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お風呂の残り湯で洗濯は、得か? 入浴剤の汚れも大丈夫!?「はるかにお得」

お風呂の残り湯で洗濯するのは、本当にお得なのか調べてみました。

もったいないの代名詞とも呼べるお風呂の残り湯。そのまま抜くのも忍びなく、洗濯に再利用するのが定番だが、電気代のほうが高い、洗濯物がクサくなるなど、さまざまな話を耳にする。

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残り湯で洗濯は、本当にお得なのか? 一日経った残り湯は確かに雑菌が多いが、正しく使えば洗濯物がにおうことはない。お風呂一杯使い切るなら、お湯の臭いやヌメリを防ぐ薬を買っても、洗濯に使ったほうがはるかにお得なのだ。

安くて高い水道水?

残り湯をくみ上げるポンプの電気代と、水道料金を比較してみよう。現在は「お湯取り機能」などの呼び名で、あらかじめ洗濯機にポンプが組み込まれている製品が多く、カタログで確認すると、

・消費電力 … 30~40W(ワット)

・くみ上げ能力 … 毎分10~12リットル

が多かったので、40W・毎分10リットルで計算することにしよう。

料金は、電気/水道どちらも基本料金がかかるし、使う量が増えると単価が上がるので比較ができない。そこでどちらも基本料金は除外し、課金されるもっとも安い単価でシミュレーションしてみよう。

まず水道の場合、東京都で課金されるのは6立方m(メートル)以上使った場合で、最低単価は1立方m当たり22円だ。また、使用量に応じて下水料金が発生するのだが、8立方mまでは一律560円のため、560÷8=70円で計算すると、1立方m使うと合わせて92円となる。

1立方mは1,000リットル・重さ1トンだから、2リットル換算だと0.18円に過ぎない。市販のおいしい水やミネラルウォーターと比べると、とてつもなく安い。

電気料金も下水料金と同じような仕組みで、最初の8kWh(キロワット時)までは224円45銭に固定されているため、割り算すると1kWhあたり28.1円となる。1kWhは1,000wの家電を1時間使った場合の意味だから、1,300Wのドライヤーを約45分使ったのと同じになる。

意外と安いものだ。

1立方mの水を40W・10リットル/分のお湯取りポンプでくみ上げるとどうなるか?全部くみ上げるには1,000÷10で100分間、およそ1.7時間かかる。これに消費電力40Wをかけて電気代を計算すると、なんと0.068kWh・約1.9円しかかからない。

差し引き90円分の水道代が浮くのだから、残り湯で洗濯は多いにありだ。

臭い対策も

洗濯物がクサくなるかどうかも、残り湯の使い方次第だ。

風呂の残り湯には確かに細菌が多く、条件がそろうと一晩で1,000倍以上に増える。追い炊きをすればOK!はウソで、40℃程度では死滅しない菌が多い。レジオネラ菌などの極悪な菌を殺すためには、60℃以上に沸かさないとダメなのだ。

洗濯物がニオわないようにするためのポイントは、残り湯をすすぎに使わないことだ。高温の乾燥機を使うなら話は別だが、自然乾燥ではどうしても洗濯物に菌が残ってしまい、臭いを放ってしまうからだ。横浜市水道局の資料によると、

・(洗い)残り湯 + (すすぎ1)水道水 + (すすぎ2)水道水

・(洗い)水道水 + (すすぎ1)水道水 + (すすぎ2)水道水

のどちらも、きちんと乾燥させた後はほとんど菌が検出されなかったと実験結果があるので、洗いに使うのは全く問題ない。

それでも気になるひとは、お湯の臭いやヌメリを防ぐ清浄剤が良いだろう。これも1立方mにそろえて、標準的なお風呂の5倍使っても75円程度なので、水道水よりもまだ安い。ただし約160リットル、洗いだけなら4~5回分がボーダーラインになる。

それより少ないと清浄剤代が赤字になるのでご注意を。

入浴剤の汚れも大丈夫!?

ここまで読むと、入浴後の残り湯を洗濯に使うはたいへん有意義なことだとおわかりのはずですが、入浴剤を使用した場合はどうなのか不安ですよね。調べたところ、多くの入浴剤のパッケージには「残り湯を洗濯に利用できる」と書かれています。残り湯の汚れだけではなく、入浴剤が洗濯洗剤の働きを妨げないよう商品開発されているのだとか。使い方をちゃんと守れば入浴剤の汚れも大丈夫だそうです。

<入浴剤の残り湯を使った洗濯方法>
残り湯で洗濯洗剤を使用して洗った後、清水でよくすすいでから柔軟剤で仕上げする。

<主な使用上の注意ポイント>
1.残り湯と柔軟剤を一緒に使わない
2.残り湯でおろしたての衣類を洗濯しない
3.色のついている入浴剤の残り湯でつけおきはしない
4.すすぎは清水を使う。

まとめ

・お湯取りポンプを1時間使っても、電気代は2円程度

・1リットルくみ上げると、0.09円節約できる

・すすぎに使わなければ、洗濯物が臭う心配は少ない

残り湯の性質を考えると、洗濯よりもトイレの洗浄水が妥当だろう。

ただし大々的な工事が必要になるので、もとがとれるのは当分先になってしまうのが難点だ。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2014年03月20日に公開されたものです

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