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みりんは飲み物だって本当?「みりんは高級酒」

上品な甘さと香りが特徴の「みりん」。煮崩れを防いだり生臭さを消すなど、日本料理には欠かせない存在だ。

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いまではみりんは調味料だが、なんと10数年前までは「飲み物」だった。正月に飲まれるお屠蘇(とそ)や、焼酎と合わせたカクテルも存在する、マーボー豆腐よりもカレーよりも由緒正しい飲み物なのだ。

みりんは高級酒!

みりんは日本酒に近い存在で、米と米こうじを原料に作られる。大きな違いはもち米を使うことと、アルコールを発生させる発こうではなく、もち米を分解する糖化をおこなう点だ。その際にアルコールが必要なので、焼酎などをあらかじめ加えて作る。

現在のみりんには3種類あり、アルコールの度数と、お酒か調味料かを比較すると、

・本みりん … 13.5~14.5% / お酒

・みりん風調味料 … 1%未満 / 調味料

・発こう調味料 … 10~14% / 調味料

で、発こう調味料のみりんはアルコール量だけをみればお酒扱いだが、塩分が多く飲用には適さないので調味料に分類される。対して、本来の作り方で生まれた「本みりん」は酒税法でも混合酒類に分類され、お酒を販売できる店でしか購入できない。

日本に登場したのは戦国時代で、中国から蜜のような甘い酒「密淋(みりん)」が伝わったとされている。いま風にいえば甘いカクテルのような存在で、女性やお酒が苦手なひとに愛飲されていたのだ。現在の日本酒のアルコール度数は15%程度だから、みりんは決して弱くはない。

それでも人気を博していたのは、当時の日本酒は「どぶろく」のようなにごり酒が中心だったので、クセが強く飲みにくいと感じたのだろう。

江戸時代になると、現在のように澄んだ清酒が量産できるようになり、みりんはお酒の座を明け渡すようになった。そのためみりんは料亭などで調味料として使われ始めたが、それでも一般家庭にとっては高価だったため高級酒扱いは明治時代まで続く。

調味料として名をはせるようになったのは1959年(昭和34年)で、酒税法改正で大幅減税されたのをきっかけに、各家庭でもふんだんに使えるようになったのだ。

夏の定番・みりんカクテル?

調味料として認知されているみりんも、じつは今でも飲まれている。正月のお屠蘇(とそ)だ。

お屠蘇は山椒(さんしょ)や桔梗(ききょう)などの薬草をお酒に浸したものだが、現代では薬草がブレンドされた屠蘇散(とそさん)をみりんに一晩浸したものが一般的だ。みりんが高価だったころに「せめて正月ぐらいは」と使われた名残りだ。

焼酎と合わせたカクテルも存在する。落語にも登場する「柳かげ」だ。焼酎はみりんの原料に使われるぐらいだから、相性ばつぐんの飲み物と言えよう。似たようなものに「本直し」もあり、これは焼酎にもち米とこうじを加えたものだから、糖化される前の「みりんの原料」と呼ぶべきだろうか。

どちらも江戸時代に登場し、栄養補給を兼ねた夏の定番カクテルだった。税率が下がった後は節税目的で販売されていたが、2000年の酒税改正で焼酎と同じ扱いとなったため、メリットがなくなり、今ではほとんど見かけなくなった。

わずか十数年前まで飲み物だったと考えると、「みりんは調味料だって知ってた?」と聞くのが、歴史的には正しいのかもしれない。

まとめ

・みりんは、もともとお酒

・女性やお酒に弱いひとに人気の高級酒だった

・調味料として認知されるようになったのは、1959年の減税がきっかけ

・「本直し」「柳かげ」と呼ばれるカクテルも存在する

普段料理をしないひとにとっては不思議な存在みりんの正体がはっきりして良かった。

柳かげはみりん1+焼酎(米)2~3を冷やせば完成なので、お試しあれ。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2014年04月25日に公開されたものです

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