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2021年01月09日 18:32 更新

【医師監修】インフルエンザの4つの初期症状とは?疑われる3つのケース

インフルエンザが流行するシーズン。体調が悪くなると「この症状、インフルエンザに感染したから?」と、心配になりますよね。インフルエンザにかかった場合、初めはどのような症状が出るのでしょうか。今回は、インフルエンザの潜伏期間や初期症状、治るまでに要する期間などについて詳しく説明します。

インフルエンザの初期症状とは?潜伏期間から軽快まで

インフルエンザの初期症状に苦しみ熱を計る女性
Lazy dummy

インフルエンザにかかると発熱や関節痛などの症状が急激に現れますが、ウイルスに感染してからどのくらいで発症し、どのくらいで治るのでしょうか。

インフルエンザウイルスの潜伏期間はどのくらい?

ウイルスや細菌に感染して症状が現れる発症までの期間を、潜伏期間といいます。インフルエンザウイルスの潜伏期間は1~3日です。

インフルエンザウイルスに感染すると、症状の出ない潜伏期間中であってもウイルスを排出しており、まわりの人にうつしてしまう可能性があります。感染力が最も強いのは発症から3日間ですが、感染力は発症後1週間くらいあるとされています。

インフルエンザが疑われる初期症状とは?

インフルエンザでは、通常、初期症状として以下のようなものが現れます。
・発熱(通常38℃以上の高熱)
・頭痛
・全身倦怠感(だるさ)
・筋肉痛、関節痛

しかし、インフルエンザにかかっても高熱が出ないこともあります。

・免疫力が低くなっている場合
そもそも人間の体はウイルスに感染すると、体温を上げてウイルスを撃退しようとします。これが発熱です。
高齢者はインフルエンザにかかっても高熱が出にくいと言われていますが、これは、免疫力が低くなっているためにインフルエンザウイルスに感染してもウイルスと戦う力(抵抗力)が弱くなり、熱が上がりにくなっているからと考えられます。しかし、熱が上がらないからといって軽症とは限らず、重症化や肺炎などの合併症を起こす場合があるので注意が必要です。

・ワクチンを接種していた場合
インフルエンザワクチンを接種した人は、感染しても比較的症状が軽くなることが多いため、発熱しない場合があります。

・服用中の薬の影響がある場合
頭痛や体の痛みで日常的に鎮痛薬などを服用している場合、インフルエンザにかかっても薬の解熱作用で熱が上がらないこともあります。ただし、インフルエンザ患者に使用すると悪化する可能性がある解熱剤・鎮痛剤もありますので、インフルエンザが疑われる場合は服用を継続せず、医師に相談するようにしましょう。

発熱しない場合、インフルエンザにかかっても気づきにくく、知らない間に周りの人にうつしてしまう可能性もあります。インフルエンザの流行期にいつもと違う体の調子を感じたら、インフルエンザを疑ってみましょう 。

最近では、症状が出ないインフルエンザ感染が注目されています。「隠れインフル」などと呼ばれたりしますが、正確には「不顕性感染」といいます。検査をすると陽性ですが、高熱が出ないなど、軽症のことが多いようです。ただ、ほかの人にうつることもあるので、注意は必要です。

経過にともない呼吸器症状が現れることも?

インフルエンザでは、発熱、頭痛、全身倦怠感(だるさ)、筋肉痛、関節などの初期症状が現れた2~3日後くらいから咳、喉の痛み、鼻水、鼻づまりなどの呼吸器症状が現れやすくなります。

子供がインフルエンザにかかった場合、学童期では大人と同じような症状の経過になりますが、低年齢の乳幼児では全身症状よりも呼吸器症状が目立つことが多いため、風邪との区別がつきにくくなる場合があります。

症状が軽快するにはどれくらいかかるの?

重症化や肺炎などの合併症がなければ、通常、1週間程度で症状は軽減し、完全な回復には2週間程度を要します。

インフルエンザによる出席停止日数は、学校保健安全法により「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」となっています。発症した日から数えると、最短でも6日間の出席停止になり、あとは解熱した日によって出席停止期間が延長されることになります。

ただし、病状によって医師に感染のおそれがないと認められたときは、出席停止期間が短縮される場合もあります。

ちなみに、感染症にかかった後、治癒し再登校する際に医師に署名をしてもらい学校に提出する「治癒証明書」がありますが、最近では、インフルエンザ(季節性)による「治癒証明書」は、基本的には不要とされています。

インフルエンザの重症化や合併症が疑われる症状にも注意を

インフルエンザは通常2~3日で解熱(インフルエンザ治療薬の服用によっては1日程度早まる)しますが、なかなか熱が下がらない、または微熱、咳や痰や鼻水、鼻づまりなど風邪のような症状が1~2週間しても回復しないなどの場合は、合併症を引き起こしている可能性があります。

重い合併症として急性脳症、肺炎などがあり、その他、気管支炎、中耳炎、副鼻腔炎などを引き起こす場合もあります。

子供の症状の特徴と注意したい合併症、インフルエンザ脳症とは?

子供のインフルエンザの合併症として特に注意が必要なのは、インフルエンザの感染から続けて急性脳症を起こすインフルエンザ脳症です。

インフルエンザ脳症の主な症状は、意識障害、けいれん、異常言動・行動、発熱などです。これらの症状はインフルエンザでもみられますが、家庭でインフルエンザによるものかインフルエンザ脳症によるものかを見極めるのは困難な場合があります。けいれんや異常言動の回復はわかると思いますが、意識状態はお父さんやお母さんで判断できないかもしれません。何かいつもと違ったり気になることがあったら、注意して観察することが重要です。インフルエンザ脳症は早期受診、早期治療で予後が異なります。症状が続けば早めに受診してください。

インフルエンザ脳症が重症化すると、手足の麻痺や知的障害などの後遺症が現れることがあり、また、死に至る場合もあります。

大人が注意したい合併症と具体的な症状

高齢者、呼吸器や心臓などに特病がある人などは、インフルエンザにかかると二次感染などによって肺炎を起こしやすくなり、さらにもとの病気を悪化させやすくなります。

高熱や咳などの症状がなかなか治らない、または一度軽快したのに再び発熱、悪寒、咳、呼吸が苦しいなどの症状が現れた場合は、気管支炎・肺炎を発症している可能性がありますので注意が必要です。

インフルエンザにかからないためには

インフルエンザは非常に感染力が強く、さらに重症化や合併症を引き起こす可能性があるため、まずは予防を徹底することが重要です。

インフルエンザワクチンの予防接種をしよう

インフルエンザの予防で一番有効な方法は、インフルエンザワクチンの接種です。

インフルエンザに感染した場合、特に重症化しやすいとされているのが5歳未満の乳幼児、妊婦、65歳以上の高齢者、慢性疾患がある人などで、インフルエンザ感染予防を行う必要があります。

生活上での予防も常に心がけよう

インフルエンザワクチンの接種は、インフルエンザの予防に一番有効ですが完全に予防することは出来ません。

日常生活の中でも以下のような予防が大切です。
・できるだけ人混みを避ける
・室内では加湿器などで適切な湿度を保つ(適切な湿度:50~60%)
・外出後は手洗いを徹底する(アルコール製剤での手指衛生も効果的)
・十分な休養と栄養バランスのとれた食事をとる

まとめ

インフルエンザの対策はまずは予防が第一ですが、もしもかかってしまった場合には、重症化や合併症を起こさないために早めの治療と安静を心がけ、十分な休息をとるようにしましょう。

(島田直子/毎日新聞出版MMJ編集部)

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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