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2021年01月18日 17:59 更新

【医師監修】赤ちゃんの頭皮が乾燥でカサカサ! 適切なケアを教えて!

赤ちゃんの頭皮が、乾燥で「なんだかカサカサしている」ときはどうすれば良いのでしょうか? ここでは、赤ちゃんの頭皮がカサカサになる原因として考えられるものと、ケアするときのポイントについて紹介します。

赤ちゃんの頭皮が乾燥するのはどうして?

頭皮が乾燥している赤ちゃん
Lazy dummy

赤ちゃんの頭皮が乾燥しやすい理由として、考えられる原因をいくつか説明します。

皮膚のバリア機能が未熟だから

赤ちゃんの頭皮が乾燥するのは決して珍しいことではありません。乾燥肌は皮膚の「バリア機能」が未熟なことで起こります。バリア機能とは、「ほこりや菌などが皮膚に入り込むのを防ぐ」とともに、「皮膚内の水分が過剰に体外に出ていくのを防ぐ」こと。このバリア機能で重要な役割を担っているのは、皮膚の表層にある「角質層」です。

赤ちゃんの角質層は、大人に比べて、細胞内にある天然保湿因子(アミノ酸)や、細胞同士をつなぐ細胞間脂質(セラミド)などが少ないので、水分を保持する働きが弱く、十分な保湿機能を発揮することができません。

また、そもそも、子供の皮膚は大人よりも薄く、部位によっては成人の1/2~1/3の薄さしかありません。そのことも、赤ちゃんの皮膚が刺激に弱く、バリア機能が未熟な原因といえるでしょう。

赤ちゃんの肌は皮脂が少なく乾燥しやすい

また、角質層のもっとも表層にある「皮脂膜」も、皮膚がバリア機能を発揮するとき重要な役割を果たします。皮脂膜は、皮脂腺から分泌された皮脂と、汗腺から分泌された汗などが混じりあってできたもので、肌表面から水分が蒸発しすぎることを防ぎ、肌のうるおいを保ちます。皮脂膜ができるためには、十分な皮脂の分泌が必要です。

ただ、赤ちゃんの場合、性ホルモンの影響で、新生児期の皮脂の分泌は極めて盛んなのですが、生後1ヶ月をピークに2~3ヶ月で低下し、6ヶ月で低下は落ち着くものの、それから思春期まで皮脂の分泌量は低い状態が続きます。つまり、皮脂膜も大人より弱い状態なのです。

とくに生後4~5ヶ月はもっとも皮脂が少ないころ

生後4~5ヶ月になると皮脂が少なすぎるために、「皮脂欠乏性湿疹」という乾燥による湿疹になる赤ちゃんが増えます。特に生後3ヶ月頃が冬の寒い時期にあたると、空気の湿度が低いためにさらに乾燥しやすくなります。また、次項で詳しく説明する「脂漏性皮膚炎」の治療や予防のために洗浄力の強い液体石鹸などを使っていると、ますます乾燥がひどくなることもあります。

皮脂欠乏性湿疹になると皮膚のバリア機能が損なわれてしまい、乾燥で角質がはがれて皮膚の表面がカサカサになります。ときには白い粉をふいたようになったり、ひび割れができたりすることも。また、症状がひどくなると痛みやかゆみが発生し、気になってかいたり触ったりすると、ますます症状が悪化します。

「乳児脂漏性皮膚炎」で頭皮がカサカサした感じになることも

乾燥ではなく、過剰な皮脂分泌が原因の「乳児脂漏性皮膚炎」でも、頭皮がカサカサに乾燥しているように見えることがあります。乳児脂漏性皮膚炎を発症しやすい時期は生後1ヶ月あたりから生後2~3ヶ月あたりまでです。

乳児脂漏性皮膚炎の場合は、頭皮だけではなく、髪の生え際やまゆ毛、鼻などのよく皮脂が分泌される場所の肌に、フケのようなかたまりや脂っぽいかさぶたのようなものが貼りつきます。

赤ちゃんの頭皮の乾燥対策はどうすればいい?

赤ちゃんの頭皮の乾燥対策はどうすればいい?
Lazy dummy

赤ちゃんの頭皮がカサカサしないようにするためにはどうすればよいのでしょうか。ポイントは、よく洗ってしっかり保湿をするということです。

入浴で清潔にしたら「できるだけ早く保湿する」

汚れや汗、ダニやホコリ、食べ物や細菌などが頭皮についたままだと、それが頭皮への刺激となってかゆみが出ます。また、これらのものがバリア機能の弱った表皮から真皮に侵入すると、アレルゲンとして反応を起こし、皮膚炎を悪化させることもあります。

ですから、頭皮を清潔にすることはとても大切です。しかし、洗うことで皮脂を落としすぎたり、角質層まではがしてバリア機能を弱めてしまったりしては逆効果です。ですから、洗うときにはコツがあります。

低刺激の頭髪用シャンプーで洗う

まず、シャンプーは低刺激性の、ボディーソープではない、頭髪用のシャンプーを使いましょう。そしてしっかりと泡立て、シャンプーが残らないようにぬるま湯でしっかりとすすぎます。

洗い終わった後は保湿も大切です。できれば入浴後15分以内にベビーローションやワセリンなどを頭に塗って保湿しましょう。

乳児脂漏性皮膚炎の場合は、とくに丁寧に皮脂を落とす

乳児脂漏性皮膚炎の場合は、とくによく洗うことが大切です。洗い方が足りないと、頭全体がかさぶたで覆われてしまうこともあります。ただし、このかさぶたは無理にはがしてはいけません。かさぶたを無理にはがすとその部分が炎症を起こして症状が悪化するからです。

なお、かさぶたは頭を洗う1時間前にオリーブオイルやワセリンをコットンに含ませてかさぶたに貼りつけ、やわらかくしておくとはがれやすくなります。お風呂上りの保湿も忘れずに。

その他の注意点

その他、以下のような点にも注意すると、皮膚の乾燥を防ぐのに役立ちます。

・お風呂のお湯の温度は40℃以下にし、湯船に5分以上つかることは避ける。
 熱いお湯に入ったり長湯したりすると、皮脂が流れ出てしまう。

・シャワーを使う場合は水圧を高くしすぎない。

・加湿器を使って室内の環境を防ぐ

・肌に刺激の少ない素材の下着や寝具を選ぶ

病院に連れて行く目安は?

生後1~3ヶ月で、乳児脂漏性皮膚炎が疑われる場合、掻痒などの症状がひどいようなら小児科か皮膚科を受診し、必要に応じて治療薬を処方してもらいましょう。生後3ヶ月を過ぎたころからは脂漏性皮膚炎は良くなり、今度は皮脂欠乏性湿疹が目立ち始めます。

まとめ

赤ちゃんの頭皮がカサカサしていたら、月齢が低いうちは皮脂の分泌過剰で起こる乳児脂漏性皮膚炎の可能性が高いでしょう。月齢が上がると反対に皮脂欠乏性湿疹になりやすくなります。もし、かゆみを伴うなどし、症状がなかなかよくならないようであれば、アトピー性皮膚炎の可能性もあります。家庭でできるのは、まずはしっかりと頭皮を洗い、保湿して様子を見ること。症状がひどかったり、長続きするようなら、小児科か皮膚科を受診しましょう。

(文:今井明子/監修:大越陽一先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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