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2021年11月24日 11:12 更新

【医師監修】臨月のひどい腰痛に効くストレッチ!陣痛と腰痛の違いは?

妊娠後はつわりから始まり、様々なマイナートラブルに悩んできた妊婦さんが多いでしょう。特に臨月ともなると大きくなったおなかの影響でさらにマイナートラブルが増えたり悪化することがあります。中でもよくあげられるのが「腰痛」です。なるべく負担にならないように、産後に持ち越さずにすむように、セルフケアしていきましょう!

臨月の腰痛、原因2つ

腰痛が辛い臨月の妊婦
Lazy dummy

妊娠中には腰の痛みを訴える妊婦さんが多くいて、臨月にはとくに増えます。なぜ腰が痛むのでしょうか。原因からご紹介しましょう。

1. 背骨のS字カーブがキツくなる

人の体を横から見たとき、背骨はゆるいS字のカーブを描いているのが自然な状態です。しかし、妊娠してお腹が大きくなるにつれ、バランスをとるため、猫背になり、骨盤が前傾してきます。つまり、S字のわん曲がキツくなり、大きなお腹の過重が集中的に腰にかかって、腰痛の原因になるのです。とくに立ち仕事など長時間、立位で過ごす人は、妊娠すると比較的早い時期から正しい姿勢が崩れ、腰の痛みを感じやすくなります。

また、腹筋が使いづらくなることも背中や腰に負担となって腰痛を起こす原因となります。

2. ホルモンの影響

妊娠するとリラキシンというホルモンが分泌され、骨盤周辺の関節や靭帯がゆるみます。さらに、出産が近づくと、赤ちゃんの位置が下がってくるなど体の出産準備が始まります。これは自然な変化ではあるのですが、リラキシンによって骨盤周辺組織がゆるんだ状態だと腰の筋肉にはより負担がかかりやすいため、腰の痛みが増す原因になることがあります。

臨月の腰痛対策ストレッチ

座ってできる簡単なエクササイズで腰痛対策しましょう!

(ストレッチ指導:理学療法士・近藤可那さん

① 骨盤を後ろに倒して背中の力を抜きながら丸める
② 次にお腹を突き出すようにして骨盤を前に倒しながら背中を反らす
③ ①②を数回繰り返す

背骨を丸める・反らすを繰り返すことで、背中〜腰の筋肉を動かしていきます。臨月にひどくなりがちな便秘対策にも効果的ですよ。
ポイントは頭の位置はあまり変えないようにすること。背中と腰にストレッチの気持ち良さを感じながらやってみましょう。

腰痛と陣痛、どうやって見分ける?

臨月に腰の痛みを感じると「もしかして陣痛?」と思うかもしれません。陣痛と単なる腰痛はどのように違うのでしょうか。

陣痛か腰痛かわからない臨月の妊婦
Lazy dummy

「腰痛=陣痛の兆候」というわけではない

原因のひとつとして紹介した骨盤周辺の関節や靭帯のゆるみは出産が近い兆候といえますが、必ずしも臨月の妊婦さん全員が腰痛になるわけではありません。
臨月によくある現象としては、以下のようなものがあります。

 ・お腹の張りが頻繁に起こるようになる
 ・食べられる量が増える
 ・腰痛、恥骨痛などが起こる

また、臨月の中でも陣痛が起こる前あたりになるとおしるしが見られる人もいます。

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臨月の症状・兆候について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎臨月に見られる5つの兆候と出産間近を知らせる3つのサイン

陣痛を見分けるポイント

はじめは腰の痛みから始まることも多い陣痛ですが、陣痛と腰痛とをどうやって見分けたらよいでしょうか。陣痛の場合の主なポイントは次の3つ。個人差があり、一概にはいえませんが、見分ける参考にしてください。

・痛みが規則的で、周期的に起こる
・腰から痛み始めても、だんだん痛む位置が下りてくる
・徐々に立っていられないほど強い痛みになってくる

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陣痛の始まりについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎陣痛の始まりがわからないこともある? 陣痛かなと思ったらやること

臨月の腰痛を防ぐ6つのポイント

臨月の腰痛の緩和にウォーキングをする妊婦
Lazy dummy

1. 同じ姿勢を長い時間続けるのはNG

立ち仕事だけでなく、座っている場合も、同じ姿勢を長く続けると腰に負担がかかります。なるべく胸を開き、骨盤が前傾しないようにしたいもの。収縮力のある素材で腰部をホールドし、座る際は姿勢維持を助ける背当てクッションなどを利用するのもよいでしょう。負担の少ない姿勢で過ごすことを心がけ、合間に体を動かしましょう。

また、一般的な腰痛対策と同様、不用意に重い物を持つのは悪化させる原因になります。大切な大きなお腹を抱えているのですから、重い物は周囲の協力を得て、自力で持たないようにしましょう。

2. ストレッチやマタニティヨガなどは続ける

痛みが強いときは楽な姿勢で安静にしますが、ひと息ついたら体を動かしましょう。

お腹が大きくなった状態でバランスを保つため、S字カーブがキツくなるのは避けようがないですが、その姿勢で縮こまっていると、痛みが悪化しがちです。ときどき腰や背中、脇の筋肉を前後左右に伸ばしてほぐすストレッチを!

マタニティヨガやマタニティビクスなどには、腰痛を予防・改善する動きが必ずプログラムされていて、体力づくりにもなります。体調が良く、主治医からもとくに注意がない場合は、臨月でもそうした運動を続けることができます。

出産後に持ち越さないようにするためにも、臨月の腰痛を重症化させないよう、体をほぐす軽い運動を続けましょう。

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臨月の運動について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎臨月のおすすめ運動7選

3. 痛み対策に温めるのも効果的

腰痛がある場合は、とくに腰から下を冷やさないように気をつけます。ひざかけを使ったり、足浴をするなどがよいです。

また、パートナーに肩や背中をやさしくマッサージしてもらうのも、筋緊張をほぐし、腰痛予防・緩和を助けます。

4. 寝返りしやすい寝具を使う

先にも述べたとおり、どのような姿勢も長く同じ状態でいないように気をつけることが大切です。そこで、最も注意が必要になるのが眠るとき。自然な寝返り運動を妨げない寝具を選びましょう。

体が沈んでしまうやわらかいマットレスは寝返り運動を妨げ、腰痛を悪化させることがあります。なるべくなら硬めのマットレスを選ぶほか、横向きで寝て、抱き枕を利用し、かかる過重が分散されるようにすると楽です。

また、第2子以降の妊娠のとき、とくに気をつけたいのは上のお子さんの抱っこ。腰痛があったら、立って抱き上げるのはなるべく避け、「座って、膝にのせる」スタイルにしましょう。

5. 骨盤ベルトを活用する

骨盤をサポートしてくれる骨盤ベルトを利用すると、痛みが軽減することがあります。とくに臨月に入ってからなど、骨盤周辺の関節や靭帯がゆるみ始めてから腰痛が強くなった場合には、骨盤ベルトが腰の筋肉への負担を減らし、痛みをやわらげる効果を発揮することが多いようです。

6. 湿布薬の使用は慎重に

腰痛改善用の外皮薬や塗布薬の中には、赤ちゃんの発育に影響することがある非ステロイド性抗炎症成分などが含まれているものもあります。

産婦人科で処方してもらうか、市販品を買う場合は薬剤師に相談するなどして、安全なものを選びましょう。

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妊娠中の湿布薬について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎妊婦に湿布はNG?

まとめ

大切な赤ちゃんが育っている重いお腹のために起こる腰の痛み。臨月の腰痛を軽減し、重症化させないセルフケアで、なるべく痛みをやわらげ、あともう少しのマタニティライフを健やかに過ごしましょう!

(文・構成:下平貴子/日本医療企画、監修:松峯美貴先生)

※画像はイメージです

参考文献
小学館刊「ウイメンズ・メディカ」
医学書院刊「臨床婦人科産科 2018年 4月号増刊号 産婦人科外来パーフェクトガイド?いまのトレンドを逃さずチェック! 」
産婦人科診療ガイドライン産科編2017
医学書院刊「ほんとうに確かなことから考える妊娠・出産の話」

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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