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2022年02月18日 10:22 更新

【助産師解説】母乳は白い血液?作られる仕組みと成分、血乳の原因と対処法

母乳は血液でできていると言いますが、ではなぜ白いのか?本当に血液なのか?という疑問について助産師が解説します。また、母乳に血が混じる「血乳」の原因と対策、授乳中の注意点についてもお伝えしています。

母乳が産生される仕組みと主な成分

母乳はママの血液の影響を受ける。授乳中の赤ちゃん。
Lazy dummy

母乳は血液でできているという話を耳にしたことがある方もいるでしょう。では、母乳が白いのはどうしてでしょうか? 母乳はどのように作られるのか、どのような成分や栄養素が含まれるのかについて詳しくお伝えいたします。

赤ちゃんにあげるものですから、母乳が作られる過程やどれぐらいの栄養価があるのかを知っておくと、より安心できるのではないでしょうか。

母乳の正体は血液?赤くない理由とは

母乳を搾乳するママ
Lazy dummy

母乳は乳房にある乳腺で、主に血液を材料にして作られています。赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激によりプロラクチンが多く分泌されると、「母乳を産生しなくては!」と身体が反応して乳房の中の毛細血管にたくさんの血液が流れます。

このように、プロラクチンが母乳を作るよう指示を出すと、血液が乳房に張り巡らされた毛細血管にさらに流れ込み、そこに血液中の栄養素が取り込まれることで母乳が産生されます。

ただ、この際に赤血球は排除されるため、母乳は血液のような赤い色にはなりません。これが、母乳は血液からできているけど赤くない理由です。

母乳に含まれる主な成分は?

では、母乳にはどのような成分が含まれるのでしょうか?

母乳には炭水化物やたんぱく質、脂質などの3大栄養素はもちろん、赤ちゃんの成長に必要な多くの成分が含まれるとされています[*1]。

・1,000種類以上のたんぱく質
・200種類以上のオリゴ糖
・40種類以上の酵素
・ビタミン・ミネラル
この他、長鎖脂肪酸、数百万の生細胞1,400種類以上のmicroRNAなど

母乳が赤い!血が混じる理由と対処法

母乳は血液から作られていることは上記の説明のとおりですが、乳白色という言葉もあるように、赤血球が含まれないことで色は透明~白色をしているのが普通です。

でも、この白い母乳に血液が混じることもあることをご存じでしょうか?その理由と、赤い母乳が出たときの対応についてお伝えします。

母乳に血が混じるのはなぜ?

母乳は、まれに血が混じって赤みを帯びることがあり、このような母乳を「血乳」と呼びます。では、血乳はいつ、どのようなときに出ることがあるのでしょうか?

血乳は産後 1週間くらいの間に数日間出ることがあります。原因としては、浮腫や乳房の中の損傷によるものとされています。母乳が作られ始めるころに起こることがあり、痛みはありません。母乳が作られる量が増えてくると、血乳はなくなっていくことが多いです。

多くの場合に両方の乳房から出ますが、まれに片方だけ出ることもあります。

血乳が出たらどうする?授乳はOK?

基本的に、血乳が出ても授乳に影響はありません。血が混じっていても赤ちゃんが飲んで危険なことはないので、普通に授乳してもらって問題ありません。特に、初乳の時期は頻回授乳が重要となるので、血乳であっても普段通り授乳を続けましょう。

ただ、血乳を飲んでいる時期は赤ちゃんの便が黒っぽくなったり、吐き戻しに血が混じることがあるので覚えておいてください。

数日で血乳が消失するようであれば問題はありませんが、1週間以上経っても血が混じっている場合は、かかりつけの産婦人科で相談し、乳がんの検査を受けておくことも大切です。

血乳と間違えやすい場合について

血乳とは違う理由で母乳に血が混じる場合もあります。

たとえば、乳頭が傷つき、そこからの出血が混じっているという可能性もあります。母乳が赤みを帯びていたら、まずどこから出血しているのかを確認しましょう。判断がつかないときは、かかりつけの産婦人科に相談してみてください。

授乳中は血液出る成分に注意

母乳は血液から作られるので、授乳期間は母乳に移行する成分には注意が必要です。特に気をつけたい成分を見ていきましょう。

授乳中のたばこ、アルコールには注意を!

たばこに含まれるニコチン、お酒などに含まれるアルコールは血液に出ます。

ニコチンが含まれた母乳を飲むと、赤ちゃんの成長が妨げられたり、不機嫌、不眠、下痢、嘔吐、哺乳量の減少などの症状が現れる可能性が示唆されています[*2][*3]。授乳中は妊娠中同様、禁煙に努めましょう。

また、厚生労働省は「アルコールは授乳中の母乳に入り、乳児の発達を阻害します」[*4]としており、アルコールも授乳中は避けた方がいいものです。

薬にも気をつけるべき?

薬の成分も、少量ではありますが母乳に移行します。多くの薬は母乳に移行しても赤ちゃんへの影響は特に問題ないとされていますが、中には授乳中は使えない薬もあります。

抗がん剤、免疫抑制薬、放射性物質など、一部の薬は赤ちゃんに悪影響をもたらす可能性があり、このような薬を飲む必要性が出てきたときは、授乳を中断または一時中断せざるを得ない場合もあります。医師と十分相談したうえで治療を進めてください。

それ以外の場合でも、現在授乳中であることは医師に必ず伝えましょう。授乳中でも赤ちゃんへの影響の少ない薬を処方してもらえるでしょう。また、市販薬を購入する際も同様に、薬剤師に授乳中であることを伝え、相談しましょう。

まとめ

赤ちゃんの健康的な成長に欠かせない成分がたっぷり含まれる母乳は、ママの血液から作られます。授乳中は母乳に有害な物質が移行することのないよう、喫煙や飲酒には十分注意しましょう。服薬の際も、医師や薬剤師さんに相談することをおすすめします。まれに母乳に血が混じる血乳が出ることがありますが、多くは問題のない一過性のものがほとんどです。ただし、1週間経っても血乳が続くときなどは必ず医療機関を受診してください。また、血乳ではなく乳頭の傷から血が出ている可能性もあるので、母乳に血が混じるときはどこからの出血かをまず確かめてください。よく分からない場合はかかりつけの産婦人科に相談しましょう。

(文・構成:マイナビ子育て編集部、監修・解説:坂田陽子先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、助産師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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