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【医師監修】母子への影響が心配な妊娠高血圧症候群の原因と症状

【医師監修】母子への影響が心配な妊娠高血圧症候群の原因と症状

妊娠がわかって、希望にあふれる「妊婦」さんにも注意すべき危険が潜んでいます。今回ご紹介する「妊娠高血圧症候群」もその一つ。さてお母さんと赤ちゃんにどのような影響があるのでしょう?


この記事の監修ドクター
産婦人科医 巷岡彩子先生
産婦人科専門医、医学博士。都内の大学病院やクリニックでの勤務を経て、現在、不妊治療専門の産婦人科クリニックにて勤務。 ママドクターとして育児や家事と仕事を両立しながら活躍中。 女医プラス所属

妊娠高血圧症候群とは?

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以前は、妊娠中期に初めて現れる「高血圧」「タンパク尿」「むくみ」の症状を「妊娠中毒症」と呼んでいました。最近になり、お母さんや赤ちゃんの障害に直接影響を与えるのは、高血圧であり、血圧の高い妊婦さんはより慎重に管理されるべき、と「妊娠高血圧症候群」の名称となりました。
「妊娠高血圧症候群」とは、「妊娠20週以降、分娩12週までに高血圧がみられる場合」もしくは「高血圧にタンパク尿を伴う場合」のことをいいます。高血圧とは、収縮期血圧(最高血圧)140㎜Hg以上、または拡張期血圧(最低血圧)90㎜Hg以上を指します。

妊娠高血圧症候群は、胎盤が上手く作れないことにより起こると考えられています。妊娠後期になると、お腹の赤ちゃんは急速に成長し、その成長に見合った栄養を貰うため、血液量は1.3倍~1.5倍になります。妊娠高血圧症候群の妊婦さんは、この増加した血液量に対応できず、赤ちゃんの発育が悪くなることもあります。また胎盤の酸素交換が上手く行かなくなった結果、全身の血管が傷つけられて、血圧が上がったり、むくみや蛋白尿が出たりします。

妊娠高血圧症候群になりやすい人の特徴とチェック項目

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妊娠高血圧症候群は「高血圧」と「タンパク尿」があることですが、こうした症状が表に出ずとも、体内でその傾向が進行している……ということも珍しくありません。そのため「それまで何も問題なかったのに、妊娠36週~37週になり、突然妊娠高血圧症候群と言われた」ということもあります。また、妊娠中は発症を抑えられていたものの、お産のストレスも加わって分娩後に発症…というケースもあります。

あなたは当てはまる? チェック項目10

妊娠高血圧症候群になりやすいのはこんな妊婦さんです。

□35歳以上、15歳以下
□初産婦
□太めの体型
□多胎妊娠
□高血圧、腎疾患や糖尿病などの持病がある
□妊娠高血圧症候群を発症した既往がある
□ 血のつながりのある方に妊娠高血圧症候群や高血圧の方がいる 
□ 妊娠初期の血圧が高め
□ 感染症がある
□ イライラすることが多い
□ 塩辛いものが好きで食べ過ぎてしまう
□ 夜更かし、寝不足が多い

いかがでしたか?

初めてのお産の際に妊娠高血圧症候群になった方が、今回の妊娠でも発症する確率は約半分、と高くなります。また血のつながった家族に高血圧の方がいる場合も、リスクは2〜5倍になるとされますが、実際には遺伝的な要因ばかりでなく、様々な要因(栄養、ストレス)が合わさり発症します。
ひとつでもチェックがついた方は、「塩分やカロリーをとりすぎない」「規則正しい生活を心がける」「体重管理をしっかりとする」など生活を見直してみましょう。

妊娠高血圧症候群の原因

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仕組みは?

実は妊娠高血圧症候群の原因は十分に解明されていません。最も有力な説は妊娠の初期の胎盤の血管の作られ方が正常と異なる、というものです。
母体と胎児をつなぐ胎盤が形成される際に、より多くの血液がスムーズに流れるよう、子宮の血管の壁を作り直します。それが何らかの理由で上手くいかないと、胎盤での酸素や栄養の受け渡しが不十分となり、赤ちゃんの発育が悪くなります。お母さんの身体は、赤ちゃんに必要な酸素や栄養を、なるべく多く無理に流そうとするため、高血圧になるのでは…と考えられています。

遺伝的要因は?


遺伝についてもハッキリとはしていませんが、母親が妊娠高血圧症候群の場合、その子供が発症する可能性は、そうではない人よりも2~5倍高くなっているのです。

それでも、「コレ」という原因は解明されていないため、妊娠後期以降は、いつ、誰にでも起こりうる病気なのです。もともと肥満傾向にある人や、強いストレスを受けやすい人などは発症しやすい傾向にあるともいわれています。予防できない分、血圧の管理が非常に重要になります。



妊娠高血圧症候群の症状

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妊娠高血圧症候群は、自覚症状に乏しいという特徴があります。比較的重症となっても、毎回の妊婦健診で行われる「尿検査」や「血圧測定」で診断されるまで気づかない事が多いのです。さらに悪化すると、頭痛や耳鳴り、かすみ目(チカチカする)、みぞおちの痛みなどが出ることがあります。これらの症状は、けいれん発作(子癇)が迫っている兆候の可能性があり、厳重な管理が必要となります。

むくみ(浮腫)

むくみとは、血管内の水分が血管の外にしみ出してたまった状態をさします。妊婦さんのむくみは特別な事ではなく、約3割の妊婦さんにみられるため、「妊娠高血圧症候群」の診断基準から外されました。妊婦さんは赤ちゃんの発育や、出産に備えて体内の水分量が増加すること、また妊娠後期では大きくなった子宮に血管が圧迫されて血行が悪くなることから、特に足のむくみが起こりやすい状態にあります。ただし、妊娠28週前に全身にむくみがみられる場合などは、他の病気が隠れている場合もありますので、かかりつけの産婦人科に相談くださいね。

また、不快な「むくみ」を少しでも予防するためには、立ちっぱなしや座りっぱなしといったような、長時間の固定姿勢を避け、屈伸や背伸びといったストレッチや軽い運動で血行を促すようにしてください。また、入浴で身体を温める、マッサージする、足の下にクッションなどを置いて足を高くして寝る、…なども効果的です。

高血圧

「高血圧」とは、収縮期血圧(最高血圧)140㎜Hg以上(重症では160㎜Hg以上)、拡張期血圧(最低血圧)90㎜Hg以上(重症では110㎜Hg以上)のことをいいます。

尿たんぱく

妊婦さんは、妊娠前と比べて血液量が増え、腎臓にかかるが負担も大きくなるため、尿たんぱく(尿に含まれるタンパク質のこと)が出やすい状態にあります。尿たんぱくは、妊娠高血圧症候群の予備軍である可能性もありますので、陽性になった方は、血圧の推移にも注意して経過をみる必要があります。妊婦健診時に行われる検査で、尿たんぱく陽性が続く場合は、1日の尿をためて正確に測定する精密検査を行うこともあります。

妊娠高血圧症候群のリスクと影響

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妊娠高血圧症候群になると、お母さんと赤ちゃんの状況をさらに悪くする病気を合併する可能性があります。どういったものでしょうか。そしてお母さんや大切なお腹の中の赤ちゃんの命に影響することもあるのでしょうか?

ママ(母体)への影響

■子癇(しかん)
「子癇」とは、妊娠20週以降に初めて起きたけいれん発作のうち、てんかんや脳炎、脳腫瘍や脳血管障害、薬物中毒などが原因でないものを指します。妊娠中、分娩中、分娩後いずれの時期にも起きる可能性があり、ほとんどが妊娠高血圧症候群の妊産婦さんに起きます。急激に高血圧になることで、脳内の血液が増え、むくむことからけいれんを起こす、と考えられています。子癇が収まらない場合は、脳のむくみの進行から脳ヘルニアを起こす場合があります。こうなるとお腹の赤ちゃんだけではなく、お母さんの命も脅かす危険性もあるのです。

■HELLP症候群
妊娠後期からお産の後に発症しやすい病気です。血液中の赤血球が壊され、肝機能が悪化し、血小板が減少してしまう病気です。診断が遅れると、血液の凝固障害や全身の臓器のダメージを引き起こし、致命的になる可能性があります。症状として、突然の上腹部痛、心窩部痛、吐き気、などがあり、血液検査を行う事で診断します。妊娠高血圧症候群と関係があるといわれていますが、原因はまだ解明されていません。

■常位胎盤早期剥離
子宮の正常な位置についている胎盤が、赤ちゃんが生まれる前にはがれてしまう病気で、主な症状は性器出血、腹痛、子宮の異常な硬さ、胎動の減少などです。胎盤のはがれた部分が大きいと、出血性ショックを起こし、赤ちゃんがなくなることもある危険な病気です。お母さんの状態回復を優先しながら、なるべく早く赤ちゃんを外に出します。原因は分からない事も多く、発症を余知することは困難ですが、妊娠高血圧症候群で起こることが多いとされています。

赤ちゃんへの影響

妊娠高血圧症候群のとくに重症の場合は、子宮や胎盤での血液の流れが悪くなります。お腹の赤ちゃんは、お母さんから胎盤を通じて栄養や酸素をもらっているので、十分育たなくなったり(胎児発育不全)、体重の少ない赤ちゃんが産まれたり(低出生体重児)、酸素が足りなくなると低酸素症となり、長く続くと脳にも影響が出ることがあります。また最悪の場合にはお腹の中で赤ちゃんが亡くなってしまう(子宮内胎児死亡)こともあります。

子宮収縮が起こってしまうと、血液の流れがさらに悪くなってしまうので赤ちゃんは低酸素状態に陥り、胎児の脳や心拍に異常が出てしまう状態(胎児機能不全)が起こりやすくなってしまいます。そうなれば出来るだけ早く胎児を取り出さねばなりません。

まとめ

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妊娠高血圧症候群のこわさは、お母さんと赤ちゃんにさまざまな合併症を引き起こすことにあります。妊娠高血圧症候群の確実な予防法は現時点でありませんが、食べ過ぎや塩分を取りすぎにより、発症しやすくなることが知られています。健康的な食生活を心がけてみてくださいね。また自覚症状に乏しく、発症を予測することも困難です。健診をきちんと受けるようにしましょう。

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