【医師監修】子供が摂ってもOKなカフェイン量の目安は? コーラにも含まれるって本当?
飲み物に含まれている「カフェイン」。名称に「カフェ」とつきますが、コーヒー以外にも含まれています。そうなると、子供に普段飲ませている飲み物は大丈夫なのか、気になりますね。子供の飲み物はカフェインレスがいい理由や、そもそもカフェインはどういう成分で、何にどのくらい含まれているのかについて考えてみましょう。
カフェインは体にどう影響する?
食品に含まれる成分としてよく耳にする「カフェイン」ですが、どんなものなのか実はあまりよく知らない人もいるのでは。カフェインを摂取すると私たちの体にはどのような影響があるのでしょうか。
カフェインって何?
カフェインとは、食品に含まれる天然の成分のひとつで、脳などの中枢神経系を刺激する作用があります。
カフェインが含まれているのは、主にコーヒー豆。そして、緑茶や紅茶などのお茶類です。また、炭酸飲料やココアなどにも含まれています。
カフェインの体への影響は?
メリット
カフェインが体に与える影響のなかでまずメリットを紹介すると、適量摂取すれば眠気がとれて、頭がスッキリすることが挙げられます。中枢神経系を刺激し心拍数を上げるなどして、運動能力がアップする可能性もあります。
また、摂取のしかたによっては、がんや糖尿病、パーキンソン病などのリスクを下げる働きもあるのではないかと言われています。
デメリット
一方で、カフェインには摂り過ぎることによるデメリットもあります。過剰摂取すると、心拍数が増えすぎたり、めまいを引き起こしたり、吐き気や下痢を起こすことも。また、興奮作用と同時に不安感が強まり、覚醒作用もあるため眠れなくなるなどといったことも起こります。
子供とカフェイン
ところで、カフェインを摂取したとき、大人と子供ではその影響に違いはあるのでしょうか。また、気をつけるべきこと、知っておきたいことはあるのでしょうか。
子供はできるだけカフェイン摂取は避けて
もともとカフェインによる影響の出やすさ(感受性)には個人差が大きく、同じ量を摂取してもその影響が大きく出る人もいればそれほどでもない人もいます。ただし、子供はカフェインに対する感受性が高く、大人よりその影響を受けやすいと考えられています。
カフェインには覚醒作用があるため、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりします。このことからも、子どもの脳や体の成長に影響する可能性があると考えられています。また、とくに乳児の場合、摂取したカフェインの代謝に時間がかかるため、体内に長くカフェインが残ることになります。
少量のカフェインでも、大人よりも子供の方が影響を受けやすいもの。体も脳もぐんぐん成長中の子供は、できるだけカフェインを摂取しないように気を付けてあげましょう。
子どものカフェイン摂取で気をつけることは?
子供にわざわざコーヒーを与えるようなことはあまりないと思いますが、カフェインを含むのはコーヒーだけではありません。コーラやエナジードリンクなど、様々な飲料や食品にカフェインは含まれています。子供はカフェインをどのくらいまでなら摂っても大丈夫なの?というところが気になるでしょう。
子供のカフェイン摂取量の目安
子供の1日のカフェイン摂取量の最大量について、カナダでは年齢ごとに次のような量を推奨しています[*1]。
・4~6歳の子供…最大45mg
・7~9歳の子供…最大62.5mg
・10~12歳の子供…最大85mg
・13歳以上の青少年…体重1kg当たり2.5 ㎎(体重50kgの場合、125mg)
子供がよく口にする飲料・食品に含まれるカフェインの量
このカフェイン量は、実際の飲み物ではどのくらいの量に当たるのでしょうか。
たとえば、好きな子も多いコーラ。製品にもよりますが355ml入りの缶入りコーラ飲料1本あたりには、約36~46mgのカフェインが含まれているとされています[*1]。上記の子供のカフェイン最大摂取量からいえば、年齢にもよりますが、1日に1本くらいまでにしておきたい、ということになります。
また、これも量は製品によって様々ですが、栄養ドリンク(エナジードリンク)にもカフェインが含まれることがあります。必要な際はできるだけ子供用の製品を選ぶようにし、また与える前にカフェインの含有量をチェックしておきましょう。
もうひとつ、子供が大好きなココアにもカフェインは含まれますが、あまり多くないのでそれほど気にしなくても大丈夫そうです。ミルクココアなら、カフェインは微量しか含まれませんし、純度の高いピュアココア粉末を使用しても、1杯分相当の粉末5gあたりに含まれるカフェイン量は約10mgです[*2]。
一般的な飲料に含まれるカフェイン量は?
さきほど、コーラ飲料やココアなどのカフェイン量を紹介しましたが、他にも身近な飲料の、だいたいのカフェイン量を目安として知っておくと、安心でしょう。下記の表を見ると、たとえばインスタントコーヒーには1杯にカフェインが80mg含まれているので、6歳までの子供が飲むのは勧められない、ということがわかります。
食品中のカフェイン濃度 [*2]
食品名 | カフェイン濃度 | 備考 |
---|---|---|
カフェインを多く添加した清涼飲料水 | 32 ~300 mg/100 mL | 製品によって、カフェイン濃度、内容量が異なる。 |
インスタントコーヒー(顆粒製品) | 1杯当たり80 mg | 2g使用した場合 |
コーヒー(浸出液) | 60 mg/100 mL | 浸出法:コーヒー粉末10 g、熱湯150 mL |
紅茶(浸出液) | 30 mg/100 mL | 浸出法:茶5 g、熱湯360 mL、1.5~4 分 |
せん茶(浸出液) | 20 mg/100 mL | 浸出法:茶10 g、90℃430 mL、1 分 |
ほうじ茶(浸出液) | 20 mg/100 mL | 浸出法:茶15 g、90℃650 mL、0.5 分 |
ウーロン茶(浸出液) | 20 mg/100 mL | 浸出法:茶15 g、90℃650 mL、0.5 分 |
玄米茶(浸出液) | 10 mg/100 mL | 浸出法:茶15 g、90℃650 mL、0.5 分 |
(注)カフェインを多く添加した清涼飲料水は、市販4製品の成分表示等(2017年5月29日、一般社団法人全国清涼飲料工業会調べ)
コーヒー、インスタントコーヒー、紅茶、せん茶等は、文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より/厚生労働省 食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html
カフェインが入っていない飲み物は?
子供に与える飲み物としてより安心なのは、カフェインを含まないもの。どんな飲料がいいのでしょうか。
麦茶や水が好ましい
水はもちろんカフェインを含みません。また、水以外のノンカフェイン飲料の代表格は、麦茶。麦茶もカフェインを含まないので、赤ちゃんにも安心して飲ませてあげることができます。また、最近人気のルイボスティーもノンカフェインです。
ハーブティーは基本的にはカフェインを含みませんが、ハーブの種類によってはカフェイン以外に注意が必要な成分が含まれていることもあるので、子供に飲ませて大丈夫か、よく確認しましょう。
まとめ
カフェインを摂ると頭がスッキリするのは、やはり脳に刺激があるということ。成長期の子供の脳と体には刺激が強すぎることを覚えておきましょう。カフェインは子供が好きなコーラなどにも含まれています。
ただ、カフェインは、一口でも飲んだらいけないというものではなく、飲み過ぎに注意が必要なものです。神経質になりすぎなくて大丈夫ですが、子供に与える飲み物は、成分を確認してからあげるようにしたいですね。
(文:関川香織/監修:大越陽一先生)
※画像はイメージです
[*1]食品安全委員会 食品中のカフェイン
[*2]文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)16.し好飲料類」
[*3]厚生労働省 食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~
[*4]農林水産省「カフェインの過剰摂取について
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます