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2022年06月09日 10:47 更新

【医師監修】妊娠に気づかず飲酒!どうしたらいい?結婚式の乾杯は○○で

妊娠に気づいたらお酒を飲んではいけないと、知っている人が多いかもしれません。では、気づく前に飲んでしまっていたらどうでしょうか? そもそもなぜ、妊娠中は禁酒が必要なのでしょうか? 妊娠中の飲酒の影響や、結婚式など酒席での上手な対処法をまとめます。

妊娠に気づかず飲んだお酒の影響は?

妊娠中にアルコールの飲んでしまってことを気にする女性
Lazy dummy

一概にはいえませんが、多くの女性が妊娠に気づくのは生理(月経)予定日以降何日か遅れたころ、時期としては妊娠2ヶ月のはじめごろでしょう。そのため、妊娠に気づくまでの間にお酒を飲んでいたということも往々にして起こります。

とても不安な気持ちになる人もいるかと思いますが、どうすればいいのでしょうか。

主治医に飲酒頻度などを報告する

松峯先生は、そうした場合について次のように話します。

普段飲酒の習慣がなく、会社の飲み会や、友人の結婚式の乾杯の時に気づかず飲んでしまったという『機会飲酒』程度なら、特別に心配することはありません。わかった時点で禁酒し、産婦人科の初診時、主治医に飲酒頻度を正直に伝えてください。

けれど妊活中や、妊娠したいと考えはじめた女性なら、同時に禁酒も始めて、“晩酌のビール”など習慣的な飲酒はやめ、酒席でもノンアルコール飲料を飲むように切り替えるのが望ましいです。

(松峯先生)

どのくらいまでなら大丈夫?

妊娠してもアルコールの誘惑に悩む女性のイメージ
Lazy dummy

「どのくらいまで」とは考えない!

先輩ママさんに尋ねたりすると、「すこしだけ、たまに飲むなら大丈夫」などと聞くこともあるかもしれません。確かに、以前は少量の機会飲酒(晩酌など毎日飲むわけではない飲酒)は問題ないと考えられていた時代もありましたし、国によっては妊婦さんの飲酒について産科関連学会などの見解も異なります。

日本では母子の健康と安全を第一に2017年にガイドラインが改められて「妊娠中は禁酒」が推奨されることとなりました。

飲酒の妊娠への影響に関しては、最近の研究で安全な量や時期は存在しないことがわかり、どの時期であっても、どのくらいの量であっても、赤ちゃんの発育遅延など悪影響が出る可能性があることがわかっています[*1]。ですから「このくらいなら」と考えるのはやめておきましょう

妊娠にどんな影響があるの?

繰り返しになりますが「何ml以下の飲酒量であれば胎児に影響がない」というような安全な量や時期は存在せず、アルコールの影響は妊婦さんと赤ちゃん両方に生じます。

妊婦さんへの影響
松峯先生は妊娠経過の悪化(流産や死産など)をあげ、さらに次のように話しました。

うつ症状の悪化など精神症状・疾患のリスクも高まるのではないかと考えられます。

(松峯先生)



赤ちゃんへの影響
アルコール(エタノール)とその代謝産物であるアルデヒドは胎盤を通り、赤ちゃんの体の細胞の増殖や発達を障害し、先天異常(発育遅延や、精神発達の遅滞につながる中枢神経障害、頭蓋骨や顔面ほかさまざまな形成異常)を引き起こし「胎児性アルコール症候群」と呼ばれます。

飲酒した妊娠時期と赤ちゃんの障害の関係は、妊娠初期は特異的な顔貌などさまざまな異常が生じ、妊娠中・後期は発育遅延や中枢神経障害が生じるとされています[*2]。

そして「胎児性アルコール症候群」による特異的な顔貌や低体重などは、赤ちゃんが成長するととともに次第に目立たたなくなりますが、発達障害やうつ病などの精神科的問題が、成長過程で明らかになってくることもあるとされています[*3]。

つまり妊娠全期間のみならず、生まれた赤ちゃんの成長過程にも影響を及ぼす可能性があるとわかっているのです。

マタニティウエディングなら特別なノンアルで乾杯を

結婚式でも妊婦はお酒を飲んではダメ?
(イラスト=杉井亜希)
松峯先生は授かり婚の妊婦さんなどから「結婚式でも飲んではダメ?」などと問われることも多いそうです。

結婚式の主役はその妊婦さんですから、乾杯には『特別なジンジャエール』を用意してもらいましょうと話します。赤ちゃんを大切に思って乾杯するジンジャエールですから、十分に特別です。

スパークリングウオーターもいいですね。昨今は式場も心得ていて、新婦さんや、妊娠中の来賓用にノンアルコールドリンクを十分に用意してくれているはずです。

(松峯先生)

まとめ

妊娠しているのでアルコールを断る女性
Lazy dummy

妊娠が気づかない時期にちょっと飲む機会があった程度であれば大きな心配はいらないと考えれますが、初診の際に主治医に飲酒頻度などの報告を。妊娠に気がついたら、大事な体と赤ちゃんのためにお酒を飲むのはやめ、酒席の乾杯シーンではノンアルコール飲料で代用しましょう。かけがえのない、大切ないのちが育っている体を大事に、安全に過ごしてください。

(文・構成:下平貴子/日本医療企画、監修:松峯美貴先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1] Williams JF et al. Fetal Alcohol Spectrum Disorders. Pediatrics 2015:136:e1395-1406 PMID:26482673(Committee Opinion)
[*2]日本産婦人科医会「飲酒、喫煙と先天異常」
[*3]厚生労働省「e-ヘルスネット 胎児性アルコール症候群」

産婦人科診療ガイドライン産科編2017
医学書院刊「ほんとうに確かなことから考える妊娠・出産の話」

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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