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【恋愛相談バー】交際8年、刺激が足りない彼と今後どう付き合っていくべき?

高山真

都内某所にひっそりとたたずむ「マコトねえさんの恋愛相談バー」。ここには毎夜、“恋に悩める子羊”が来店し、店主であるマコトねえさんから「愛のカクテル」なるアドバイスをいただく。さぁ今宵はどんな子羊が来店するのかしら……?

 恋愛相談バー13

今宵のご相談

ご相談者:ろしあさん(33歳・会社員)

恋愛のスタンス:元肉食系だけれど、最近はそろそろ落ち着こうかと思っている
居住スタイル:シェアハウス

相手:

40歳(フリーランス)
居住スタイル:実家

■出会いの経緯
学生時代に塾のバイトをしていて出会いました。見た瞬間に私が一目ぼれしましたが、当時お互い恋人がいたから付き合ったのはそれから2、3年後です。お互いにそれとなく告白して交際が始まりました。

■交際歴
8年

■相談内容
交際して8年になる彼がいます。温厚でやさしくてまるで「木」のような存在です。日差しから私を守ってくれて雨のときは雨宿りも……というイメージです。とは言え木のようなカレなので、時には刺激が足らずに草食系の男性や肉食系の男性など、ほかの人に目がいくこともあり、浮気もしましたが、最近やっと彼のやさしさや器の大きさに気づきました。恋愛というサバンナで疲れ、これからは木のような彼に寄り添い穏やかに暮らしていこうと思うのですが、刺激を求める自分の性格ゆえ、心配です。結婚については結婚制度について個人的に思うことがあり、踏み切れません。これから彼とどのように付き合っていけばよいのかご教授をお願いいたします。

マコトねえさんからのアドバイス

●遊び人のオトコが言う「年貢の納め時」がやってきたのね

ご相談を読んで、ちょっと笑っちゃったわ。「恋愛というサバンナ」! アタシ好きよ、こういう表現。なんて昭和なセンスなのかしら! あなたの血中ババア濃度、かなりのものとお見受けしたわ(褒めているわよ)。

すっごく遊んできたオトコが、35歳くらいで「俺もそろそろ年貢の納め時だな」みたいに、遊び人人生に終止符をうって結婚する……みたいなパターンに近いわね。そういうオトコ、アタシのまわりにも7~8人いるわ。別に彼らを擁護するわけではないけれど、そういうオトコたちのほうが、結婚後の間違いが少ないのは確かかも。

まあ実際、しっかり遊んできた人って、あなたが言うところの「恋愛というサバンナ」における自分の立ち位置もしっかり見えてる人が多いわね。なんだかんだでサバンナは実力がものをいう弱肉強食の世界。たいがいの経験はプラスに働くものだけれど、唯一「年齢」だけ、ある一定のところを超えるとマイナスのほうに働いてしまうもの。アタシのまわりの、遊び人だったオトコ友達も、だいたい32~33歳のあたりで「オジサン扱いされた」ってことに打ちのめされて、次のステージへの移行を考え始めたわ。で、自分なりに区切りをつけて、「目の前のパートナーを大事に」ということにきちんと向き合ってるわね。

だからあなたが、ずっと横にいてくれた人と、結婚は考えないまでも長いパートナーシップを築くことに目が向いているのもわかるの。実際のところ、サバンナで“負け”が込んできたんでしょ? 「疲れる」っていうのは、そういうことよ。勝ちのほうが多いうちは、ああいうのって疲れよりも楽しさのほうが上回るから。

●彼に対して「フェア」であろうとしても、浮気ができる?

新しいステージへの移行を考えているあなたに、アタシが何か言うとしたら、こういうことね。

「人や自分ときちんと向き合うのもパワーがいるもの。それはサバンナで勝ち負けを競っていたときに使っていた力とは、別のパワーなの」

「刺激が欲しい」とあなたは書いているけれど、ひとりの人の、穏やかさの裏にあるしなやかな力強さとか、どっしりとした安定感に、あなた自身が新しい価値をつけていくことは、すごく刺激的じゃない? サバンナでの刺激とはまったく違う刺激だろうけどね。でも、そういう新しい刺激を感じ取れるようになるには、新たなパワーが必要になるものよ。

そして、いままでの「刺激」に区切りをつけるのだって、パワーがいるわけ。自分で道を決めた以上、「本能」とか「気の迷い」なんて手あかのつきまくった言葉に逃げ込んで、同じようなことを繰り返すのはやめる。そう決意するのも、パワーがいるものよ。そう、こういうのってね、「意志」の問題なの。「食うか食われるか・捨てるか捨てられるか」というサバンナでの生活にも、もちろん意志は必要だけど、「穏やかな生活を送る」といった、別のフィールドでの生活には別の意思が必要なの。

新しい世界に一歩を踏み出すときに必要なのは、「いまいる場所から一段、二段落ちる場所への『都落ち』である」という感情にとらわれない「強さ」。そして、「新しい場所で、新しい楽しみや喜びを見つける」という可能性のほうに目を向けられる「視点の広さ」。このふたつが何より重要だとアタシは思っているの。

もうひとつ加えるなら、「踏ん切り」ね。先ほど話した「穏やかな生活にも意志は必要」という踏ん切りのつけ方もあるけれど、「充分に楽しんで、気もすんだ。だから、サバンナステージは終わり」という踏ん切りのほうが大事ね。

「今後も浮気するか心配」とか、もう自分を甘やかすのはやめにしたら? 「浮気なんてもんに時間を使うようなステージ、もう終わったわ」と自分自身に言い聞かせる、というより言い切るの。そういう自分にプライドを持つの。こういうの、色恋のことに限った話じゃないのよ。いままでの習慣を変えようとする人は、誰だってこういう「踏ん切り」をするものです。「浮気に限っては、それができない」なんて、はっきり言って通用しないわ。

そこまでするのは「自分に厳しすぎる」と思う? アタシはそうは思わない。こういうのは、アタシにとっては「彼にも自分にフェアであろうとする」こと。対等な関係を築くうえでの必須項目なのです。

●人間は、ちょっと下に見ている人からいちばん手ひどく復讐されるものよ

「フェアであろうとする」ならば、もうひとつだけ手段があるわよ。それは「彼も私も、お互い、浮気は別腹。浮気はふたりの関係をうまくいかせるための潤滑油」みたいなコンセンサスを、はじめから確立させておくこと。要するに、「自分がしたいことであれば、彼にもその自由を与えるのがフェアだ」ということです。

これを読んでいる読者のみなさんの中には、「なんて常識はずれなアドバイスだろう」と驚いた人もいるかもね。でも、あなたと彼の関係なんだから、2人が納得していればいいの。でもね、「私の浮気はアリだけど、彼が浮気するなんてダメ」って考えでは、先々苦しくなるわよ。彼が可哀想ってこと以上に、あなたの今後が厳しくなるはず。アタシはそう予想しています。

人間ってね、自分がちょっと下に見ている相手、御(ぎょ)しやすいと思っている相手から、いちばん痛烈なしっぺ返しを食らうもの。いずれあなたを手ひどく裏切るものは、「彼に対して誠実でなくなる瞬間が、いずれ来るかもね」なんておめでたいことを考えている現在のあなたの心が生み出す「何か」なのだろうと、アタシは確信してします。その意味でも、覚悟をもってちょうだいね。「サバンナ」でいつまでもやりたい放題なんてできないように、「パートナーとの暮らし」だってやりたい放題じゃ難しいのよ。ふたりの幸せを心から祈っています。

愛のカクテル

「次のステージに行く」と決めたのなら、覚悟なさい
彼と向き合うことは、新たな自分自身を見つけることでもあるの

おすすめメニュー

このご相談&回答が“刺さった”方々へ――。ちょっと年上のアタシから、同世代のお友達からは仕入れられない、懐かしくてすてきな歌や映画をご紹介。“キュンキュン”や“イケイケ”をチャージして、日々をもっと彩っちゃいましょう♡ って誰よ、「ちょっと年上? すごく年上の間違いでしょ」とか言ったのは? うふふ。

★歌謡曲
「サファリナイト」(1978年に発表された大橋純子のシングル)

いつも2つの作品をおすすめメニューに挙げているのだけれど、今回はこれ1曲。手抜きしてるわけじゃないの。もうね、「あなたにはこれ以上に似合う作品がない」と断言できるほどの決定版なのよ。昭和歌謡が好きなオカマ100人が100人とも、この曲をあなたに授けると思うわ。うふふ。まずは歌詞検索してみてください。「オトコとオンナが、乾いた都会という『サバンナ』(!)で、恋に苦しむ」というドラマティックな名曲よ。ぜひあなたのカラオケの勝負曲にしていただきたいわ。ゲイバーでもガッツリ受けること間違いなしね!

★お店の人気メニュー★

恋愛がらみ。: 不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ

『恋愛がらみ。 不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ』(小学館/1404円)

女性ファッション誌「Oggi」(小学館)で、10年にわたり読者のさまざまなお悩みを鮮やかに解決してきた高山さんの大人気連載が、「恋愛」に特化したものを書籍化。相談者だけでなく、本を読むすべての女子に“刺さる”名言・金言が満載の、超新感覚の幸福論です。目からウロコのものの見方や考え方、男子がなかなか教えてくれない「男ゴコロ」の詳細な解説、すぐにでも実践できそうなかけひきテク、そして、女子たちのハートに寄り添い、背中をやさしく押してくれる愛情……。人気コラムニストのジェーン・スーさんも「知的ゲイは悩める女の共有財産」と絶賛する1冊です。

(文/高山真 イラスト/あべさん)

次回の「マコトねえさんの恋愛相談バー」は、6/30(木)更新予定です。お楽しみに! ※毎週木曜更新

>>>「マコトねえさんの恋愛相談バー」バックナンバーはコチラから

※この記事は2016年06月23日に公開されたものです

高山真

女友達でも絶対に言わない愛のある「本音アドバイス」に定評があるゲイのエッセイスト。ファッション誌Oggi連載の「マナー美人の心意気」を書籍化した『恋愛がらみ。: 不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ』(小学館)は、マイナビウーマンのインタビューも好評だったジェーン・スー氏も、「知的ゲイは悩める女の共有財産」「辛気臭いのは御免。私たちはいつだって、華やかに叱られたい」と絶賛する一冊。

■公式ブログ 「高山真のよしなしごと」
http://d.hatena.ne.jp/makototakayama/

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