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二階堂ふみ、「おもしろい人と出会って、恋愛して、ケラケラ笑って楽しく毎日過ごせたらいい」

ベネチア国際映画祭で最優秀新人賞に輝いた『ヒミズ』や『四十九日のレシピ』など映画中心に、8月からはNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」に出演するなど活躍中の二階堂ふみさん。今年4月に大学入学したばかりの19歳ですが、名監督たちから次々とラブコールが来る実力派の彼女の最新作は桜庭一樹の直木賞受賞作の映画化『私の男』。天災孤児となり、遠縁の男に育てられた少女・花を演じています。

北海道・紋別町で、10歳のときから遠縁の淳悟とひっそりと暮らしてきた花。2人は人知れず禁断の愛を育んでいるという設定ですが、二階堂さんは花について「ほかの人とちがうとか、何か変わったものを持っているとかではなくて」と言います。

「花だけじゃなくて、女性なら誰しもが少女から女性になっていくときって、いろんなものを得たり気づかないうちに捨てていたり、いちばん変化する時期だと思うんです。花の場合は、自分からアクションを起こさなくても、そこにいるだけでまわりの大人が花の渦に巻き込まれていく。そういう要素がすごく強い女性だったのでは、と思いますが、演じていて花が特別な女性という気持ちはありませんでした」

淳悟を演じるのは浅野忠信さん。撮影現場では、常に花と淳悟の関係性を保ったまま接したそうです。

「淳悟と花はすごく深いところで通じ合い、言葉とか人間の論理的なものでは語れない空気感や思いやりがすごく強い関係です。そういう関係性は、カメラがまわっていないところでも意識していると、現場で自然とにじみ出てくるというか。それは完成した作品を見たときも思いました。監督と話し合ったり、浅野さんに淳悟として接してもらえたことは、すごく大きかったと思います。お2人から、今まで自分が出したことのないような表情や声を引き出してもらえたんじゃないかと思いました」

理屈を超えたところで濃密なつながりを持つ2人の関係は、一般的にはタブー視されがち。二階堂さんはこう考えます。

「人間が生活を営んでいくうえでの約束事を決めていく中で、いろんな文明が発達してきたと思うんです。社会のルールの中では、淳悟と花のような関係がタブーとか禁断という言葉で括られる。でも、この2人にそんな発想は一切なくて。そういう約束事を1回“ナシ”にしたときに出てくるのが、人と人、男と女っていう根本の、ずっとずっと深いところにある見えない何か。これがもしかしたら本来の人間のあり方なのかもしれないですし。2人の関係について、私は正解がないんじゃないかなって思っています」

(C)2014「私の男」製作委員会

2人だけの小さな世界に生きる花と淳悟について「純愛なのかもしれない」と言う二階堂さん自身の恋愛観を尋ねると、「自分自身では“こうありたい”みたいな理想はあまりないです。花みたいな経験もありませんし。おもしろい人と出会って、恋愛して、楽しく毎日過ごせたらいいなと思っています」と明るい表情で答えが返ってきました。苦しい恋については?

「したくないですね(笑)。なるべくケラケラ笑っていられるようなのがいいです。でも、好きじゃないですか、芸術家はそういうつらそうな関係が(笑)。映画とかで見るぶんには好きなんですけど。私自身はケロッと、相手に『好き!』って言えるみたいな感じがいいなと思っています」

つらく苦しい恋は、女優として演じることで、ある意味経験もできます。

「そうですね。でも、そういう恋愛もこの先もしかしたらあるかもしれない。それはそれで、経験としていいんじゃないかなとは思っています」

●映画『私の男』
6月14日(土)全国ロードショー
http://watashi-no-otoko.com/

Photo/Takako Kanai

(冨永由紀)

※この記事は2014年06月10日に公開されたものです

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