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3Dに起こすのが難しい漫画キャラといえば「真正面から見たスネ夫」

『STAND BY ME ドラえもん』という、3DCGアニメ版『ドラえもん』の映画が公開され大ヒットしました。ドラえもんの世界を見事に3DCGで起こしていましたが、どんなキャラクターでもすんなり3DCGで作れるわけではありません。

漫画のキャラクターを3DCGに起こすのに、独特の苦労が伴うことがあります。漫画はあくまで2次元の世界で、読者と暗黙の了解の下にキャラクター描写が成立しています。その点で3DCG化が難しいことがあるのです。

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今回は、そんな3DCG化が難しいキャラクターを見てみましょう。

トンガリは三つ!?「アトム」

手塚治虫先生の代表作『鉄腕アトム』。主人公のアトムは独特の髪形をしています。正面から見ると、アトムの頭には髪のトンガリが三つあります。しかし、横を向いた場合はいつもトンガリは二つになります。これは漫画上のうそであって、アトムが正面を向いた髪形が正しいのだとすると、こうはなりません。

アトムを3DCGで起こすとすると、このアトムの髪形をどう表現するかは大きな問題です。実際に3DCGアニメにした『ATOM』という映画がありますが、苦労と割り切りの結果となっています。もし興味のある人は実作をご覧ください。

※……このアトムの髪形問題は手塚先生ご自身が漫画内で言及されています。

不思議な髪形の「スネ夫」

『ドラえもん』に登場するスネ夫は、切れ込み(?)の二つ入った、とんがりが三つある独特の髪型をしています。漫画では、たいていやや横になった髪として描かれていて、彼を真正面から見た顔はほとんど見当たりません。

また、前から見ても横から見ても髪のトンガリは三つで、これも漫画上の表現です。上記の3DCGアニメ版映画では、不自然にならないよう、うまく表現しています。

顔の造形が難しい「カイジ」

『賭博黙示録カイジ』の主人公カイジ。彼の顔も非常に独特です。髪形の問題も、アトム、スネ夫と同様にあるのですが、顎の輪郭、また鼻なども、正面から見たものと横顔との整合性を取るのが非常に難しいのです。カイジを3DCGで起こそうとすると、「一番カイジっぽく見えるように作ると、こう!」 という「解釈」が必要になると思われます。

もちろん、こういう「解釈」はプラモデル化(3D化)するときなどには当たり前の行程で、例えば「ガンプラ」について取材した際に、バンダイの川口名人から「設定画からキット化するには解釈が必要」という主旨の発言をお伺いしました。

モフモフだけど人間っぽく!『Cat Shit One』

少しマニアックな漫画とキャラクターをご紹介します。小林源文先生の『Cat Shit One』という漫画があります。これは、ベトナム戦争を舞台にした漫画で、登場する人物は全て「ウサギ」などの動物になっています。

ウサギやネコなどのキャラクターが実在の銃器を持って戦う戦記漫画なのですが、これなども3DCG化するのが困難なものの一つといえるでしょう。動物のモフモフ感を表現しながら、人間みたいな動きも再現しなければなりません。

もっとも、実際にこの作品を3DCG化した『CAT SHIT ONE -THE ANIMATED SERIES』という映画が製作されており、難しい問題を見事にクリアしています。興味のある人はぜひご覧ください。

リアルに見せるのが難しい!?「ゴルゴ13」

『ゴルゴ13』の主人公、デューク東郷ことゴルゴ13も3DCG化するのが難しいキャラクターです。上記のキャラクターと違うのは、漫画上のうそが別の部分にあるのです。漫画のゴルゴ13は、眉毛の位置から頭頂部までの距離が極端に短いのです。

これがゴルゴ13の顔を特徴付けているので、漫画のまま3DCGで起こすと、とても変な人間になります。ゴルゴ13の場合は、3DCGにした後でリアルな人間に見えるかが問題で、現実にいるかのように見せるのが困難なキャラだといえるでしょう。

漫画は、2次元での表現なので上記のような突っ込みは本来「やぼ」なものです。でも、いったん「3DCGに起こしてアニメだ!」なんてことになると独特の「解釈」と「演出」が必要になるわけです。聞くところによりますと、アニメーターの皆さんは、今までになかった苦労をされているようであります。

(高橋モータース@dcp)

※この記事は2014年10月22日に公開されたものです

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