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2021年02月04日 14:23 更新

【医師監修】腹帯はいつからいつまで? 妊婦帯の4つの種類と選び方

妊娠中にお腹が目立ってくると、「腹帯」や「妊婦帯」と呼ばれるものを巻くことがあります。これらはいつから? どんなふうに? 巻くものなのでしょうか。またどんな種類があるのでしょうか。腹帯(妊婦帯)に関する情報をまとめました。

腹帯とは「お腹を保護する帯」

腹帯(お腹を保護する帯)について知りたいママ
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まず腹帯の概要や役割について確認しましょう。

腹帯とは

腹帯とは、妊婦さんのお腹に巻く布全般のことをいいます。読み方は「はらおび」が一般的なようですが「ふくたい」と読むこともあります。そのほか「妊婦帯(にんぷたい)」と呼ぶこともあるようです。

元々は妊婦さんがお腹に巻いていた「さらし布(漂白した木綿の布)」を指して、腹帯と呼んでいました。しかし現在では、さらし布以外にもコルセットタイプやガードルタイプなど、さまざまな種類があり、それらも含めて「腹帯」と呼ばれています。腹帯の種類についてはのちほど詳しく説明します。

腹帯の2つの役割

腹帯に期待される役割は、大きく2つあります。ひとつは「保温」です。気温の低い場所や、夏場でも冷房の効いた場所に長時間いるとお腹や体が冷え、下痢などのトラブルを起こしたり、お腹が張ったりすることがあります。冷えを極端に恐れる必要はありませんが、お腹が冷えてトラブルが起こりやすい人にとっては、腹帯による保温はある程度役立つでしょう。

腹帯に期待されるもうひとつの役割は、「腰痛の予防や緩和」です。妊娠中は、出産に備えて分泌されるホルモンの影響によって骨盤の靱帯や関節がゆるんだり、お腹が大きくなるにつれ重心が変わって、上半身を反るような姿勢になったりすることから、腰痛になることが多々あります。腹帯をつけることで、大きくなったお腹の位置を正しく保つことが可能になり、多少なりとも腰痛を予防したり、やわらげることに役立つでしょう。

腹帯はおもにこのような役割を期待されて、日本では古くから妊婦さんに利用されてきたようです。

必要? 不要? 腹帯のメリット、デメリット、注意点

ところで、腹帯は妊娠中、必ず身につけるべきものなのでしょうか。先輩ママの中には「妊娠中は腹帯のおかげでお腹がラクだった」という人もいれば、「腹帯はとくに使わなかったけれど、何も問題がなかった」という人もいます。ここで腹帯のメリットやデメリットを整理してみましょう。

腹帯を身につけるといいのはどんなとき?

そもそも腹帯は「必ず使わなくてはいけない」というものではありません。先ほどの説明のように大きくなったお腹を支える役割があるので、例えば腹帯を巻いたほうがお腹が安定してラクだなと思ったときは使用してみるとよいでしょう。それ以外にも、寒さや冷房でお腹が冷えそうなときに腹巻き感覚で使ってもよいかもしれません。

いずれにせよ、「腹帯を使うと体がラクに感じられるとき」に、身につけてみると良いでしょう。

足のむくみがひどくなることも

ただし「腹帯がお腹を支えてくれるから」といって腹帯をきつく締めすぎるのは、良くありません。血流を妨げ、足のむくみをひどくすることがあります。場合によっては気分が悪くなることもあるでしょう。せっかく体をラクにするために使おうとしているのに、加減を誤って体に悪影響が出てしまっては本末転倒です。無理な着用は避けましょう。

運動する場合や暑いときは外して

また運動する際や暑いときには腹帯は外しましょう。

適度な運動は、経過に異常のない妊婦さんでは勧められていますが、妊娠中とくに中期以降はただでさえ息苦しいのに、運動により負荷がかかると、さらに息苦しさが増します。運動中はとくに呼吸をさまたげないよう、腹帯は外し、体を締め付けないようにしましょう。

また、暑いときに腹帯をつけたままでいると、あせもなどの原因になることも。気温が高いときも無理してつけず、外しましょう。

腹帯の主な種類

続いて腹帯の種類も確認してみましょう。
最初にもお伝えしたように昨今は、さまざまなタイプの腹帯が販売されています。具体的にはどんな種類があるのでしょう。

さらし型

「さらし」とは漂白した木綿の布地のこと。柔らかく吸水性に富んでおり、手ぬぐい、肌着、腹巻、おむつなどに昔から広く使われています。それをお腹に巻いて使っていたのが、昔からの腹帯です。神社などで安産祈願をすると腹帯用のさらしがもらえることもありますね。

昔ながらのさらしの腹帯を巻くには、まず新品のさらしを水通しするところから始めましょう。新品のさらしには、のりがついていて使い心地が良くありません。そのため水洗いして、のりを落とす必要があります。洗剤を入れずに洗濯機で洗えば、水通しはOKです。

しっかりと乾かしたら、一反の半分の長さに切り、布の幅も二つ折りにしてお腹に巻き付けていきます。巻き方の強さを自由に調節できたり、体形を選ばず使えたり、腹帯として使い終わったらおむつや手ぬぐいに再利用できたりするのが、さらしの腹帯のいいところです。

しかしその反面、巻き方にコツが必要だったり、せっかく巻いたのにくずれたりすることがあり、昨今では敬遠されることもしばしば。そのため現在は巻き終わりに伸縮素材が使われていたり、ずれないように途中でマジックテープで仮止めできるようになった、さらしの腹帯も販売されています。

腹巻き型

その名の通り、腹巻きのような筒状の形をした腹帯です。伸縮性があり、付け外しもかんたんで、着用感がラクなのが腹巻き型の特徴といえます。締め付けが少なく、自宅でのリラックスタイムや就寝中にも使用できます。お腹がまだ小さいうちから長期間使えるのも、うれしいポイントといえるでしょう。

ですが、しっかりしたサポート機能を求める人にとっては、少し物足りなく感じられるかもしれません。より安定感が欲しい場合は、ベルト型を組み合わせて使うこともあります。

ショーツ型

ショーツと腹帯が一体になったタイプです。ショーツのウエスト部分が大きく作られており、お腹をすっぽりと包み込むようになっています。ハイウエストのガードルのようなものと考えるとよいでしょう。

腹帯とショーツを別々に上げ下ろしする必要がないので、トイレのときにモタつかずに済むというメリットがあります。また一体型のすっきりしたデザインで、ボディラインが気になるパンツスタイルやワンピースのときにもシルエットを崩さずお腹を支えることができます。

ベルト型

面テープなどで、ワンタッチで着脱できるようになっているベルトタイプの腹帯です。付け外しがかんたんで、なおかつ微妙なサイズ調整も可能。しっかりとサポートできるので妊娠中期以降の、お腹が大きくなった妊婦さんにおすすめです。

腹帯を使う時期はいつからいつまで?

「腹帯を使う時期はいつからいつまで?」かを知りたい妊婦
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腹帯については「使い始めの時期がわからない」という人も少なくないようです。いつからいつまで使うのが正解なのでしょう?

使い始めは「帯祝い」の日が多い

腹帯を使い始めるタイミングのひとつとしてよく挙げられるのが、妊娠5ヶ月の「戌の日」または「大安の日」です。日本では古くから、この日に腹巻を巻き、安産を祈願する「帯祝い」という習慣があります。「着帯(ちゃくたい)の祝い」と呼ぶこともあります。

しかし帯祝いはひとつのきっかけに過ぎず、「腹帯をいつから使うか」という疑問に正解はありません。先ほど紹介したようにさまざまなタイプの腹帯がありますし、お腹が大きくなることに負担を感じる時期は人それぞれですから、気になったタイミングで試してみると良いでしょう。

いつまで使い続けるべき?

「腹帯をいつまで使うか」という疑問にもはっきりとした正解はありませんが、腹帯の販売元では出産まで使い続け、お腹を支えるのがよいとしています。

とはいえ、これも目安のひとつでしかありません。「いつからいつまで」といった期間にこだわらず、使ったほうがラクに感じられる場合は使い、そうでない場合は使用を休止したり中止したりするなど、柔軟に使い分けて構いません。

使わなくても問題ない

中には「腹帯をしないと逆子になる」「お腹が冷えて赤ちゃんに良くない」などと言ってくる人がいるかもしれません。ですが、それらはすべて迷信です。惑わされないようにしましょう。

そもそも腹帯は、日本ではメジャーな妊婦さん用アイテムですが、諸外国ではあまり使用されていません。そのことから考えても、腹帯は使用しなければいけないものではなく、使わなくても問題がないことがおわかりいただけるでしょう。

使ったほうがラクになる場合に使えばいいもので、使わなくても赤ちゃんや妊婦さんに害はありません。周囲の声に惑わされず、ご自身の考えで使う・使わないを決めるのがよいでしょう。

まとめ

腹帯は、妊娠中の大きなお腹を支えてくれる、便利なアイテムです。腹帯を使うと腰や体がラクになるのであれば、積極的に使って問題はありません。しかし一方で、使わなかったからといって問題が生じることもありません。使う場合は締め付けすぎに注意しましょう。必要に応じて上手に活用し、妊娠中を少しでもラクに過ごせるとよいですね。

(文:山本尚恵/監修:浅野仁覚先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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