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2021年03月22日 10:54 更新

【医師監修】妊娠時の基礎体温はどうなる? 妊娠の兆候が見られるパターンとは

基礎体温は体調を知るひとつのバロメーターであり、身体の変化に気づくサインでもあります。妊娠した場合、基礎体温にはどのような変化があるのでしょうか。また、基礎体温で流産の兆候などを知ることはできるのでしょうか。妊娠に関する基礎体温変化についてお伝えします。

一般的な妊娠時の基礎体温パターンとは

妊娠を確認するために基礎体温を計り、体温を確認する女性
Lazy dummy

※画像はイメージです

妊娠すると、基礎体温はどのようなグラフになるのでしょうか。通常の基礎体温パターンをおさらいしたうえで、妊娠の可能性がある基礎体温グラフについてお伝えします。

通常の基礎体温グラフはどのようになる?

成人女性の基礎体温は、通常、低温相と高温相の2つに分かれます。28日周期の場合は、低温相が12~18日間、高温相が11~16日間持続するとされています。この低温相と高温相の境目に排卵が起こります。

排卵が起こると、卵子が飛び出た後に残った卵胞は黄体という状態に変化し、黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。この黄体ホルモンには体温を上昇させる作用があるため、排卵後は体温が上昇して高温相になるというわけです。妊娠が成立しないと、黄体はおよそ2週間でしぼんでいきます。すると、黄体ホルモンの分泌がなくなるため体温はもとの低温に戻り、子宮内膜がはがれて月経が起こります。

基礎体温が正常かどうかのチェックポイントとしては、低温相と高温相の差が0.3℃以上、高温相の持続期間が10日以上、高温相に落ち込みがないこと、低温相から高温相へ3日以内に移行していること、この4つが挙げられます。

妊娠の可能性がある基礎体温パターンとは

妊娠が成立すると、黄体は妊娠黄体として黄体ホルモンを分泌し続けるので、体温は下がりません。一般的に、高温相が17日以上続く場合は妊娠が疑われます。

人によっては、妊娠が成立した場合でもまれに生理予定日頃に少量の出血が見られることがあり、これを一般的に「月経様出血」と言います。生理時より量が少なく、出血期間も1~3日と短いことがほとんどといわれますが、中には生理時と同じくらい出る人もいるようです。生理かどうか判断できないときは、基礎体温をチェックしてみましょう。出血が見られたときの前後で体温が下がっていれば生理であり、高温が続いている場合は妊娠による出血の可能性があります。この場合は、適切なタイミングで妊娠検査薬を使いましょう。そして、産婦人科で診てもらうようにしましょう。

妊娠中の基礎体温は一般的にどうなっている?

妊娠すると黄体ホルモンの分泌によって高温相が続きますが、一般的に胎盤が完成する時期とされる妊娠12~16週(妊娠4、5ヶ月ごろ)を過ぎると少し下がる傾向にあります。ただ、体温が下がる時期には個人差があるので、これより前に下がる人もいれば、もう少し高温が続く人もいます。

妊娠初期に基礎体温が下がったら流産の兆候?

高温相になるとされる妊娠初期に基礎体温が下がると、もしかして流産の兆候なのでは……と不安になるかもしれません。でも、基礎体温の上下と流産・早産はイコールではありません。きれいな高温相になっていても流産することがありますし、逆に多少ジグザグしていても経過が良好な場合もあります。そのため、胎嚢(胎児が入っている袋)が見えた後(およそ妊娠5~6週以降)は、妊娠中に基礎体温をつける意味はあまりないとする医師もいます。妊婦健診で異常がなく、赤ちゃんが元気に育っているようであれば基礎体温はあまり気にする必要はないでしょう。

基礎体温にまつわる不安・疑問

妊娠に関すること以外にも、基礎体温について疑問や不安に思うことがあると思います。そこで、ここからは基礎体温について多く聞かれる疑問について見ていきましょう。

低温と高温の差があまりないのは問題?

通常、低温相と高温相には0.3~0.5℃の差が出ます。この差が0.3℃を下回る場合、高温相が10日未満の場合は、黄体機能不全が疑われます。一度産婦人科で検査してもらいましょう。

また、個人差があるので一概には言えませんが、一般的に高温相は36.7℃前後になることが多いとされます。高温相でも36℃台前半で、低温相には35℃台にまで体温が下がるという場合は、基礎体温がもともと低いのかもしれません。基礎体温が低いのは、睡眠不足や栄養バランスの偏り、ストレスなど、身体に何かしらの不調がある影響も考えられます。低温と高温の差に問題はないけど体温が平均的に低いという場合は、一度自分の生活を見直してみることをおすすめします。

生活リズムが不規則でも基礎体温はつけられる?

基礎体温はできれば毎朝同じ時間帯に測るのが理想的ですが、仕事の都合などで生活が不規則になる方もいらっしゃるでしょう。そのような場合は測る時間が多少違ってもいいので、毎朝起床直後に測るようにしてください。測る時間が3時間以上ずれると誤差が出るともいわれますが、大切なのは基礎体温がしっかり高温相と低温相に分かれているか、いつから高温相に入ったのかを知ることで、日々のちょっとした体温の誤差はあまり問題ではありません。ほぼ一定の時間に測れるけどたまに時間がずれるという場合は、いつもと違う日はグラフにメモを残しておくといいでしょう。後々見たときに変化の理由がわかりやすいです。

ワキで測ったら正確ではない?

ワキで測ることが絶対にいけないわけではありませんが、基礎体温は口内で測ることが推奨されています。これは、口腔粘膜の中は温度の変動が起こりにくく、より正確に測ることができるためです。ワキは口内に比べると外気温に左右されやすいので、正しく測れない可能性があります。また、計測には一般の体温計ではなく、専用に作られた婦人用の電子体温計を使いましょう。わずかな体温の差にも対応できるよう、一般のものより精度が高くなっています。

まとめ

排卵後は黄体ホルモンが多く分泌される影響から、体温は0.3~0.5℃ほど上昇します。そのため、排卵が正常に起こっていれば基礎体温は低温相と高温相になります。一般的に、高温相が17日以上続けば妊娠の可能性が高くなります。適切なタイミングで妊娠検査薬を使って確認しましょう。妊娠中の基礎体温変化はあまり気にする必要はないでしょう。妊娠時以外にも、基礎体温は体調変化を知るひとつのバロメーターになります。できればこまめにつけてチェックすることをおすすめします。

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビ子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.08.27)

※記事の修正を行いました(2019.06.07)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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