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【ワーママデビュー!4】制度を生かせる風土! 会社に根付くファミリー感が復帰への不安や負担を軽減してくれた

畑菜穂子

働く女性の多くはいずれ結婚して出産もしたいのですが、ワーママとしての働き方やワークライフバランスのとり方がわからないなど、不安も多いのが現状です。2015年3月にGoogleは、女性の仕事復帰を応援するプロジェクト「Women Will #HappyBackToWork」を立ち上げ、多くの賛同企業とともにさまざまなアイデアを実践してきました。この連載では、そのサポートを受けたワーママたちの話を紹介します。

PROFILE:長谷川 歩(はせがわ あゆみ)●2005年4月に株式会社バンダイに新卒入社。現在は、ガールズトイ事業部でアシスタントマネージャーとして勤務。2012年6月末から2013年4月まで、産休・育休を取得。

社内に保育所を併設! 育休復帰率は100%

男児や女児に人気のキャラクター商品など、子どもを夢中にさせるおもちゃを多く世に送り出しているバンダイ。社員の妊娠・出産にも理解があり、「出産・子育て支援金」をはじめとする制度や社内に併設された保育所など、サポート体制も整っている。既婚女性社員のうち、出産経験者が8割以上を占め、妊娠・出産を機に退社するケースは稀で、2015年の育休復帰率は100%だという。

長谷川歩さんは2005年に入社し、2012年6月末から約10カ月の育休を経て、復職。現在はガールズトイ事業部で、3~6歳の女児向けキャラクター商品の企画開発に携わる。

「私の母が仕事をしていることもあって、出産後も仕事を続けるのは、自分にとっては自然なことでした。また、社内にも育休から復帰した先輩がたくさんいるので、育休から復職までの流れに悩むこともなく、会社がバックアップしてくれたのも心強かったです。例えば、私の場合、産休を取得する2カ月前には後任担当者がチームに入ってくれたので、ゆとりを持って仕事を引き継ぐことができました」

社内の先輩ママに保育園について相談

産休前には、職場の先輩ママたちから情報収集を行った。

「うちの会社では、社内に東京都認証保育所(ポピンズナーサリースクール駒形)があります。『地元の保育園とどちらに入れるのがいいか』といった相談にも乗ってもらったり、認可保育園を希望するなら、どうしたらいいかについてアドバイスをもらったりもしました。最近では私自身が先輩ママとして、妊娠した後輩の相談を受けたりすることもあります」

同期とのランチや社内報が会社とのつながりを保ってくれた

育休取得中も同期と頻繁に連絡を取り合っていたという、長谷川さん。子連れで会うことも多く、会社とのつながりが続いていたため、復職後への不安も最小限に留められたそう。

「同期と会うと『最近どうなの?』と会社の様子を聞くようにしており、子連れで何回か会社にも行きました。また、バンダイでは、3カ月に1回の社内報が発行されるのですが、育休中も自宅に届くので、それを楽しみにしていました。雑誌のような感じで社内の状況や社員の結婚・出産の情報も掲載されているんです。

制度がきっかけで先輩家族と仲良しに

バンダイは社員同士の仲が良く、全社を通じてファミリー感があるという。社員同士が仲良くなるきっかけのひとつとも言えるのが、先輩社員が後輩社員をサポートしながら業務をともに行う「ブラザーシスター制度」だ。

「新入社員だけでなく、部署異動をした業務新人に対して『ブラザー』がつくこともあります。私も新人の頃にブラザーだった先輩のお家に遊びに行ったり、今でも家族ぐるみで仲良くしてもらっています。実は子どもが保育園に入園するときには、先輩の奥さまに布団カバーや巾着を作ってもらいました」

家族揃って参加できるイベントが多い

社員の家族も大事にするバンダイでは、社員はもちろん、子どもの誕生日にも会社からメッセージカードが送られる。社内には「社友会」という組織があり、ファミリーイベントや部活動などが自発的に行われるという。

「会社全体に『楽しんで仕事をしなくてどうする』という姿勢が見られ、そこに家族の幸せも含まれているように感じます。一昨年は家族を連れて、隅田川の花火大会に合わせて開催された、バンダイのファミリーイベントに参加しました。ヨーヨー釣りや射的などの屋台も出ていて、ちょっとしたお祭りみたいな感じ。子どももとても喜んでいました」

会話も仕事のうち 会社では、人と話す時間を大切にする

ワーママ率が高いガールズトイ事業部では、フレックス制度が導入されている。朝礼の時間にも配慮がされているとか。

「社内では一般的に、朝礼というと、朝9時頃に行うことが多いんです。でも、うちの事業部は9時半スタート。朝の忙しいお母さんも含め、みんなが参加しやすいようにという配慮でしょうね。小さなことですが、気持ちが楽になります」

そして、ガールズトイ事業部では全員に、会社メールを確認できるiPadが支給されている。長谷川さんは、毎晩子どもを寝かしつけた後、メールチェックをするようにしているそう。

「帰社後に来たメールをその日の夜に見ておけば、翌朝メールチェックに時間を取られることもなくなります。また、子どもが体調を崩して休まなくてはいけないこともあるので、iPadはありがたいです。事務処理を自宅でできるようになった分、会社では人と話すことに時間を使っています。新しいアイデアがブレストから生まれることも多いため、打ち合わせも大事なんです」

「3歳の女の子のママ」を生かした商品作り

3~6歳の女児に人気のあるキャラクター商品の企画開発を行うなかで、3歳の子を持つママとしての立場が存分に生かされているという。

「娘がターゲットとしてはぴったりの世代なので、子ども調査にフル活用しています。試作を持ち帰って反応を見ることもありますし、ドレスを着せて『お腹はきついけど、ここはゆるい』という感じでサイズチェックもしています。娘には、おもちゃはママが持って帰ってくるものだと思われているくらい(笑)。また、娘の好きなおもちゃや遊びから、企画のヒントをもらうことも多いんです」

完璧を目指しすぎない たまのファミレスを娘とのプチイベントに

ワーママが職場復帰した際に立ちはだかる壁のひとつに、育児と仕事の両立がある。何事にも完璧になりすぎないことが乗り切るためのコツだと長谷川さんは言う。

「仕事面では時間に限りがあるので、自分でやりすぎずに人に任せられる分は頼むようにしています。企画職は『今日はここまで処理したら終わり』というものが明確にはないので、明日できることは明日やろうという姿勢も大事。夜ごはんだって、毎日ちゃんと手作りのものでなくたっていいと思うんです。『今日はパパが遅いから、ファミレスでごはん食べよう!』と、楽しみながらやっています」

肩の力を抜き、仕事も育児も楽しみながらこなしている長谷川さん。彼女の性格によるのはもちろん、相談や仕事を頼みやすいといった職場環境によるところも大きいようだ。

長谷川さんの一日のスケジュール

6:30 起床、自分の準備
7:00 子ども起床、着替え、朝食(子どもの好きなテレビ番組を観ながら)
8:00 保育園に登園
9:30 出社~企画打合せや資料作成など
12:00 チームメンバーと昼食
13:00 企画打合せや、外出しての打合せや立ち会いなど
18:00 退社
19:00 帰宅、夕食準備(保育園のお迎えは夫)
19:30 夕食
20:00 子どもが夫と入浴
21:00 明日の保育園準備、家事など
21:30 子ども就寝
22:00 会社メールチェック
0:00 就寝

(畑菜穂子+ガーラボ)

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※この記事は2016年06月03日に公開されたものです

畑菜穂子

フリーライター。ガールズ健康ラボ所属。テレビ情報誌のアシスタント、編集プロダクション勤務を経てフリーに。研究テーマは80年代の子ども番組「パックンたまご!」とおかっぱ男子。一児の母で子どもの健康やスキンケアにも興味があります。Twitter/@haricona

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