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2019年04月04日 16:17 更新

赤ちゃんに学資保険や生命保険は必要?特徴と違いとは?

生命保険について考えるタイミングは人それぞれ。今回は、妊娠が分かったら最優先にやっておきたいことや、気になる学資保険や生命保険の違い、加入時に気をつけたいことを紹介します。「勧められるがまま保険に入ったけれど、よく考えたら必要ない保障がいっぱい付いていた」なんて後悔のないように、最低限の知識は身に付けておきましょう。

みなさんが生命保険について考えたのはどんな時ですか? 一人暮らしを始めた時、社会人になった時、結婚した時……考えるタイミングは人それぞれだと思いますが、そんな中でも特に妊娠中に保険を考える方は多いようです。

独身時代は「保険なんて必要ない」と思っていた人も、妊娠をきっかけに考え方が180度変わり、とりあえず自分の生命保険だけでも入っておこうと急いで加入したなんてケースもあるでしょう。また、妊娠が分かったタイミングで、親や知り合いから保険を勧められたという声もよく聞きます。

赤ちゃんができたら学資保険は考えるべき!?

Lazy dummy

産婦人科や書店ではマタニティ雑誌が揃えられていて、先輩ママ&パパの経験談や妊娠の疑問や不安を解消するような内容が豊富に載っています。妊婦さんは必ずといっていいほど読んでいるのではないでしょうか。私も第1子、第2子を妊娠中は色々な種類の雑誌を読んで情報収集した経験があります。

雑誌にはマタニティライフに役立つ情報はもちろん、お金に関する記事もたくさん載っています。例えば「妊娠・出産でかかるお金ともらえるお金」、「子育てにかかるお金あれこれ、特に子供にかかる教育資金準備は必須」などです。当然ながら、雑誌には学資保険の広告もたくさん出ています。お金に対する漠然とした不安と、少しでも効率的にお金を貯めたいという思いは親なら少なからずあるはずです。雑誌などで目にする機会も多い分、学資保険へ自然と誘導されてしまう方も多いのではないか……と思いながら、私自身も雑誌を読んでいたことを思い出しました。

雑誌の影響か、妊娠したら学資保険を考えるという風潮は今でも続いているようですが、結論として、学資保険は必ずしも入らなくてはいけない保険ではありません。むしろ、生命保険など他の保険を優先して準備しなければならない家庭も多くあるのです。

これまでご相談いただいた方でも、そのようなケースがたくさんありました。なんでもかんでも不安だからと保険に入っていては保険貧乏にもなりかねません。どんな保険が必要なのか優先順位を付け、さらに今後の生活の中で保険料が無理のないものか、保障が合うかどうかを基準として加入を決めると安心です。

生涯で考えると決して安くはない金額を「保険」に預けていくので、「みんなが入っているから何となく」で決めるのではなく、納得できるものをきちんと学資保険選びをしたいものですね。

実際に子供にかかる大学の教育費はどのくらい?

学資保険に加入する一番の目的は、最も資金が必要といわれる大学進学のための費用を準備することです。学資保険を考える前に、まずは大学にかかる教育費についてもう少し知っておいた方が良さそうです。

生命保険文化センターの資料による大学の教育費総額(4年間)です。

国立大学(自宅通学)約524万円
国立大学(下宿)約814万円
私立文系(自宅通学)約684万円
私立文系(下宿)約954万円
私立理系(自宅通学)約819万円
私立理系(下宿)約1,089万円となっています。

ご覧いただいたように、大学生にかかる教育費は、国公立か私立か、自宅通学か下宿か、文系か理系かなどによって大きな差があります。そうなると、教育費を把握すると同時に、進路についても目星をつけておきたいところですね。

●公益財団法人 生命保険文化センター ホームページ
「大学生にかかる教育費はどれくらい? 大学生の教育費総額(平成26・27年度)」
http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifeevent/education/6.html

学資保険の加入方法は?

上記でお伝えした通り、教育費のほとんどは大学生でかかるといっても過言ではありません。そのため、学資保険の満期は18歳のものが多く、0歳で加入すると大学進学前の高校3年の時点で受け取ることができます。

一般入試であれば2月頃に学費を準備できていれば間に合いますが、AO入試や推薦入試の場合、10月頃までに学費を準備しておく必要があります。そのため10月以降の予定日の赤ちゃんは出生前加入を検討しましょう。

出生前加入とは、出産予定日の140日前から加入できる制度で、学資保険独特の制度といえるでしょう。あえて加入時期を早めることで、秋の学費がかかる時期に満期を合わせることができます。もしくは17歳満期という商品もあるので、早めに手元に資金を準備しておきたい方は、出生前加入と併せて検討してみましょう。

赤ちゃんができたら最優先に考えたい事とは?

ここまで、妊娠をきっかけに保険を考える人が多いこと、学資保険の目的である大学の教育費について、そして学資保険の加入方法についてご紹介しましたが、子供を育てるにあたって、必要なのは教育費だけではありません。日々の生活費や学校生活にかかる様々な学用品や備品、習い事もあります。もちろんレジャーにかかるお金も子供の分が追加され、住む家も広さが必要になってきます。このように、妊娠をきっかけとして考えるべきことは保険や教育資金のことだけではないのです。実はまだ一番大事なことをご紹介していませんでした。

赤ちゃんができたら最優先に考えたい事……それは今後のライフイベント(やりたいこと)を盛り込んで、家族全員が幸せに過ごせるようなライフプラン(家族の資金計画)を立てることです。反対に、このライフプランがないと、今後どのように生活をしていけばいいか、指針になるものがありません。それでは学資保険も生命保険もどのように加入すればいいか、判断する材料がないことになります。夫婦二人の時はどんぶり勘定でなんとかなっていた家計も、子供ができると全く計画を立てずに生活するというのは心もとない気がします。

ライフプランは決して難しいものではありませんので、まずはご自分で作成してみましょう。より詳しいものを作って欲しい、ライフプランを元にアドバイスが欲しい方は、ファイナンシャルプランナーに相談するという手もあります。

家族のライフプランシートを作成してみよう

ライフプラン(家族の資金計画)を立てるといっても具体的に何をすればいいのでしょうか。

まずは、ライフプランシートを作ってみてはいかがでしょう。ライフプランシートとは、ざっくりと説明すると、予想される世帯全体の収入、支出を年ごとに入力し、何歳のときにどれくらいのお金が必要かを可視化するためのものです。

家族の状況を夫婦で共有しよう

保険に加入の際などに作成してくれる場合もあるので、ライフプランをすでに作ったことがある方もいらっしゃるでしょうか。でも実際にはライフプランを立てたことがある方は4割にも満たないそうです。私もファイナンシャルプランナーとして、妊娠をきっかけにライフプラン作成をお手伝いさせていただいたご家庭が数多くありますが、作る前に不安に思われていたことのほとんどを解決することができ、将来の見通しが立って安心したというご感想をいただきます。まだ作ったことがないという人は、この機会にまずはライフプランを作ってみましょう。

インターネット上では、「知るぽると」のように簡単にシミュレーションができるものもあります。トップページから、暮らしのチェックを選択し、その中にライフプラン(生活設計診断)という項目があります。
家族構成、収入、支出、老後の生活、住宅、貯蓄、借入金などの情報を入力すれば、診断結果をグラフつきで示してくれます。

もちろん紙に書き出してみるだけでも構いません。赤ちゃんが0歳、6歳、12歳、15歳、18歳の時に親が何歳になるのか。その時々に必要な資金などについて大雑把でいいので書き出してみましょう。特に子供が2~3人いるようなご家庭だと、大学進学や入学が重なる時期があるかもしれません。そんな時には支出が収入を上回ることもあるでしょう。いつ、いくらぐらいの出費があり、いくら足りなくなるのか……を知り、心構えができるだけでも大いに役立つのではないでしょうか。

やみくもに不安にならず、少しずつ蓄えることで将来に備えていきたいですね。そして、夫婦で貯蓄の目標を持つことができればベストです。

●金融広報中央委員会「知るぽると」ホームページ
https://www.shiruporuto.jp/public/

親に「何かあった」時の対策はできていますか?

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ライフプランシートの通り、家族全員が健康で生活を続けられるのが一番望ましいのですが、子供がいると考えざるを得ないのが「何かあった時のこと」です。実は、保険は保険金を支払う理由ごとに、三つの分野に分けられているのをご存知でしょうか。

【第一分野】人の生存または死亡を原因として保険金を支払う保険(死亡保険や年金保険など)
【第二分野】偶然の事故を原因として生じた損害を補填するための保険(自動車保険や火災保険など)
【第三分野】上記のいずれにも当てはまらない保険(医療保険やがん保険、介護保険など)

生命保険会社では、第一分野と第三分野を扱っていて平成30年現在、41社の生命保険会社があります。つまりこの生命保険会社41社の中から自分に合った最適なものを選ぶことになるというわけです。なかなかハードルが高いと思いませんか!? 満足いく保険選びのためには、ある程度保険の種類を知っておく必要があります。

赤ちゃんに関係する保険の種類

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「自分や夫に万が一のことがあったら……!?」考えたくはないことですが、子供がいる以上、万が一に備えて、資金を準備するのが親の務めです。まずは、保険の種類について見ていきましょう。

生命保険と医療保険の違い

生命保険は、医療保険や学資保険などの総称として、保険会社の別名として呼ばれることもあります。「生保」と略されることもありますね。しかし、厳密には、生命保険は契約者が亡くなった際に支払われるものを生命保険と言います。先にお伝えした保険の三分野で、死亡を理由とする保険は第一分野と呼ばれています。

対して、医療保険は病気やケガ、入院などの際に支払われるものと考えます。こちらは分野別でみれば第三分野になります。

これらを組み合わせて、「医療保険+死亡保障」を準備しているご家庭も多いことと思います。

学資保険は第○分野?

それでは、学資保険は保険のタイプ別で分けるとどの分野に分類されると思いますか?

基本は「教育資金を準備するための保険」であり、満期を迎えた時や、中学・高校・大学の進学時などに学資金が支払われるというものです。

一般的に学資保険には、保険料を払い込む契約者(たとえば父親)が死亡したり高度障害などの状態となった場合は、以降の保険料払い込みが免除になったり、給付金が受け取れたりする仕組みがあります。

また被保険者である子供が亡くなった場合も、死亡給付金が支払われます。このように万一の時の保障がついている学資保険は、保険の第一分野に分類されます。

どのくらいの保障額が適正か?

保険会社の方から「このくらいでどうですか?」と提示されることの多い保険金額ですが、果たしてその金額が合っているのか疑問に思われる方もいるでしょう。

死亡時に準備しておいた方がいい金額は、実際に計算してみることができます。これを必要保障額といい、「残された家族にとって足りない金額」を意味します。必要保障額は、家族構成や貯蓄額、仕事の有無などによって変わるため、各家庭で試算されることをお勧めします。
必要保障額の概算の仕方としては、残された家族に必要なお金(葬儀費用、生活費、教育費、住居費など)から、給付されるお金(遺族年金、死亡退職金、家族の収入、預貯金など)を引いて、足りない金額を計算します。この足りない金額が必要保障額となり、その部分を生命保険で備えることになります。

自分で必要保障額のシミュレーションをしてみたい時に役立つのが、各生命保険会社のサイトです。子供の人数や、自営業か会社員かなどの簡単な質問に答えるだけで概算の必要保障額を計算してくれるのです。「必要保障額 シミュレーション」で検索すると、各保険会社のシミュレーションサイトがたくさん出てくるので一度お試しください。

ライフプランシートと必要保障額を把握しておけば、今後の生活に必要な保障の形も見えてきます。必要保障額はあくまでも死亡時のことですが、その他にも、障害時の備え、老後への備え、病気への備えというように予想外の出来事にどのくらい備えておくかを考えるいい機会でもあります。

保険会社や商品選定は、最後の最後で問題ありません。むしろ「この商品がいいから」、「知人から勧められたから」と商品選定から保険への加入を検討するのはお勧めしません。あくまでも生活に合った保険を選ぶということが大切です。

そうはいっても保険の具体的商品についても少しは知っておきたいですね。子供が産まれて様々な保険を検討される方もいらっしゃると思いますが、私がお勧めする優先順位は次の通りです。今回は一番初めに準備すべき死亡保障に絞ってご紹介します。

第1位:死亡保障
第2位:医療保障やがん保障
第3位:学資保険

●死亡保障の定番、終身保険と定期保険の違い
終身保険とはその名の通り、一生涯にわたって保証される保険で、定期保険はある一定期間だけを保証する保険です。保険料を支払うという視点からみると、終身保険は「積み立て」、定期保険は「掛け捨て」です。つまり、同じ保障額を付けた場合、終身保険は金額が高くなり、定期保険は安くなります。まずは、この仕組みを覚えておきましょう。

実は、日本の保険は「終身保険」を土台にして、その上に「定期保険」をつけたものが多く販売されています。
資金的に余裕のある方は、セットで加入できれば現役時代の保障は手厚くなり、万が一の時にも安心です。あまり資金に余裕がない場合は、保険料の高い終身保険よりも定期保険を選択し、子供が成人するまでの保障を限定的に確保するというのでもいいでしょう。

定期保険よりもコスパがいい収入保障保険

定期保険よりもさらにコストを抑えられる収入保障保険というものもあります。万が一の時に、毎月一定の額を受け取ることができる保険になります。保険期間は60歳や65歳までと年齢で決めることや、20年間といった期間で決めることができるため、生活に合うように設計しやすくなっています。

例えば夫が30歳の時に月に10万円を受け取れる収入保障保険に60歳まで加入したとします。加入後すぐに万が一のことがあった場合、10万円×12ヶ月×30年間=3600万円が受け取れます。
また、10年後に万が一のことがあった場合、10万円×12ヶ月×20年間=2400万円となり、徐々に保障額が下がるのが特徴です。

必要補償額は常に一定ではなく、子供の成長に伴い減っていくことが多いため、最初からそのような仕組みがつくれる収入保障保険は子育て世代の強い味方といえるでしょう。

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まとめ

今回の記事では、学資保険は絶対ではないこと、生命保険に入る前に必要な「保険の知識」と「家族全体の資金計画」について解説しました。生命保険会社はどこも商品開発を進めていて、次々と新しい商品が発売されます。そのため、どの保険が優れているという考え方ではなく、「生活に合った保険を選ぶ」というポリシーを持っていないと、最終的にどこの会社が良いか決めきれなくなってしまいます。まずは生活設計を第一に、そして足りない部分を補うために保険を活用するという手順であれば、ご自身の生活にフィットする保険選びができるのではないでしょうか。

また、「学資保険」だから「学資に使わなければいけない」、「終身保険」だから「できる限り使わない」ということではありません。保険のネーミングに惑わされず、「何歳の時にいくら必要で、そのためにいくら準備する必要がある」という本質を忘れずに、資金計画を立てていくと良いでしょう。

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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