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吐き気やひどい下痢にご用心。冬場だけじゃない「ウイルス性胃腸炎」

島影真奈美

菊池智津

「おなかの風邪」と言われる感染性胃腸炎。その8~9割を占めるのが「ノロウイルス」、「ロタウイルス」、「アデノウイルス」などウイルスを原因とするウイルス性胃腸炎だそう。ノロウイルスは冬場に大流行することで知られていますが、春や夏にかかるケースもあるそう。一方、ロタウイルスはノロウイルスの流行が一段落した春先から増え、アデノウイルスは春から夏にかけて本格的なシーズンを迎えます。どうすれば、ウイルス性胃腸炎を予防できるのでしょうか。抜弁天クリニックの菊池智津先生に対策を聞きました。

感染予防の基本は「手洗い」と「換気」

「基本中の基本ですが、感染予防に有効なのは何といっても『手洗い』です。排便後はもちろん、調理や食事の前にも必ず手を洗いましょう。最近よくオフィスビルなどでも見かけるようになったアルコール消毒はウイルスには効果がありません。石けんをつけたこすり洗いで、手に付着したウイルスを洗い流すのが基本。アルコール消毒はあくまでも付加的なものと考えましょう」(菊池先生)

ノロウイルスは、カキなどの二枚貝を生または不十分な加熱処理で食べた場合に感染することで知られています。しかし、しっかり加熱されていたとしても調理する人の手指やキッチンがウイルスで汚染されたことが原因で感染するケースもあります。

「とくに気をつけたいのは家族や職場の人など身近な相手が感染した場合です。便や吐しゃ物を始末する際にはビニール手袋やエプロン、マスクなどを着用し、ウイルスに触れるのを防ぎます。また、汚染された場所は市販の塩素漂白剤を使い、消毒しましょう。排泄物などから飛散したウイルスを吸い込んで感染することもあるため、日頃からこまめな換気も心がけましょう」(菊池先生)

ウイルス感染症の検査はムダ!?

ウイルス性胃腸炎の主な症状は腹痛や下痢、嘔吐や発熱など。ノロウイルスでは症状が続く期間は1~2日間と比較的短期間ですが、ロタウイルスの場合はより重症なことが多く、5~6日間症状が続くことも。一方、アデノウイルスは目の充血や結膜炎、のどの痛みなどを伴うことがあるそうです。

「これらのウイルス性胃腸炎は病気そのものに対する有効な治療法はなく、熱冷ましや吐き気止めなどの対症療法を行いながら安静にし、自然治癒を待つことになります。最近では『ノロウイルスかどうか調べてほしい』と希望される方が増えました。仮にウイルスの種類を特定できたとしても、治療方法は変わりません」(菊池先生)

まとめ

検査でウイルスが検出されないこともあるため、検査結果が陰性だったからといって感染の心配はないと思い込むのは禁物。また、なかには感染しても症状がないというケースもあるため、症状のあるなしに関わらず、手洗いなど手指の衛生や部屋の換気など、複合的な予防策を心がける必要があります。

(取材協力:菊池智津、文:島影真奈美+ガールズ健康ラボ)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.12)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

※この記事は2015年05月26日に公開されたものです

島影真奈美

フリーのライター&編集。モテ・非モテ問題から資産運用まで幅広いジャンルを手がける。共著に『オンナの[建前⇔本音]翻訳辞典』シリーズ(扶桑社)。『定年後の暮らしとお金の基礎知識2015』(扶桑社)、『レベル別冷え退治バイブル』(同)ほか、多数の書籍・ムックを手がける。ハーバー・ビジネス・オンラインにて『仕事に効く時代小説』連載中。書籍や雑誌、マンガの月間消費量は150冊以上。マンガ大賞選考委員でもある。

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菊池智津

医療法人社団愛智会抜弁天クリニック院長。1988年3月東京女子医大卒業後、4月より同大学内分泌内科にて研修医として勤務。1997年から都内病院で内科医として勤務し、その後2002年に同クリニックを開業。生活習慣病から甲状腺疾患、認知症のほか、うつ病や発達障害にも対応。

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