【医師監修】赤ちゃんの口内炎 | 6つのケースと対処法
赤ちゃんにはたまに口内炎ができることがあります。口内炎には大きく6つのケースがあり、症状もそれぞれ違います。赤ちゃんの口内炎にはいったいどのような原因があり、どのようにケアしていけばよいのでしょうか。
赤ちゃんの口内炎で考えられる6つのケース
口の粘膜に起こる炎症のことをまとめて「口内炎」といいます。具体的な症状としては粘膜の赤みや腫れ、水ぶくれやただれ(潰瘍)、傷、出血などが挙げられますが、ときには発熱することもあります。
口内炎はいろいろな種類がありますが、ここでは代表的な6つを紹介します。
(1)アフタ性口内炎
口の中の粘膜、舌、口蓋(こうがい。口の中の天井の部分)に痛みを伴う潰瘍が1個~数個できます。潰瘍の表面が白く、まわりが赤く、真ん中がくぼんでいるのが特徴です。アフタ性口内炎では熱は伴わず、首のリンパ腺も腫れません。
症状は約10日前後で改善します。原因ははっきりとはわかっていませんが、口の中の不衛生、刺激、アレルギー、ストレスではないかと考えられています。
(2)カタル性口内炎(外傷性口内炎)
転んでケガしたなどで口の中が傷つき、そこが細菌などに感染したり、熱い食べ物でヤケドしたとき、口の中が不衛生なときなどにできる口内炎です。
カタル性の場合、傷ついた部分だけ白い口内炎ができます。こちらも1週間程度で自然に治ります。
ウイルス性口内炎
ウイルスの感染による病気の症状のひとつとして口内炎が出てくることもあります。ウイルス性口内炎にはいくつかの種類がありますが、特に免疫の未発達な子供がかかりやすい傾向にあります。代表的なウイルス性口内炎は下記の3つです。
(3)ヘルペス性口内炎
単純ヘルペスウイルスに初めて感染したときに起こります。生後6ヶ月~3歳ごろの乳幼児に多い病気です[*1]。39℃前後の高熱が突然出て、痛みの強い口内炎がたくさんできたり、唇や舌、歯茎、首やあごの下のリンパ腺が腫れ上がったりします。痛みで食欲がなくなります。
(4)ヘルパンギーナ
乳幼児や子供を中心に初夏~8秋にかけて流行し、手足口病、プール熱(咽頭結膜熱)とともによくある「夏かぜ」の原因です。こちらも急に39℃以上の高熱が出て、上顎から喉の周りにかけて口内炎や水ぶくれがたくさんできます。
詳しくは下記の記事も参照してください。
(5)手足口病
ヘルパンギーナと同様に夏に流行します。口の中だけでなく、手のひらや足の裏などにも水ぶくれができるため、手足口病と呼ばれています。この場合、発熱するのは3分の1程度と少なく、熱は出てもあまり高くならないのが特徴です。
詳しくは下記の記事も参照してください。
(6)鵞口瘡(がこうそう)
乳児によく見られる口の中の病気で、口の中にミルクかすのような白い物がつきます。この白いものはカンジダというカビの一種によりできたもので、よく見ると白い部分の周囲が少し赤くなっています。
これはミルクかすとは違ってはがせません。出血することもあるので、無理にはがさないようにしましょう。基本的には自然によくなるものなので治療はせず経過観察となりますが、母乳やミルクを飲めなくなっている場合などでは薬を使って治療することもあります。
ホームケアでは何ができるの?
ウイルス性口内炎以外はとくに治療はしなくても1週間程度で治ることがほとんどですが、できるだけ口の中は清潔に保ち、薬剤師に相談の上で赤ちゃんでも使える口内炎用の薬を薬局で購入し、患部に使用しましょう。その他にも、以降で紹介するように水分補給や食事に注意してあげましょう。
なお、熱やリンパ腺の腫れなどがありウイルス性の口内炎が疑われる場合は、まず小児科を受診してください。この場合も、医師の指示に従いながら、治るまでは水分補給や食事などに気をつける必要があります。
水分を十分に摂らせる
ウイルスは乾燥を好むので、水分を十分摂ることが大切です。刺激を与えないよう、温度は人間の体温と同じくらいにするとよいでしょう。
ウイルス性口内炎ではとくに口の中の痛みが強いので、赤ちゃんは母乳やミルクを飲みたがらないかもしれません。赤ちゃんがミルクを飲んでいる場合は、乳首を正しく使用できているかどうかも確認しましょう。乳首の不適切な使用により、赤ちゃんの口の中が傷つく可能性があるからです。もし、哺乳瓶で飲むのが痛そうなら、代わりに、カップやスプーンなどで水分をあげてもよいでしょう。
離乳食は刺激の少ない軟らかいものをこまめに
食欲が落ちやすいので、できるだけ栄養価の高いものを数回に分けて食べさせましょう。口の中が痛くて食事を嫌がる可能性があるため、刺激が少なく、軟らかい食べ物を選んであげることも大切です。熱いものや酸っぱいもの、塩気が強いものは避けます。
たとえば、冷ました薄味のスープやうどん、おかゆ、ヨーグルトやプリン、ゼリーなどがおすすめです。ただし、離乳前の赤ちゃんは母乳やミルクさえ摂れていれば、無理して食事を摂らせる必要はありません。
予防のポイント
大人やある程度成長した子供では、ビタミンB1、B2、Eの不足で口内炎ができることもありますが、これらの栄養素は母乳やミルクに含まれているので、離乳前の赤ちゃんの口内炎がこうした栄養素の不足が原因でできることは少ないでしょう。
口内炎の予防では、口の中を清潔に保つことも大切です。前歯が生えそろって歯ブラシを使い始めている赤ちゃんの場合は、歯みがきのときに柔らかいブラシを使うことで、口の中を傷つけにくくなります。
受診した方が良いのはどんなとき?
口内炎を痛がって水分や食べ物を十分に摂れない場合は、医師の診察を受けることをおすすめします。下記の受診の目安を参考に、小児科医、耳鼻科医、歯科医などに相談してください。
とくに、ウイルス性口内炎の場合は、症状が口内炎だけにとどまらず、熱が出たり、口の中以外も水ぶくれが出たり腫れたりします。その場合は、すみやかに小児科を受診して抗ウイルス薬や症状をやわらげる薬で治療してもらいましょう。
赤ちゃんに口内炎ができているときの受診の目安
☑ 母乳やミルクを飲めない/離乳食をまったく食べない
☑ 発熱など、他の症状もある
☑ ぐったりしている
☑ 口内炎が大きくなってきた
☑ 何度も再発してしまう
まとめ
口内炎には、原因がはっきりとしないものから、ケガややけどが原因のもの、ウイルス性のものまでさまざまな種類があります。ウイルス性口内炎以外は基本的に自然に治りますが、食欲がない場合や口内炎以外の症状がある場合、そして症状が長引く場合は受診するようにしましょう。
(文:今井明子/監修:丘 逸宏先生)
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※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
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