役立つはずです。

正常パターンの基礎体温表

正常パターンの基礎体温は、体温が低い時期と高い時期の2相に分かれているのが特徴です。それぞれを医学的には「低温相」「高温相」と呼びますが、今回の記事では一般になじみのある「低温期」「高温期」という言葉で説明します。

月経周期が28日の場合、月経が始まってから排卵するまでの約2週間は低温期、排卵後から次の月経までの約2週間は女性ホルモンのひとつである黄体ホルモン(プロゲステロン)の働きで体温が高くなる高温期になります。

基礎体温が2相になっていると、「排卵がある」といえます。排卵 とは、その名の通り「卵子」が卵巣から「排出」されること。女性の体には生まれた時から、卵巣の中に卵子のもと(原始卵胞)があります。思春期になって月経が始まると、成長した卵子が毎回ひとつだけ卵巣から排出されます。排卵後、卵巣に残った卵胞は黄体に変化し、黄体ホルモンを分泌することで体温を上昇させ、妊娠の準備をします。

妊娠が成立しなければ体温は下がり、再び月経が始まります。体温が上下する分岐点にあるのが月経と排卵です。

月経周期(月経の初日から、次の月経が始まる前日までの期間)には個人差があり、25日~38日であれば正常範囲 です。また個人でも毎回ぴったり同じ期間になるわけではありません。高温期は通常、10日〜15日ぐらい続き、低温期には個人差があります。

基礎体温のグラフ例

2相にはっきり分かれない場合 <無排卵 の可能性>

基礎体温表が低温期と高温期にはっきり分かれず、低い体温がずっと続く場合は「無排卵」の疑いがあります。無排卵とは、卵胞が黄体に変化せず、黄体ホルモンの分泌の増加が起こらないことを意味します。そのためため高温期がありません。無排卵の状態が続くと妊娠できないので、妊娠を望む場合にはホルモン検査や超音波検査、治療を行います。月経周期は不順であることが多く、月経の持続期間も長かったり短かったりします。

高温期が17日以上持続する場合 <妊娠の可能性>

受精卵が子宮に着床し、妊娠が成立すると黄体は妊娠黄体となり、黄体ホルモンの分泌が続くので高温期が続きます。17日以上高温期が続き、月経が来ない場合は妊娠が成立した可能性が高いといえます。

高温期が短い(10日以内)場合 <黄体機能不全 の可能性>

高温期が10日以内と短い場合、黄体ホルモンの分泌にトラブルがある「黄体機能不全」の可能性があります。黄体機能不全とは、黄体ホルモンが十分に分泌されないことにより、高温期が通常パターンより短くなった状態で、不正出血が起こることもあります。月経周期が短くなるため、月経不順として自覚されることもあります。妊娠を望む場合には黄体ホルモンの補充、排卵誘発法などの治療が行われます。

基礎体温表の見方とチェックポイント

基礎体温表を見る時は、日々の点だけではなく、月経周期の中での変動を見ることが大切です。2相になっているかを確認するための簡単な方法を紹介します。

基礎体温表の正しい見方

基礎体温表は1日1日の点ではなく、線をつないでグラフ全体として見ることが大切です。低温期・高温期の中でも体温は一定ではないので、記録をつけてみるとジグザグした感じになるのが一般的です。

グラフの一番低い点と高い点の真ん中あたりの横軸にボールペンなどを置いてみて、 その上と下で一定の期間がしっかり分かれていれば、2相になっていると確認できます。

サンプルの基礎体温表は、たいてい28日の月経周期を想定して作られていますが、月経周期にも個人差があることは前述した通りです。

その他のチェックポイント

医師が基礎体温表を正常と判断する時には次の4点を確認します。
①高温期が10日以上続いているか 
②高温期と低温期の差が0.3℃以上あるか 
③高温期に陥落(一時的な落ち込み)がないか
④低温期から高温期への移行が3日以内か

高温期が10日以上続き、安定している状態(一時的な体温の落ち込みなどがない)であれば黄体機能に問題はないとみることができます。

ただし、ご自身で基礎体温表を確認する場合は、細かい点を気にするより、ざっくりと2相になっているかをチェックしてみてください。

妊娠初期症状で「もしかして妊娠?」と気づく人もいます。妊娠初期症状として、風邪のような症状やバストの変化、悪阻(つわり)に似た症状が現れる人もいます。基礎体温の変化をチェックするとともに、上記のような症状もチェックしていきましょう。

まとめ

基礎体温表には個人差があります。見本の基礎体温表と一致した形にならなくても、高温期と低温期が一定の期間あればあまり心配はありません。読み取り方がわかると、より深く自分の体のリズムを理解できるようになります。もとになる基礎体温のデータが正確でないとグラフも分析できないので、正しい方法で継続して測るようにしましょう。

(萩原明子/毎日新聞出版MMJ編集部)

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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