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2021年01月28日 17:45 更新

【医師監修】「とびひ」の正しい治療と注意点

「とびひ」は皮膚感染症の一種です。一見「とびひ」のように見えても似ている病気もあります。 「とびひ」の原因や特徴、正しい対処法を知って、お子さんを病気から守りましょう!

とびひの治療薬を医師に説明する薬品メーカーのMR
Lazy dummy

※画像はイメージです

「とびひ」とは

飛び火のように広がるから、とびひ

とびひは、細菌による皮膚の感染症で、正しくは伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)といいます。触ったり掻いたりすると、火事が「飛び火」で広がるように、あっというまに水ぶくれがあちこちに広がることから、とびひと呼ばれています。
正式名称に「伝染性」とついていることからもわかるとおり、人にうつる病気です。

とびひの原因は細菌

湿疹、虫刺され、あせも、アトピー性皮膚炎の病変などを掻いてできた傷、ケガなどに細菌が入り込んで感染することで発症します。原因となる細菌は主に、黄色ブドウ球菌と溶血性レンサ球菌(溶連菌)の2種類です。

とびひの種類(1):水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)

黄色ブドウ球菌を原因菌として起こるとびひです。黄色ブドウ球菌は健康な人の皮膚にも普通にいる常在菌ですが、これが皮膚の角層下に入り込んで増殖することでとびひを起こします。とびひのほとんどが水疱性膿痂疹で、子供に多くみられます。初夏から真夏に多いという特徴があります。
症状としては、水ぶくれ(水疱)が膿をもち、これが破れると皮膚がめくれて、ただれた状態(「びらん」と言います)になります。さらに、びらんの周りに水ぶくれができて患部が広がっていきます。目や鼻・口の周りから症状が出始めることが多いのが特徴です。

とびひの種類(2):痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)

溶血性レンサ球菌(溶連菌)の感染によって起こるとびひです。季節に関係なく発症し、患部には厚いかさぶたができて、のどの痛みや、全身症状としての発熱が起こることもあります。溶連菌によるとびひは、子供よりも成人に多く発症するので、この記事ではこのあと、痂皮性膿痂疹については詳しい説明は省きます。

とびひと似ている病気

皮膚に水疱や湿疹ができて、一見とびひのように見えるけれど、実は別の病気ということもあります。細菌によるもの、ウイルスによるもの、アレルギーによるもの、人にうつるもの、うつらないものと様々です。治療法も注意点も異なりますので、素人判断せずに、湿疹ができたときは、医療機関で診察を受けてください。

・アトピー性皮膚炎:かゆみのある湿疹が良くなったり治まったりを繰り返す皮膚炎。
水いぼ(伝染性軟属腫):ウイルス感染による皮膚疾患。うつります。
・汗疹(あせも):汗腺からの分泌が増加して、つまることで起こる皮膚疾患。
・接触皮膚炎:肌に触れたものの刺激が原因で起こる皮膚炎。薬品、植物、虫など様々なものが原因になります。
・水ぼうそう(水痘): ウイルス感染による疾患。伝染疾患であり、感染力が強いです。予防接種があります。

「とびひ」の治療と注意点

とびひの治療に用いられる薬

治療には、菌の繁殖を抑える抗菌薬の外用薬や内服薬、痒みを抑える抗ヒスタミンの内服薬を用います。炎症を抑えて患部を保護する亜鉛華軟膏を使うこともあります。

・抗菌薬:症状が軽い場合は患部に外用薬(塗り薬)を、患部が広いなど外用薬では抑えられない場合は内服薬(飲み薬)を用います。

・抗ヒスタミン薬:アレルギー反応に関係するヒスタミンという物質の働きを抑える薬です。とびひは掻くことで患部が広がりますので、痒みを抑えて症状の悪化を防ぎます。

とびひができたときの注意点

症状がみられたら、まずできるだけ早く医療機関を受診しましょう。医師の診断を受けて(別の病気の可能性もあるので)、適切な治療を行うことが大前提です。

・患部を清潔に!
浴槽への入浴は避けて、シャワーを活用しましょう。
石鹸を使って大丈夫です。しっかり泡立てて、そっと洗います。患部はこすらないように。
シャワーのあとは清潔なバスタオルで水分をおさえるように拭き取り、患部に薬を塗ることを忘れずに。

・ひろげない
爪を短く切り、よく手を洗い、虫刺されや汗疹があっても掻かないようにさせましょう。また、鼻孔には原因菌が多く潜伏しているため、鼻に指を突っ込まないようにさせることが必要です。

・人にうつさない
家族であってもタオルなどを共有しないように注意しましょう。
兄弟がいる場合は、最後に浴室を使うようにすると安心です。
水(湯)を介してうつることはありませんが、肌が触れる可能性があるので、治療が終わるまでは大人数で利用することになるプールや大浴場などの利用は避けます。学校のプールの授業も参加せずに見学しましょう。

・登園登校はOK
医師の診断を受け治療をきちんと開始したうえで、患部をガーゼで覆うなど処置ができていれば登園、登校してかまいません。もちろん、発熱を伴う場合など全身に症状が及び悪化している場合には休ませましょう。

・自己判断で治療を中断しない
皮膚の状態が良くなってもまだ細菌が潜伏している可能性があります。自己判断で治療を中断してはいけません。医師の指示に従うことが大切です。

・SSSSに注意!
黄色ブドウ球菌がつくる毒素が全身に広がることで、皮膚が真っ赤に腫れ、高熱や体のだるさが生じる病気、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSSと略されます)が起きることがあります。乳幼児に起きやすい病気です。現代では重症化することはなく治すことができますが、やけどのような皮膚の変化があるため、原則として入院治療が必要です。

まとめ

「とびひ」は、症状が軽いうちに治療するのが大切です。乳幼児は全身の病気を引き起こしてしまうこともあるので注意が必要です。自己判断で対処するのではなく、早めに医療機関で診てもらって、適切な治療とケアを行いましょう。

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビ子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.08.13)

※記事の修正を行いました(2019.06.13)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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