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2021年03月29日 10:58 更新

【医師監修】黄緑っぽいおりものこれって病気? 迷った時の対処方法

下着などについたおりものの色がいつもと違っていたら気になります。そんな変化に気づけたのは、日頃から健康を心がけて生活している女性だからこそ。その気づきをむだにしないよう対処しましょう。この記事では、おりものが「普段より黄緑(緑色)っぽい?」と気づいた時の一般的な原因や対処方法をまとめました。

正常なおりものの状態

緑のおりものが出てトイレでペーパーを手にする女性
Lazy dummy

健康な時も分泌される「おりもの」について、まず知っておきましょう。

おりものって一体なに?

おりものとは、腟や子宮、子宮頸管などから出ている分泌物のこと。心身の調子などに特に変化がなければ、ほとんどの時期は、透明~白っぽい液体で、これによって腟はうるおいを保っています。

一般的に、温かく湿った状態では病原菌などが繁殖しやすいですが、腟内には「乳酸桿菌(にゅうさんかんきん)」という常在菌が自浄作用をはたらかせているので、健やかなうるおいを保つことができるのです。

おりものの役割

うるおいを保つ以外にも、おりものには重要な役割があります。

子宮頸管から分泌されるおりものは月経周期によって性状(分泌液の粘度など)が変化し、排卵の時期には精子が子宮に到達し、妊娠するのを助けます。

正常なおりものって⁈

健康な時に、生理的に分泌されるおりものの量や質には個人差があり、おりものの量は妊娠や性的興奮(セックス)などの影響で増えることもあります。おおよその分泌量は月経周期に伴って次のように変化します。

月経後:2~3日後から出はじめ、徐々に量が増えます。
排卵期:おりものの量のピークの時期。質も変わりやすい時期です。排卵日が近くにつれて量が増え、サラサラしてきますが、排卵が起こると粘り気がある状態に変わるのです。
月経前:排卵期をすぎると徐々に量が減り、白く濁ってきます。月経直前にもっとも少なくなります。

ほとんどは無色ですが、おりものが乾燥すると白っぽく見えたり、黄ばんで見えることもあります。

ただし、下着などについた色だけでは、どこから出たものか、問題のあるものかを判断することはできません。色の見え方は見ている環境や下着の布地の色などで変わりますので、いつもの状態と違うと思った時は自分で判断をせず、婦人科を受診して原因を確かめるのが安心です。

おりものが黄緑っぽくなる理由

おりものの色が緑で気になり股間をおさえる女性
Lazy dummy

おりものの異常はどのような原因から起こるのでしょうか?

おりものは体の状態を示すバロメーター

おりものに月経周期の変化とは違う変化があった時には、何らかの原因があると考えられます。ですから、おりものを体の状態を示すバロメーターの1つとして、普段から少し意識をして見ておくことは大切です。

ただし、体調の変化やその原因は「見えているおりもの」だけでは判断できません。

おりものを見て異変に気づいても、それが本当におりものか、どのような原因によるおりものかは病院で診察を受けなければわからないのです。また、いくつかの原因が同時にあることも少なくありません。

色の変化は病気のサイン⁉

婦人科の外来では、おりものの異変(増量、悪臭、色や質の変化など)とそれに伴う不快感はよく訴えのある症状のひとつで、その原因として「腟トリコモナス症」「細菌性腟症」「外陰(がいいん)腟カンジダ症」の3つが90%以上を占めるとされます[*1]。

それぞれの病気で特徴的なおりものの色の変化が見られることがあるので、色の変化は病気のサインの1つだといえます。

とはいえ医師は「おりものの色」だけで病気の診断をすることはありません。診察に加え、科学的な検査をしなければ、原因の病気は突き止められないからです。

おりものが黄緑っぽい時に考えられる病気は?

ここではおりものが「黄緑(緑色)っぽい」と気づくような可能性があるおもな病気について紹介します。いずれの場合も、婦人科で診察を受けて原因別の治療やケアが必要です。

1 トリコモナス腟炎などの感染症

トリコモナス原虫の感染によって起こる腟炎「腟トリコモナス症」は、主な感染経路は性行為ですが、それ以外にもタオルや便器、浴室を共有することでも感染することもあります。
一般的に、腟での感染は症状がなく、自覚されないことも多い病気で、子宮頸がん検診で見つかることも少なくありません。

自覚される時は強い異臭を放つ泡状の黄緑色のおりものや外陰部の強いかゆみから確認されることが多く、おりものの色は少量の出血が混じり、緑色や茶色に見えることもあります。治療は、抗生剤の腟座薬の使用です。

それ以外にも「外陰腟カンジダ症」など、その他の感染症でもおりものの色に変化があることがあります。

「外陰腟カンジダ症」は誘因(抗菌薬の服用や、妊娠、病気やその治療などによる体力・免疫力の低下、腟の自浄作用低下など)がなければ発症しにくい日和見(ひよりみ)感染症の側面をもっています。

多くは白〜黄色のおりものが見られるとされますが、虚弱の時に発生しやすいで、日々の健康管理も大切です。

治療は、抗真菌剤の腟座薬を使用します。

2 不正性器出血

月経以外の性器からの出血は「不正性器出血」と呼ばれます。原因は妊娠、いずれかの性器の炎症、腫瘍(しゅよう)、外傷(病気によるものも含む)、出血しやすくなる病気の影響、服用している薬の影響、ホルモンバランスの変調など、さまざまです。

一般的に「着床(ちゃくしょう)出血」と呼ばれる妊娠超初期の出血や、排卵期に起こる中間期出血など病気ではないものも含まれます。

3 その他、婦人科系疾患など何らかの病気によるもの

何らかの原因で腟の中の自浄作用の低下とともに起こる「細菌性腟症」など腟の炎症では、おりものの色が灰色や黄色くなることが多いとされますが、出血を起こす場合があるため、緑色のように見える場合もあります。

松峯先生
「腟の炎症は、クラミジア感染症など、子宮頸管炎や卵管や卵巣の炎症から、子宮内膜炎、骨盤腹膜炎などに進む病気が隠れていることがあり、妊娠を希望するか場合、不妊の原因になることもあります。異変を感じたら早めに受診行動をとってください」

また、良性の腫瘍ができる「子宮筋腫」「子宮頸管ポリープ」、子宮や腟の悪性腫瘍(がん)などによっても、出血を伴うおりものがみられます。

まとめ

健康な時に、生理的に分泌されるおりものの量や質に個人差があるので、おりものの異常について、一概にはいえないようです。「普段とは違う」に気づくためには、日頃から少し意識をしておくことが大切。そして、婦人科を受診したら、普段のセルフケアについても主治医からアドバイスをもらい、ケア&健康づくりを続けましょう。

(文・構成:下平貴子/監修:松峯美貴先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]「臨床婦人科産科 2018年 4月号増刊号 産婦人科外来パーフェクトガイド?いまのトレンドを逃さずチェック! 」p16,医学書院刊 

日産婦誌46巻11号 小児思春期、性成熟期、中高年における帯下の変化
日本性感染症学会 診療ガイドライン「帯下」
(一社)日本家族計画協会「おりもの(帯下)」
医学書院刊 標準産科婦人科学 産婦人科診療 帯下
小学館刊「女性の<からだと心>安心医学 ウイメンズ・メディカ」

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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