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歴女必見!? 歴史的ストーリーを語れる会場、教えます!(洋の会場編)

有名建築家が残した「神は細部に宿る」という言葉。上質を感じさせる式場に足を運ぶ度にこの言葉が思い浮かびます。この建物を創り上げた人々の思いや哲学すら感じさせる細部へのこだわりをご紹介するこのコラム。前回は歴史的背景をもつ和の式場をご紹介しました。今回は同じように歴史的価値のある洋館の式場に迫ります。洋館でのウエディングにあこがれている人も、歴史好きな人もきっと興味をもってくれるはず!

ジョージアン様式にこだわった英国式の高貴な洋館

まずは西麻布の閑静な住宅街に佇む、フレンチの名店「オーベルジュ・ド・リル トーキョー」。?オーベルジュ?というのは、わざわざその味を食べに行くためにそこに出かけていく人のために宿を併設しているレストランのこと。フランス本店では星付きの常連となる名店です。その素晴らしいお料理の話もしたいところですが、今回はグッとこらえて建築美のお話。英国のジョージアン様式の洋館を10年もの歳月をかけて移築したこだわりの空間をご紹介します。

ジョージアン様式とはイギリスのジョージ1世から4世まで(1714~1830年)のジョージアン王朝時代の建築・工芸様式のこと。ルネサンス建築から影響を受けロココ調やクラシックスタイルを取り入れたディテールの美しい装飾が特徴です。特にアメリカでは富裕層の象徴としてこのジョージアン様式を取り入れた住宅が人気で、今なお愛されるスタイルとなっています。

「オーベルジュ・ド・リル トーキョー」の魅力はまさに栄華を感じさせる世界観。まず特徴的なのがシンメトリー(左右対称)に広がるサーキュラー階段です。メインダイニングは舞踏会が行われていた当時の華やかな雰囲気そのもの。エントランスからダイニングに降りる導線として機能する階段は、言わば?おめかしした女性たち?のドレスをじっくり皆さんに披露する舞台。ここを降り立つ花嫁はもちろん、女性ゲストたちにとってもそんな18世紀の貴族さながらの雰囲気を味わってもらえる空間なのです。また、大きな鏡や天井から下がるカーテン、ロココ調の家具はジョージアン時代の高貴なイメージそのまま。小さい頃から夢見たようなまるでお姫さまになったような気分に浸れる場所です。

由緒ある日本初の本格的な西洋式図書館が熱海に!

続いてぜひ皆さんにご紹介したい洋館は、登録有形文化財に指定されている由緒ある建物です。熱海の海を目の前に望む一軒の洋館。現在、「ヴィラ・デル・ソル」として多くのゲストを受け入れ、ウエディングも行われているここは「南葵(なんき)文庫」という紀伊徳川家ゆかりの建物なのです。実はここ、日本初の本格的な西洋式の私設図書館として今なおその姿を見ることのできる貴重な建物。紀伊徳川家の第15代当主である徳川頼倫が明治32年(1899年)に東京は麻布飯倉に私設図書館としてその歴史をスタートさせました。その後、伊豆、熱海へと移築され今は海辺の佇むレストランとして多くの人に親しまれているのです。

現在サロンとして利用される1階は、かつて応接室や閲覧室があった場所。2階の旧庫主室や会議室がメインダイニングとなっています。エントランスには南葵文庫竣工時に贈られたという15代将軍徳川慶喜直筆の書が、2階ダイニングの天井に飾られているシャンデリアには紀州徳川家の葵の紋を見ることができます。当時贅沢に作られた西洋式の洋館はドレスが似合う空間であるのは言うまでもありませんが、?徳川ゆかり?という歴史好きの心をくすぐる建物は知的な新郎新婦にも、年配ゲストにとってもワクワクする空間。招待されたゲストもその日が楽しみなる、そんな場所です。

※この記事は2015年04月24日に公開されたものです

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