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2021年01月15日 17:05 更新

【医師監修】赤ちゃんの水分補給はどうする? 飲ませるものや離乳食期別のポイント

離乳食が始まると、母乳やミルクの量も少しずつ減っていきます。離乳食期の水分補給はどうすればいいのでしょうか? 赤ちゃんにぴったりな飲み物や、水分をあげるタイミング、成長発達に合わせたあげ方について紹介します。

離乳食が始まったら水分が足りているかチェックしてみよう

水分補給をとる赤ちゃん
Lazy dummy

欲しがるようなら水分補給を始めよう

赤ちゃんは離乳食が始まるころまでは、母乳やミルクのみから十分な水分を補給しています。
離乳食が始まると、だんだんと母乳やミルクの量が減っていきます。そのため、少しずつ水分補給が必要になってきます。

ただし、離乳食が始まったからといって、すぐに水分補給が必要になるわけではありません。離乳食にもたくさんの水分が含まれているからです。

さらに、「水分を取り込むための発達」は「離乳食の固形物を食べるための発達」よりも遅れて進んでいきます。水分は舌でまとめて飲み込むことができないので、口腔機能が未熟な赤ちゃんにとって、うまく飲み込むのが難しいものなのです。

そのため、まずは「赤ちゃんがほしがったら水分をあげてみる」のがおすすめです。外にお出かけして帰ったときやお風呂上り、汗をかいたときなどに試してみるとよいでしょう。飲みたがらない時には、無理にあげなくて大丈夫です。

なお、水分が不足すると便秘になることがありますが、脱水がないのに余分に水分を取らせても、便秘改善には繫がりません。
便秘というだけの理由で赤ちゃんに母乳やミルク以外の水分を摂らせる必要もありません。

赤ちゃんは何から水分補給する?

赤ちゃんはどんなものから水分を補給すればいいのでしょうか? 具体的に知っておきましょう。

ノンカフェインの麦茶や湯冷ましを

赤ちゃんにぴったりな飲み物は、ノンカフェインの麦茶や湯冷ましです。
湯冷ましは「お湯を沸騰させてから飲める温度に冷ましたもの」のことです。赤ちゃんの場合は人肌の36~37℃くらいに冷ましたものを哺乳瓶に入れてあげてみましょう。ただし母乳やミルク、食べ物からも水分は摂っていますので、欲しがらなければあげなくても問題ありません。

離乳食からも水分が摂れる

離乳食のうち、野菜スープや味噌汁の上ずみなど「液状の離乳食」にはたくさんの水分が入っています。また、その他の離乳食にも水分は含まれています。
特に離乳食を始めたばかりのころは、離乳食の水分は多めで、そこからも水分補給ができています。

その後、離乳食が進み固形物の割合が多くなったり、赤ちゃんが活発に動くようになると、自然と飲み物をほしがるようになってきます。離乳食の初期に麦茶や湯冷ましを飲みたがらないときは、水分は足りているのだなと思って安心してくださいね。

果汁や甘い飲み物はあげないで

果汁やイオン飲料を、水分補給としてあげるのはやめましょう。

アメリカの小児科学会では、「赤ちゃんにとって果汁は栄養上のメリットがないため、1歳までは与えない方が良い」としています[*1]。

また、果汁などのジュースやイオン飲料などの甘い飲み物には糖分が含まれているため、むし歯の原因になります。赤ちゃんのころからほ乳瓶でこうした甘い飲み物をあげ続けていると、前歯を中心に広い範囲にわたってできる「ほ乳瓶むし歯」になることがあるので、注意してくださいね。

離乳食期別のポイント

離乳食期別の赤ちゃんの水分補給のポイント
Lazy dummy

母乳やミルクを飲んでいるとき、赤ちゃんは舌を前後にだけ動かしています。これは乳首から母乳を絞り出して飲み込むための動きです。
成長とともに舌の動きも発達していき、水分を飲み込みやすくなります。
赤ちゃんの発達に合わせた水分補給のやり方も知っておきましょう。

離乳食初期

生後5~6ヶ月ごろになると、「舌で食べ物を喉に送り込む」という動きができるようになってきます。ただし、食べ物をつぶすような動きはまだできません。このころから離乳食が開始され、赤ちゃんは最初はスプーン1さじのおかゆから食べ物を飲み込むことを覚えていきます。

ただし、このころの水分補給はまだ母乳やミルクからが中心です。授乳のリズムに合わせて、たくさん汗をかいたときなど、赤ちゃんが欲しがりそうなタイミングで水分補給も試してみましょう。

離乳食中期

生後7~8ヶ月くらいになると、「スプーンの縁を唇ではさんで飲む」という動作ができるようになります。そのため、だんだんとスプーンから水分をすする動きができるようになってきます。

初めのうちは、上下の唇の間に横にしたスプーンを差し入れて、上唇が水分に触れたら少し傾けてあげましょう。一気に入れないで、少しずつ口の中に入れてあげてください。

飲めるようになってきたら、横にしたスプーンを下唇の上に置き、口を閉じて上唇が水分に触れるのを待ちましょう。これが「自分で水分をすする」という動きに繫がります。

離乳食後期

離乳食の後期も、母乳は赤ちゃんが欲しがるたびに、ミルクは1日2回くらいあげます。

水分を補給してあげる時には、最初は引き続き「スプーンからすする」ように促します。
一口分を飲めるようになったら、スプーンを大きめなものにしていって水の量を増やします。何日もかけて繰り返すうちに、カレースプーンなどの大きめのスプーンから、2~3回でごくごく飲めるようになっていきます。

スプーンから飲めるようになったら、「コップから飲む練習」をします。
こぼれにくいようにコップには水を少なめに入れるようにしましょう。まだ手で持って飲むのは難しいので、大人がコップを持って手伝いながら飲ませてあげてくださいね。

コップから飲めるようになったら、次は「自分でコップから飲む練習」です。
最初はおちょこのような小さくて飲み口の広い器を使って、自分で飲ませてみましょう。慣れてきたら、持ち手が2つついた軽いコップなど使いやすいコップで飲むようにします。
こぼれたり飛び散っても大丈夫な環境で、子供が自由に飲むのも、コップを使って飲むためのいい経験になります。

なお、赤ちゃんが水分を上手に飲めるようになるのは、通常このころ(生後9~11ヶ月ごろ)と言われています[*2]。

離乳食を卒業したら

離乳食を卒業しても、1人でこぼさないようにコップから飲むのは難しいものです。
1歳6ヶ月ごろは、1人ではコップから飲めない子やすぐにこぼしてしまう子がたくさんいます。でも、乳歯が生え揃って歯列ができあがると下顎が安定します。さらに成長とともに手指の機能も養われて、だんだんとコップから上手に飲めるようになっていきます。

なお、赤ちゃん用のストローつきマグカップのようなシリコンストローつきの容器は、こぼれないので大人にとっては便利ですが、お口の機能の発達を促すためには「コップから飲むこと」がおすすめです。
余裕があれば、できるだけコップから飲ませられるといいですね。

また、通常のストローを使う時には、くわえ過ぎて喉をついたりしないように、短くくわえるように促しましょう。最初はくわえるのが難しくても、だんだんと唇だけでストローを固定して飲めるようになってきます。

赤ちゃんが飲まない時には

ものを噛んだり飲み込んだりする動作は、普段意識せずに行っているものですが、実は口の中のいろいろな機能が発達していないとできません。赤ちゃんは、食べ物や飲み物を取り入れるための舌の動かし方を身につけている途中です。
ですから、つい口から押し出してしまったりだらだらとこぼしてしまうことがあります。

離乳食初期のころには、母乳やミルクを飲むときの動きをそのまますることで舌で押しだしてしまうことがあります。
これは赤ちゃんが飲むのを拒否しているのではなく、舌がそういう動きしかまだできないのです。
おもちゃをなめたり指しゃぶりをするうちに、スプーンで飲むのにも慣れていくので、気長につきあってあげてくださいね。

離乳食後期には、口の両脇からだらだらと水分をこぼすこともあります。
そんな時には、コップには少しだけ入れるようにして、コップの縁を上下の唇ではさむように練習してみるのがおすすめです。
手指で安定して持つ機能はこれから育っていくので、こぼさないように大人が持ってあげたり持つのを手伝ってあげるといいですね。

舌や唇の機能とは関係なく水分を欲しがらない時には、無理やり飲ませなくても大丈夫です。離乳食や授乳からも水分は補給できています。
ただし、いつもコップから飲みたがらない場合は、飲みにくいと感じていることもあります。そんな時にはスプーンから飲ませ、乳首以外から飲む練習をしてあげてくださいね。

まとめ

離乳食が進むにつれて、母乳やミルクの量が減って、授乳以外の水分補給が必要になってきます。むし歯にならないようにジュースやイオン飲料などの甘い飲み物は控えて、湯冷ましや麦茶などをあげましょう。赤ちゃんの舌の動きや唇の機能は少しずつ発達していきます。その発達に合わせて、スプーンやコップなどで水分補給をしてあげるといいですね。なお、赤ちゃん自身は飲みたいと思っていても、舌や唇、顎の動きがまだまだ発達中なために口から押し出したりこぼしてしまうことがあります。また、離乳食や授乳で十分水分が取れていて、水分をほしがらないこともあるでしょう。欲しがらない時には無理やり飲ませなくても大丈夫。少しずつ飲む練習をしながら、水分補給をしてあげてくださいね。

(文:大崎典子/監修:丘 逸宏先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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