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「こまめに消灯」は節電にならないって本当?「頻繁にOn/Offすると、寿命が縮む機器も多い」

少しからだを動かすと汗ばむ陽気になってきた。今年の夏も、電力不足に悩まされないか心配だ。

【もしも自転車で電気を作って売電したら「全力で8時間こいでも日当は182.4円」】

「こまめに消灯」なんて張り紙を見かけるが、本当に節電できるのだろうか?スイッチを切れば確かに電気は流れないが、入れたときに多くの電力を使う機器も多いので、頻度によってはよけいに消費してしまう。

蛍光灯のようにOn/Offを繰り返すと極端に寿命が短くなる機器もあるので、新しい製品に買い替えたほうが、消灯よりもサイフにやさしいのだ。

こまめに切っても節電できない?

電気製品が必要とする電力は「消費電力」と呼ばれ、例えば1,000W(ワット)のように表現されるが、普通に使っているときの「定格」と、もっとも多くの電気を必要とする「最大」消費電力がある。ほとんどの電気製品はスイッチを入れたときに、普段よりも多くの電気を必要とするのだ。

電気製品の種類と、定格消費電力の何倍用意すべきかの目安をあげると、

・1倍 … 電気ポット、コーヒーメーカーなど

・2倍 … 扇風機、電動ドリルなど

・4倍 … 冷蔵庫、ポンプなど

と、種類によって大きく違う。熱を発するヒーター系はほぼ定格通りだが、モーターが入っていると2倍ぐらい必要となる。水をくみ上げるポンプや気体を圧縮するコンプレッサーは、スイッチを入れるとすぐに高負荷がかかるため、4倍程度を見込んでいないとブレーカーが上がってしまうこともある。

つまり「こまめに消灯」は、逆効果になる電気製品もあるのだ。

フィラメントを使った白熱灯は、ある意味でヒーターと同じ構造なので、Offにしている時間だけ得、と言えよう。ただしアイロンやコーヒーメーカーは、温度が上がるまで待たないと使えないので、数分使わない程度ならOnのままが得だ。

スタート時に大電力を要するモーター類は、On/Offを頻繁に繰り返すとかえって損することになる。代表例は掃除機で、定番の節約術では「事前に部屋を片付けておく」「掃除機は一気にかける」と言われているように、頻繁に入り切りするとよけいな電気を使ってしまう。

片づけは苦手だが節電したい!なら、あいだを取って、吸い込み力「弱」で使い続けるのが良いだろう。

節電すると寿命が縮む?

起動時は消費電力が多いだけでなく、電気製品に大きな負担がかかる。あまり頻繁に入り切りすると、寿命を縮めてしまうのだ。

代表例は蛍光灯で、なかでも古典的なグローランプ式は、こまめに節電すると、あっという間に寿命を迎えてしまう。グローランプは一瞬光る筒状の部品で、点灯時に高い電圧がかかるため、使ううちにすすけてしまう。同様に蛍光灯にも負担がかかり、3時間ごとにOn/Offしたときの寿命を100%とすると、

・2時間ごと … 約80%

・1時間ごと … 約60%

・30分ごと … 約40%

と、頻繁に入り切りすると、加速度的に寿命が縮む。蛍光灯の構造上、節電と寿命の両立は極めて困難なのだ。

もっとも簡単な解決策はLED照明への交換だ。点灯時の負担はほとんどないので「こまめに消灯」するほどに節電できるし、同じ明るさで消費電力は1/6程度で済む。使い方を工夫するよりも、新しい技術を取り入れたほうがお得なのだ。

同様に、資源エネルギー庁の資料から、ほかの家電製品の消費電力の改善率を抜粋すると、

・冷蔵庫 … 1998 -> 2010年 : 23.7%

・照明器具 … 1997 -> 2010年 : 35.7%

・電気便座 … 2000 -> 2006年 : 14.6%

と、設計の新しい機器なら、意識しなくても節電できる。

まとめ

・電気製品は、On時に多くの電気を使う

・掃除機など、モーターを使った製品は2~4倍消費する

・頻繁にOn/Offすると、寿命が縮む機器も多い

・設計の新しい製品は、普通に使ってもかなり省エネ

もったいない気持ちはわかるが、新製品に乗り換えるのも省エネの一環のようだ。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2014年04月06日に公開されたものです

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