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夜10時以降に就寝する2歳児は35%! 子どもの遅寝は学習能力の低下を招く

子どもたち

寝苦しい日が続く夏の夜。特に子どもは体温が高いため、なかなか寝つけないという子も少なくないかもしれません。実は日本の子どもの睡眠事情は、悪化しているのです。

日本小児保健協会が実施した「平成22年度幼児健康度調査」によると、22時以降に就寝する2歳児は35%という結果でした。3人に1人は遅寝の習慣があるということになります。就寝時間が遅い子どもほど寝つきや朝の機嫌が悪く、昼間に情緒不安定になりやすいことがわかっています。さらに遅寝は、子供の将来をつぶしてしまう危険性があるのです。

遅寝が知能の発達を遅らせる!?

米国睡眠財団が多くの論文の結果をまとめたところ、1~3歳までの幼児に必要な睡眠時間は昼寝も含めて12~14時間としています。しかし、夜遅く寝る子どもは睡眠不足の傾向があることがわかっています。保育園に通園しているとすると、朝7時ごろには起床しなければならず、夜10時に寝るとすると2時間昼寝をしたとしても1時間の睡眠不足となるわけです。

医学博士で睡眠科学、脳生理学を専門とする白川修一郎さんはこう話します。
「睡眠が不足すると朝の機嫌が悪い、朝食を食べられないといったことだけではなく、発達障害を引き起こす危険性があります。人間は3歳までに自律神経系の基盤が確立します。ここで自律神経系がしっかり確立されないと、汗をかきにくく体温調節ができない体質になる可能性があるのです。さらに、この時期は前頭葉の神経ネットワークが急激につくられます。これがうまくいかないと、知能の発達が遅れる危険性もあるのです。自律神経系や脳神経系の発達には十分な睡眠が不可欠です」

前頭葉は人間としての脳の働きの中枢を司り、とり込んだ情報を記憶し処理する働きも担っています。睡眠不足によって前頭葉の働きに影響が出ると、集中力や注意力が散漫になり、記憶力も低下してしまうのです。

そのほか骨や筋肉の発達に欠かせない成長ホルモンの分泌、運動能力、手先の器用さなども睡眠不足によって低下することがわかっています。

子どもは母親の遅寝に引きずられる!

では、遅寝の習慣を断ち切るにはどうすればいいのでしょうか? 白川さんはこうアドバイスします。「18時までには夕食をすませるなど、夕食の時間を早めることが早寝に結びつきます。けれども母親が働いていると、現実的に難しいものです。そこでまずしてほしいのは、母親が自分の睡眠を見直すことです。さまざまな調査により、母親の就寝時間が遅いほど、子どもの就寝時間が遅くなることがわかっていて、特に就学前の子どもはその傾向が顕著です。つまり、子どもを早く寝かせるためには、母親が早寝を心がける必要があるのです」(白川さん)

眠れる環境になっているかチェックしよう

また早く寝かせようとしても、子どもがなかなか寝つけないという場合もあります。その場合は次のようなことが考えられます。

□日中、あまり体を動かしていない
□就寝する直前に食事をしている(夕食はできれば就寝3時間前までにすませる)
□就寝する直前に熱い風呂につかっている
□寝室が明るい
□寝室や隣の部屋でテレビなどの音がする
□3時間以上の昼寝をしている

上記のようなことはなるべく避けて、眠れる環境を整えましょう。

まとめ

「たくさん食べて大きくなってほしい」「積極的に学ぶ意欲を持ってほしい」……親なら子どもにそうした期待を抱くものですが、これらは睡眠が整ってこそ実現するものです。まずは基本的生活習慣である、子どもの睡眠を見直しましょう。

(取材協力:白川修一郎、文:中寺暁子)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.05)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

※この記事は2014年07月11日に公開されたものです

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