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2022年12月14日 16:09 更新

【医師監修 】妊娠27週の赤ちゃんとママの状態は?胎児体重や妊婦の過ごし方について

妊娠27週目は妊娠中期最後の週。ついに平均体重1,000gを超えてくる赤ちゃんの重みを支えようと 、お腹をせり出す姿勢になって、多くのママが腰痛に悩まされます。むくみも起こりやすい時期なので、塩分摂取量にも注意しましょう。

妊娠27週ごろの胎児は?

妊娠27週のお腹の中のイメージ
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27週の赤ちゃんの様子|光を感じ、音に反応し始める

網膜が完成して光を感じるようになります。耳は穴(外耳道)も開通して音の刺激に反応し始めます。髪の毛や足の指の爪が生えるなど、体の細部もどんどんできあがっていく時期です。ただし、この時期、超音波で見ると、皮下脂肪が少ないため、顔はしわだらけの老人のように見えるかもしれません。このあとどんどん赤ちゃんらしく、ふっくらとした体つきに成長していきます。

赤ちゃんの成長|ついに1kg超え! 肺呼吸の下準備も開始

妊娠27週の赤ちゃんの身体機能の成長の様子はどうでしょう。
体重平均は1027g[*1]と、ついに1kgを超えます。赤ちゃんの肺では肺胞という組織ができあがり、肺呼吸に必要な「肺サーファクタント」という肺をふくらませやすくする物質が分泌され始めます。また、赤ちゃんの腸には羊水を飲んだ後に残る老廃物が胎便としてたまってきます。

妊娠中期以降、胎動は徐々に周期的になってきていますが、28~30週ごろには眼球が動く時間と胎動のある時間の周期が一致するようになっていきます。

妊娠27週ママの体は?

妊娠27週でお腹が大きくなり、手をあてる妊婦
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お腹がせり出してきて、腰や背中の痛みに悩まされ始めることも

「妊婦に腰痛は付き物」といってよいぐらい、多くのママが腰背痛になりますが、妊娠後期に向けその頻度が高まってくるでしょう。

原因は2つ考えられます。1つはおなかの赤ちゃんが大きく重くなり、子宮がせり出してくるために、体の重心が前方に移動し、それを支える腰や背中の筋肉に負担がかかることです。

もう1つは妊娠中に分泌されるホルモン(エストロゲン、プロゲステロン、リラキシン)の影響です。これらのホルモンは、出産のとき赤ちゃんが産道を通りやすくするため、骨盤のつなぎ目の関節や靭帯を緩める作用があります。この変化によって、腰や背中の筋肉に負担がかかり、痛みが出ると考えられます。

自分でできる対策としては、
・背もたれがまっすぐの椅子に座り背中を伸ばす姿勢をとる
・毎日ストレッチなどで適度に体を動かす
・かための寝具に寝る

などです。とくに適度な運動は腰痛の予防に効果的とされています。たとえばヨガの「猫のポーズ」など、毎日できることを少しずつ取り入れてみると良いでしょう 。

猫のポーズ
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猫のポーズ

27週ごろのママの体調管理|今の時期に歯科健診を!

このころになると、赤ちゃんはさらにスピードを上げて大きくなっており、それに伴ってママの体にはいろいろな変化があらわれます。

息切れ、立ちくらみ、めまい……
妊娠中はホルモンの影響で息切れを感じやすいものですが、さらに妊娠中期以降は大きくなった子宮が横隔膜を下から押し上げるため、肺が広がりにくく深く呼吸しづらくなります。また、起立性低血圧による立ちくらみや目まいもこの時期気を付けたい症状です。 立ちくらみを起こして転倒したりして、大けがをする人もいます。ふらついたら、すぐにしゃがんで、休むようにしましょう。

こうした症状にはもちろん個人差がありますが、赤ちゃんが大きくなるにつれて、それまでなんともなかった動作が辛くなってくるのは多くのママが感じるところ。赤ちゃんは出産までにこれからもっともっと大きくなっていきます。


歯科健診を済ませておこう
仰向けに座るのが大変になる前に、ぜひ済ませておいてほしいのが歯科健診。お口のチェックです。
妊娠中は、妊娠していないときと比べてもエストロゲンやプロゲステロンという女性ホルモンが桁違いに増えますが、これらのホルモンはある種の歯周病菌を増やし、「妊娠性歯肉炎」(歯周病)の原因になるといわれています。歯周病の妊婦さんでは、早産や低体重児出産のリスクが高くなるという研究報告も出ています。

妊娠性歯肉炎は妊娠中期から後期に増えてくるとも言われています。 妊娠後期までに一度、歯科健診を受け、プラークコントロールの方法を指導してもらうようにしましょう。

早産リスクに気を付けて

妊娠22週から37週未満までの出産を早産といいます。日本では全妊娠の約5%[*2]の赤ちゃんは早産で生まれています。早産は時期が早いほど赤ちゃんに合併症のリスクが高くなるため、その危険がある場合は、できるだけお母さんのお腹の中に長くいられるような処置が行われます。なお、早産の危険が高い状態のことを切迫早産と呼びます。

早産の原因は不明な場合がもっとも多く、次に多いのが「細菌の感染」によるものです。 腟などから入った細菌が子宮や羊水に感染して子宮内で炎症が起こり、陣痛が早く来てしまう状態です。なるべく長く子宮の中で育つように治療しますが、子宮の中に置いておくより外に出してあげた方が有利と判断されて、早い時期に帝王切開などを行う場合もあります。

生活習慣では、妊婦さんのやせ(低栄養)、ストレス、喫煙(低酸素)などは、早産の原因になるともいわれています。できるだけ避けるようにしましょう。もし、早産が疑われる症状(規則的な下腹部の痛み・張り、性器出血:おりものに血が混じった程度の場合もあります、水のようなおりもの:破水 などの異変)に気づいたら、かかりつけ医を受診しましょう。

妊娠27週の健診

妊娠27週でエコー検査を受ける妊婦
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妊娠24(妊娠7ヶ月)~35週では、妊婦健診は2週間に1度受けることが推奨されています。妊娠中期には、主に赤ちゃんの発育具合のほか、早産や妊娠高血圧症候群などの病気の兆候がないかをみています。

逆子(骨盤位)でも心配する必要はありません

赤ちゃんは通常、子宮の中で下向きになっていて頭から生まれてきますが、赤ちゃんの頭が上に来ているのが逆子(骨盤位)です。横向き(横位)や斜位という場合もあります。逆子や横位などで経腟分娩すると、脳性麻痺や死亡する確率が少し高くなるために、現在の日本ではほとんど が帝王切開になります。

ただ、27週ごろの健診で赤ちゃんが逆子の状態でも、赤ちゃん自身が羊水の中で回転して、出産までには通常の位置に戻ることが多いです。心配しても逆子が治るわけではないので、気にする必要はありません。

30週になっても逆子の場合、以前は胸膝位・側臥位などのいわゆる「逆子体操」を指示されることもありましたが、ほとんど効果がないことがわかったため、現在では行われていません。

36週を過ぎても逆子のままという場合は、「外回転術」が実施される場合もあります。これは薬で子宮収縮を抑えながら、お腹の上から医師が赤ちゃんを回転させる手技です。外回転術は、緊急帝王切開に切り替えられる準備をしたうえで、それまでに帝王切開をしたことがない、赤ちゃんが十分に大きくなっているなどの条件を満たす場合に試みられますが、成功率は60~70%ほどとされています[*3]。

妊娠27週のママが気を付けたいこと

妊娠27週でお腹のケアをする妊婦
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むくみにも要注意

妊娠中期~後期は赤ちゃんがそれまでにも増して大きく育つ時期。できるだけ栄養バランスのよい食事を心がけましょう。ママの体調面から考えると、むくみ対策にも気を付けたいところです。

妊娠中のママはホルモンの影響で体内の細胞に水を蓄えようという作用が働き、むくみがでやすくなっていますが、妊娠中期以降は体の中を巡る血液の量が増え、さらにむくみやすくなります。

むくみ対策としては、塩分の摂りすぎに注意しましょう。18歳以上の女性では、食塩は一日7.0g未満とすることが推奨されており、これは妊娠中も変わりません[*4]。 なお、バナナなどカリウムを含む食品をとると余分なナトリウムを尿と一緒に排出してくれます。

無事に出産を迎えられる準備を

そろそろ、出産に備えて、具体的にいろいろな準備を始めておきましょう。

赤ちゃんの名前や必要ならばお部屋のレイアウト変更、ベッドなどのベビー用品はレンタルにするか、買いそろえるのかなど、パートナーと話し合いながら、必要なもののリストを作るのも楽しい時間になります。

まずは「入院に必要なもの」「出産後すぐに必要なもの」「退院したらすぐに必要なもの」に分けて考えるとよいでしょう。先輩ママたちから「買ったけど必要なかったもの」「用意すればよかったと後悔したもの」の情報を聞くのも参考になりますね。

「健診で切迫早産と診断され、そのまま入院することになった」なんていう想定外の事態も十分に起こりえます。入院準備は遅くとも妊娠35週ぐらいまでには終えておくようにしましょう

衣服やお出かけ先での注意点

服装は体を締め付けない楽なものを身に付けましょう。とくにお腹周りを圧迫しないもの、ワンピースのようにゆったりしたもので、前開きで着脱しやすいタイプが理想的です。

外出時も、出先で疲れたり具合が悪くなったときに、すぐに足を高めにして横向きに休めるような服装をできるだけこころがけるようにしましょう。夏でもストールが一枚あると、空調で肌寒いときなどに調節できて安心です。母子手帳も必ず持っておきましょう。

まとめ

妊娠27週で竹林を散策する妊婦
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妊娠27週は妊娠中期最後の週です。妊娠後期になるとさまざまなマイナートラブルが重なってあまり無理がきかなくなるため、その前にできることは準備しておくことが大切です。栄養バランスのよい食事で母子ともに出産まで健康を維持できるよう工夫しましょう。

(文:山崎ひろみ/監修:太田寛先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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