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【ワ―ママデビュー! 3】10年のキャリアを経て妊娠・出産! 「保活」のコツや復職後の働き方を後輩に伝えたい

齋藤純子

働く女性の多くはいづれ結婚して出産もしたいのですが、ワーママとしての働き方やワークライフバランスのとり方がわからないなど、不安も多いのが現状です。2015年3月にGoogleは、女性の仕事復帰を応援するプロジェクト「Women Will #HappyBackToWork」を立ち上げ、多くの賛同企業とともにさまざまなアイデアを実践してきました。この連載では、そのサポートを受けたワーママたちの話を紹介します。

PROFILE:植田祐子(うえだ ゆうこ)●2012年1月入社。株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)のEコマース(EC)事業部門で、ショッピングモール「DeNAショッピング」の制作運用と進行管理を担う。2013年6月から2014年4月まで、産休・育休を取得。

出産後のキャリアを考え、DeNAに入社

大学卒業後、WEB制作会社数社でキャリアを積んできた植田祐子さん。ECサイトのディレクションのスキルを携え、30代半ばでDeNAに転職した。今回の転職は、これからのライフステージを見据えてのことだった。

「転職したのは、ちょうど結婚するタイミングでした。DeNAではほとんどの人が産休・育休後に復職しているという話を聞き、それならば出産後も長く働けそうだと思い、決めたんです。入社後1年程して妊娠がわかったときも、働き続けたいという気持ちに変わりはありませんでした。夫も『君は仕事を続けた方がいい』と応援してくれました。夫とは以前の職場で知り合ったこともあって、私の仕事への思いをわかってくれていたのだと思います」

里帰り出産後、すぐに“保活”をスタート

2013年6月に産休がスタートし、大阪にある実家で里帰り出産。出産から2カ月程して自宅に戻ると、すぐに“保活”を始めたという。

「待機児童の多い地域なので、一番保育園に入りやすいと言われる『0歳児・4月入園』を目指しました。認可保育園に受からない可能性も考え、認証保育園にもたくさん申し込みました。認可保育園に入れるかどうかは、家庭状況などを反映した点数で決まります。でも、認証保育園は申し込み順で合否が分かれるところもあります。近所にも保活中のママ友がたくさんいて、情報交換できたのはもありがたかったです」

「復職ワークショップ」で会社の今を知る

認証保育園への入園が決まり、「4月には復職できそう」とSNSで報告すると、上司や同僚からお祝いのコメントが次々に届いた。

「産休・育休で10カ月近く仕事から離れていると、本当に復職できるのか不安に思うこともありました。私自身は復職したいと思っていましたし、だからこそ、保活も頑張っていたわけですが、職場の仲間にはどう思われているんだろう……とか。SNSのお祝いメッセージを見て、みんなが待ってくれていると実感できて、ホッとしました」

DeNAでは毎年、育休から復職する人を対象に、「復職ワークショップ」を実施している。植田さんも参加した。

「このワークショップでは、人事や先輩ママ社員の話を聞けるんです。人事からは“会社の今”について、話があります。自分の部署のことは上司や同僚に確認できても、会社全体について知る機会はなかなかないので、ありがたかったです。また、先輩ママ社員のパネルディスカッションでは、復職後の働き方のコツなど実践的な話が中心になります。仕事と育児の両立をサポートする社内制度・福利厚生についての情報も参考になりました」

当時の様子

当時の様子

「ベビーシッター補助制度」で病児保育シッターサービスをフル活用

ワ―ママとして働く女性の多くが、頭を悩ませるのが、子どもの体調管理。発熱などの理由で保育園に登園できない場合、どう対応するか。植田さんの場合、夫婦ともに実家が遠方で、祖父母にも頼れない。そんなとき、役に立ったのが「ベビーシッター補助制度」だ。

DeNAでは、子育て中の社員のベビーシッター利用をサポートしている。社員であれば、提携する病児保育を行うベビーシッター会社を1時間800円(税抜)で利用でき、残りの利用料は会社が負担する仕組みだ(月会費の一部は社員が負担)。

「体調不良などで子どもが保育園に通えないときは、『ベビーシッター補助制度』を使い、病児も見てくれるシッターサービスにお世話になりました。自宅で面倒を見てもらえるので送り迎えの必要がないですし、費用の多くを会社が負担してくれます。多いときは月2~3回お願いすることもありました」

「みんなの保活日記」で保活のコツを後輩に伝授

DeNAには、妊娠・出産・介護などのライフイベントと仕事の両立をサポートする社内組織「DeNA Women?s Council(DWC)」がある。同組織の取り組みの一つが「みんなの保活日記」だ。

先輩ママ社員が保活のコツを綴った日記を、産休前面談の場で渡す。植田さんが産休に入るときにはまだなかった制度だが、現在は日記を書き込む側の一人として参加している。

「『認証保育園への入園を考えているなら、とにかく早く動くのがポイント』などと、自分の経験をもとに書きました。育休中、同じように保活している近所のママ友たちと話していて知ったのですが、勤め先によって出産・育児のサポート制度はまるで違います。『みんなの保活日記』は、同じ就業ルールで働く人たちの体験談なので、参考になることが多いはず。日記を読んだ後に、同じ市区町村に住んでいる先輩ママに連絡をとって直接話を聞く社員も多いですね。」

「みんなの保活日記」実物

「みんなの保活日記」実物

「働きたいから、出産しない」をなくしたい

ワ―ママデビューから3年目を迎えた植田さん。「もっと働きたい!」という思いから、一時期は時短勤務をしていたが、その後フルタイム勤務に戻した

「夫が保育園にお迎えに行けるときは、残業もしていました。もしくは、残業しない代わりに、始業時間前に出社することもありました。子どもがいると、以前のように時間を気にせず働くような生活はできませんが、それでも工夫をすることで仕事を上手く回すことができた。育児中でも成果を出せるんだ、と大きな自信になりました」

以前、植田さんと同じ部署だった女性が「いっぱい働きたいから、結婚・出産はいい」と言ったことがあった。そのときは「そういう考えもあるんだな」と頷いたが、今は違う。

「出産前は残業に頼って仕事していた私でも、やり方を工夫することで仕事と育児を両立できました。仕事が大好きでずっと働きたい人も、結婚・出産できるんじゃないかな、と思います。もちろん、企業や社会のサポートも必要なので、女性が結婚・出産をあきらめなくていいように、社内外の制度がさらに充実してくれればとは思います」

仕事と育児の両立をニコニコしながら語る植田さん。お隣に座っている人事担当者の温かい笑顔も相まって、なぜか私たちまで自信が湧いてきた。

植田さんの一日のスケジュール

7:00 起床、子ども身支度、保育園の用意、朝食、連絡帳記入
8:10 夫・子どもが家を出る、自分の身支度・後片付け・洗濯機セット
8:30 家を出る⇒9:15ごろ会社着
18:15 退社
19:10 子どもお迎え
19:45 帰宅、夕食準備
20:00 夫帰宅
20:15 夕食
21:00 みんなでお風呂⇒歯磨き、寝る準備
22:00 寝かしつけ

(齋藤純子+ガールズ健康ラボ)

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※この記事は2016年04月29日に公開されたものです

齋藤純子

フリーライター。ガールズ健康ラボ所属。ムック『ほんとうに効く! 冷え退治バイブル』(扶桑社)にライターとして参加。東京下町生まれ。食品商社営業企画、パン職人を経て、制作会社で広告・出版の編集制作に携わる。団塊ジュニアの端くれ。一児の母。得意分野は、辛いもの・濃くて甘いもの・蒸留酒・ビックコミックオリジナル。詰めもの料理研究中。美味しいって正義! Twitter/@julepper

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