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2022年12月12日 17:00 更新

白斑ができた時は授乳していい?乳口炎の対処法と乳腺炎との関係【助産師監修】

乳頭に小さな白い塊ができて、チクチクと痛い。そんな症状があったら乳口炎(にゅうこうえん)かもしれません。乳口炎は、授乳中によく見られる乳房トラブルの一つです。放置すると乳腺炎になることもあるので、早めに対処しましょう。

白斑ができたら授乳が効く? 乳口炎になったときの3つの対処法

母乳の通り道である乳管の先端(乳管口)に小さな白い塊ができた状態、炎症を起こした状態が、乳口炎です。授乳姿勢が不適切なまま授乳をしていると、乳頭に余計な負担がかかり、白斑の原因になります。

白い塊は白斑(乳栓)といいます。白斑の大きさは1ミリ程度で、上皮や母乳の成分などが溜まって固まったものだと考えられています。塊の色は白とは限らず、黄色っぽいものもあるようです。
症状がないこともありますが、白斑のある周囲がピンポイントでチクチクと痛むことも。白斑があると、授乳時に激しい痛みを伴うことがあります。

乳口炎はセルフケアで改善できる乳房トラブルの一つ。まずは「温める」「つまりを取る」「母乳を出す」という3つのステップで対処していきます。

白斑と乳口炎対策

1. 温める

まず、白斑のある側の乳頭を温タオルなどで覆って温めます。お風呂に入って乳房を温めたり、シャワーのお湯を軽く当てて温めたりしてもよいでしょう。

2. つまりを取る

乳首やその周辺が温まって柔らかくなり、白斑がふやけてきたら、指先で軽くマッサージするように撫でて白斑を取ります。ガーゼなどの柔らかい布を使って拭き取ってもいいでしょう。

オリーブオイルなどを乳頭に塗ってしばらくおいてから温めると、白斑が取れやすくなります。

3. 母乳を出す

母乳を出す乳口炎ケア
Lazy dummy

白斑のある側から授乳をします(痛みが強く母乳が出にくくなっている場合は、反対側から始める)。
授乳を終えても乳房の張りが残っていたら、搾乳をします。

乳首やその周辺のマッサージも有効で、白斑の奥に溜まっていたものを押し出すように指で圧迫すると、糸状になった白いものが出てくることもあります。乳汁の流れが良くなると白斑もなくなります。適切なマッサージをするために、助産師にやり方を教わるとよいと思います。

白斑はすぐに取れることもありますが、数週間から1ヶ月程度かかることも。取れないときは1回で無理して取ろうとはせず、乳頭を傷つけないよう気を付けつつ、根気強くケアしていくことが大切です。

乳腺炎と乳口炎の関係は?

乳房は、母乳を作る乳腺組織と脂肪組織からできていて、乳腺で作られた母乳は乳管を通って外に排出されます。その出口が乳頭にある乳管口です。乳管口や乳管はつながっているので、乳口炎が乳腺炎のきっかけになることも少なくありません。

白斑ができると乳腺炎になりやすい

乳腺炎とは、母乳をつくる乳腺組織に炎症が起きている状態のこと。その多くが、母乳が乳腺の中にうっ滞し、十分に排出できないことがきっかけで発症します。主な症状は、初期であれば腫れやしこり、痛みなど。細菌感染を起こして重症化すると、腫れやしこり、痛みに加え、悪寒やふるえを伴う高熱が出ることがあります。
関連記事 ▶︎乳腺炎になりかけたときの症状は? こじらせない対策3つ
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白斑の上に水ぶくれやしこりができることがあり、これが母乳の乳管口を詰まらせて乳管閉塞という状態になると、母乳が乳腺の中にうっ滞する乳腺炎を起こしやすくなります

乳腺炎は授乳中のママによく見られる乳房トラブルの一つとはいえ、予防ができるのであれば、それにこしたことはありません。乳腺炎を防ぐためにも、白斑を見つけたら都度、対処していくことが大事です。

乳口炎の治療と再発予防

乳口炎は、先に紹介したケアで改善されることも多いです。ですが、強い痛みで授乳がつらいようなら、医療機関で診てもらいましょう。医療機関では抗菌成分が入った軟膏や、漢方薬の軟膏などで治療を行うこともあります。

乳口炎は再発しやすいので、適切なポジショニングとラッチオン(授乳姿勢と吸着)ができているか、飲ませ方の見直しが必要です。

また、白斑をそのままにしておくと乳腺炎になることがあります。しこりができたり、痛みが強まったり、あるいは乳房が張ってきたような感覚がでてきたら、乳腺炎になりかけているかもしれませんので、一度、助産師などに相談してみたほうがよいかもしれません。
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まとめ

おっぱいから母乳を授乳する赤ちゃん
Lazy dummy
乳頭に白い小さな塊ができる乳口炎。飲ませ方の見直しをし、適切なポジショニングとラッチオン(授乳姿勢と吸着)ができるように気を付けましょう。
見つけたときは、温めて患部をふやかし、除去するというセルフケアで対処を。乳口炎は乳腺炎のきっかけになるので、しっかりとケアをすることが大切です。

(文:山内リカ/監修:坂田陽子先生)

※画像はイメージです
参考文献
水野克己「これでナットク母乳育児」(へるす出版)
水野克己ほか「母乳育児支援講座」(南山堂)

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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