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身近な確率論に触れてみよう~「‰(パーミル)」の意味とは?~

確率論と聞くと、数学の難しい理論という感じがするかもしれません。
しかし、降水確率や野球の打率、宝くじの当選確率などのように、普段の生活にも密接に関わっています。

そこで今回は、皆さんにもお馴染みとなっている身近な確率のお話を、いくつかご紹介したいと思います。

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降水確率が示す本当の意味

天気予報でよく使われている降水確率ですが、皆さんはその正しい意味を知っていますか?

実は、降水確率とは「その地域で一定の時間内に1mm以上の雨または雪の降る確率」と定義されています。したがって、○○地方で12時~18時の降水確率が50%となっていても、決して6時間のうち半分の3時間は雨が降るという意味ではありません。

現在発表されている降水確率とは、過去のデータから算出されるもので、以前同じような気象条件の時に、どれぐらい雨が降ったのかという実績に基づいています。上の例であれば、○○地方をいくつかのブロックに分け、その各ブロックで今回と同じような気象条件だった日に過去1mm以上の雨が降った実績の平均値が50%であったことを示しています。

また、降水量とは直接的な関係がないため、降水確率10%だから小雨、100%だから大雨になるということでもないのです。

野球で使われている打率

野球の試合をテレビで見ていると、バッターの打率というのが紹介されます。これはそのバッターが過去にどれだけの確率でヒットを打つことができたのかを示す割合です。たとえば、3割のバッターであれば、(四球や犠打等を除いた)10回の打数で3本のヒットを打つペースだったことになります。

このとき、3本のヒットの中には二塁打・三塁打・本塁打も含み、それらも全て1本と数えます。

実際の試合では、このようなデータも参考にしながら打順を決めていきます。また、チャンスに強くて長打力のあるバッターを4番に据えることが多いですが、それも4番打者にランナーが溜まった場面で回ってくることが多いという過去の統計を利用した作戦なのです。

もちろん打順を決めるときには、打率だけではなく、四球等も含めた「出塁率」やチャンスの場面での打率を表している「得点圏打率」のほか、対戦する投手との相性、過去の経験値、本人の性格なども考慮しながら総合的に並べていくことになります。

そのため、デジタル的な要素だけで簡単に決められるものではありませんが…。

こうしてみると、野球は確率・統計に基づくデジタルな実績と、過去の経験や性格、その日の調子などのアナログ的で直感的な要素とが深く融合したスポーツだと言えますね。

宝くじ「ロト6」の当たる確率とは?

ロト6とは1~43までの数字の中から好きな数字を6個選んで当てるという宝くじです。ですので、そこから選択できる組み合わせを計算すると、全部で6,096,454通りもあります。つまり6個の数字を全て一致させないといけない1等の当選確率はわずか6,096,454万分の1しかないわけです。

1等は通常2億円を山分けになりますが、1口200円なので全通り買おうとすると、12億円以上もかかることになってしまいますね…。

ちなみに、6個の当たり数字のうち3つが一致すればよい5等は、全部で155,400通りありますので、155,400÷6,096,454≒2.55%の当選確率となります。3つぐらいなら当たりそうな気がしますが、それでも意外と難しいものですね…。

確率を表す記号 ~パーセントとパーミル~

確率を表す記号として有名なのは、先ほどからも何度か使っている「%(パーセント)」です。ラテン語の「per centum」がもとになっており、「per」は~毎に、「centum」は百を意味しています。つまり全体を100として、その割合を示すもの(百分率)として使われています。

また、あまり見る機会はありませんが「‰(パーミル)」という記号も存在します。「ミル」は千を表すラテン語ですので、全体を1,000としてその割合を示すものです。

たとえば、先ほど紹介した野球の打率などは、一般的には3割1分2厘(.312)などと表記しますが、これをパーミルで書くと312‰ということになります。このほか、土木・建築分野では坂の勾配を表したり、医療分野では血中アルコール濃度を表したりする場合などにも、このパーミルが使われています。

まとめ

いかがでしたか?一見難しそうな確率論も、実は身近なところで使われていることがお分かり頂けたと思います。

ただし、降水確率にしても野球の打率にしても、確率はあくまで確率。降水確率30%の日に傘を持たずに出てしまって雨に降られたり、プロ野球の試合でチャンスに登場した代打の神様があえなく三振したり…と、それが読み通り成功するかどうか分からないところに確率の面白さがありますね。

(文/TERA)

●著者プロフィール
TERA。小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。

※この記事は2014年10月26日に公開されたものです

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