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合理的?それとも夢がない?ノルウェーに婚約指輪は存在しない!

ノルウェー人のカレからプロポーズされた!! 週末、婚約指輪を買いに行く約束をしたの。どんな指輪がいいかな? やっぱり大きな一粒ダイヤがいいかしら。それとも、結婚指輪と重ねづけできるようなエタニティリングがいいかしら……。

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もし、こんな状況があなたに訪れたら、心しておいてほしいことがあります。

ノルウェーには、婚約指輪は存在しません!

正しくは、婚約指輪は存在しますが、日本人が思うような、あの、ダイヤがキラキラ輝く婚約指輪は存在しないのです。

ロマンチックのかけらもないノルウェーの婚約指輪事情

ノルウェーでも、カップルが婚約をすると婚約指輪を購入します。この婚約指輪は、基本的に非常にシンプルな金のペアリングで、日本でいうところの結婚指輪です。このペアリングを、婚約期間中は左手の薬指にします。

ノルウェーでは、シンプルなペアリングを婚約指輪として左の薬指につける

ノルウェーでは、婚約をしたものの結婚をしないまま何年も過ごすカップルも少なくありません。同棲と結婚の間にさほど大きな違いはないため、結婚を急ぐ大きな理由がないのかもしれません。

多くのカップルが、同棲中に子供をもうけます。子連れの結婚式はとても一般的ですが、ノルウェーでは結婚式は自分たち、または親兄弟の手を借りて作り上げるため、子供が小さくて結婚式を挙げるのもままならない、というカップルもいます。

ノルウェーでは子連れの結婚式も珍しくない。パパとママの指輪交換に乱入する赤ちゃん

また、教会での結婚式を希望する場合には、カップルの両方が同じ宗派である必要があります。異なる宗派の場合は、講義を受けるなどして結婚式に備えなくてはなりません。こういった理由から、婚約はしたけれど結婚をする予定はない、というカップルもいます。

婚約指輪が結婚指輪

いざ結婚すると、今まで左手の薬指にしていた指輪を、右手の薬指につけかえます。そう、言葉は悪いですが「使い回し」! 婚約指輪=結婚指輪だなんて、なんて経済的なんでしょう。

婚約指輪を購入する際には、多くのカップルが相手の名前と婚約した日付を裏に刻みます。結婚が決まると、婚約指輪を宝石店に持ち込み、表面を磨いてきれいにし、結婚式の日付を裏に刻んでもらいます。この時に、ダイヤを埋め込んだり模様をつけたりと、少し加工するカップルもいます。

ノルウェーで婚約指輪が左手、結婚指輪が右手につけられる理由は、聖書の中に右手に指輪をする場面がいくつかあるからだそうです。右手は力と権威の象徴で、その力は、神の右手を通じて人間にもたらされるとされています。

質よりデザイン、価格を重視

そもそも、ノルウェーの女性は、宝石にあまり興味がありません。アクセサリーを好む女性は多く、お店もたくさんありますが、いわゆるハイブランドを除いては、合金や人工石のアクセサリーがほとんどです。昔ながらの宝石店もありますが、若者受けするようなデザインは少なく、若い世代は安価なアクセサリー店を利用します。

また、プラチナは好まれず、イエローゴールドかホワイトゴールドが主流です。その理由として、白人の肌にはプラチナの色が映えにくいからだという人もいます。ゴールドも、18金よりも14金がよく使われ、さらに金の含有量の少ないものもたくさん流通しています。

日本のように、あちこちに宝石店があって、若い人でも本物の宝石を複数所有しているということは、ノルウェー人には逆に驚きのようです。

結婚が再び注目されている

ノルウェーでは、結婚を選択しないカップルも多くいますが、ここ最近は結婚がブームでもあります。1990年代前半には、年間の婚姻件数は2万件を割り込みましたが、2000年以降は2万5千件前後で推移しています。

2013年の婚姻件数は23,410件だったのに対し、離婚件数は9,736件、別居件数は10,912件にもなります。離婚したカップルと別居したカップルを合計した数字は、婚姻したカップルの88%にも上るのです。この数字を見ると、結婚を選択しないカップルの気持ちも分からないでもありませんね。

増えつつある?婚約指輪を用意するノルウェー男性

周りのノルウェー人と結婚した外国人女性に尋ねてみると、婚約指輪がなかったことにびっくりしたりがっかりしたり人が少なからずいます。ノルウェー人男性に尋ねると、結婚指輪と別物の婚約指輪の存在自体を知らなかったり、そういった婚約指輪は映画のだけのものだと思っていたという人もいたりします。

しかし、最近では映画やドラマの影響もあるのでしょうか。プロポーズの際に、ダイヤの指輪を用意する男性も増えてきているようです。

(文・御供理恵)

著者プロフィール

御供理恵(みともりえ) 東京学芸大学大学院心理学講座修了。ノルウェー人の夫の転勤に伴い、オランダ、ルーマニア、韓国と引越しを重ねる。2010年からは北極圏の町、ノルウェー・アルタ在住。難民受け入れセンターでソーシャルワーカーとして働きながら、ライターとして雑誌・インターネット・テレビなどを通じ、日本に向けてノルウェーから情報発信している。

【webサイト】http://www.arcticrainbow.com/

【facebook】https://www.facebook.com/ArcticRainbow

※この記事は2014年05月15日に公開されたものです

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