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“三大夏風邪”のひとつ! プール以外でも感染する「プール熱」の正体と予防策は?

島影真奈美

菊池智津

昨夏に大流行した「ヘルパンギーナ」や「手足口病」と並び、“三大夏風邪”といわれる「プール熱」。これは俗称で正式名は「咽頭結膜熱」といい、アデノウイルスによって引き起こされる感染症の一種です。毎年6月ごろから患者数が増え始め、7~8月頃にピークを迎えます。子どもがかかる病気というイメージがありますが、じつは大人もかかるそう。抜弁天クリニックの菊池智津先生に「プール熱」の対策と予防方法を聞きました。

せきやくしゃみ、ハンカチやタオルの共有も感染の原因に

「咽頭結膜熱(プール熱)は目やのどに症状が出るのが特徴です。ウイルス感染から発症までの潜伏期間は数日から10日前後。突然、38度以上の高熱が出たり、のどが腫れたり、目が充血するといった症状が現れます。ただし、すべての症状が同時に出るとは限りません。また、アデノウイルスは胃腸炎や膀胱炎などを引き起こすケースもあります」(菊池先生)

「プール熱」という俗称の由来にもなっているように、海やプールの水を介して目からウイルスが侵入するケースがよく知られています。でも、プールに入っていないからといって油断は禁物。咳やくしゃみなどによる飛沫感染や、ハンカチやタオルの共用などをきっかけに接触感染することもあるそうです。

咽頭結膜熱はインフルエンザ同様、ウイルスが原因のため、病気そのものを治す薬はありません。鎮痛剤などで症状を抑えながら安静にし、回復を待ちます。

「よく『抗生物質をください』と言って病院に来られる方がいますが、大きな間違いです。抗生物質が効くのは細菌のみで、ウイルスには効きません。仮に抗生物質を服用した後に治ったとしても、それはたまたま自然治癒しただけなんです。“抗生物質を飲んでおけば安心”と不要な抗生物質を飲み続けていると、肝心なときに抗生物質が効かなくなるリスクもはらんでいます。必要性に応じて処方し、しっかり説明してくれるかかりつけ医を持つことが大切です」(菊池先生)

他人にうつさないための予防策にも気を配って

咽頭結膜熱の多くは発症後4~5日程度で症状がおさまるそう。ただし、アデノウイルスは感染力が強く、子どもの場合は感染がわかってから、症状がおさまった2日後まで通園や登校が禁じられています。大人はとくに出勤停止となるような規定はなく、個人の判断に委ねられています。しかし、職場でウイルスをまき散らすリスクを考えると、できれば会社を休むのが望ましいとか。

「他の感染症にも言えることですが、感染力が強いウイルスに関しては自分の身を守るのと同時に、他人にうつさないための予防策にも気を配る必要があります。例えば、日頃から手洗いやうがいを徹底することはもちろん、人混みに出るときはマスクを着用することやこまめに部屋を換気することも大切です」(菊池先生)

アデノウイルスはアルコール消毒の効果が薄いため、手洗いはしっかり流水で洗い流すのもポイントです。プール熱による感染症は一度かかると対症療法しかなくなるからこそ、普段から複合的な予防策を講じておきましょう。

(取材協力:菊池智津、文:島影真奈美+ガールズ健康ラボ)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.12)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

※この記事は2015年05月12日に公開されたものです

島影真奈美

フリーのライター&編集。モテ・非モテ問題から資産運用まで幅広いジャンルを手がける。共著に『オンナの[建前⇔本音]翻訳辞典』シリーズ(扶桑社)。『定年後の暮らしとお金の基礎知識2015』(扶桑社)、『レベル別冷え退治バイブル』(同)ほか、多数の書籍・ムックを手がける。ハーバー・ビジネス・オンラインにて『仕事に効く時代小説』連載中。書籍や雑誌、マンガの月間消費量は150冊以上。マンガ大賞選考委員でもある。

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菊池智津

医療法人社団愛智会抜弁天クリニック院長。1988年3月東京女子医大卒業後、4月より同大学内分泌内科にて研修医として勤務。1997年から都内病院で内科医として勤務し、その後2002年に同クリニックを開業。生活習慣病から甲状腺疾患、認知症のほか、うつ病や発達障害にも対応。

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