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2017年11月10日 19:00 更新

育児情報の見極め方と気を付けるべき事【ママ女医と娘の○○な日常 vol.19】

この情報社会で、ネット上には多くの育児情報が存在します。情報が氾濫しすぎて、何が本当なのかわからなく、中には決して安全ではないものも……。今回は、育児情報を見極めるコツをお話します。

危うい「赤ちゃんを泣き止ませるとっておきの方法」

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人間は、非常に沢山の要素が絡み合って存在しています。生き物です。更に「こころ」の問題も絡みます。「こころ」は決して無視できるものではありません。赤ちゃんも同じです。産まれて来て、身体にいろんな事がいろいろ起きます。「おなかがすいた」「おしっこが出ておむつが濡れた」「何か音がした」……いろいろな事が、赤ちゃんにはわかりません。

ですから、なんだか気分がよくなければ泣きます。いや、もしかすると、快・不快ではなく、何が何だかわからないから泣くのかもしれません。

赤ちゃんが泣く原因がわからない

何が原因か、それは赤ちゃんに聞いてみないとわかりませんが、赤ちゃんは喋れません。だから、世の中のお母さんたちは、おっぱいかな、おむつかな……わからないけれども、いやな気持ちになりそうなものをしらみつぶしに潰していきます。

そして、いろいろな原因を考えてやってみたけれども、何が何だかわからない。でも赤ちゃんが泣き止まない……そんな時、お母さんは途方に暮れてしまいます。仕方なく抱っこして、揺らしてあやして、一時間くらいでなんとか寝たとします。しかしふと気がつくと、もう次の授乳時間が迫っている事に気づきます。お母さんはヘトヘトです。夜も眠れず細切れの睡眠で、疲労は限界にまで達しています。それを毎日繰り返します。

本当に正しい情報か考えてみる

そんな限界の時に、「赤ちゃんが泣くのは、全て○○が原因! だから××をすれば泣きやむよ、そんな事も知らないの? 日本のお母さんはかわいそう」みたいな情報を見たらどうでしょうか。試してみようと思いませんか?

だけど、考えてみてください。あなたは毎日頑張っています。大切な赤ちゃんを見つめながら、必死にお世話して、それでも泣く原因がわからないのです。それが、見も知らぬ人が書いたインターネットの書き込みに、あなたの赤ちゃんが泣いている原因が書かれているでしょうか?

あなたの赤ちゃんを見た事も無く、どんな風に泣いているのか、そのためにあなたが何をしているのか、そんな情報も一つも知らない人が、赤ちゃんが泣き止む魔法のような方法を知っていると思いますか?……そうですね。恐らく、そんな魔法はないでしょう。

インターネット上の情報で気を付けるべき事6点

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育児情報だけではなく、健康や病気についても、多くの怪しい情報が世の中にはあります。どうやって育児情報を見極めるか、これはすごく難しい問題です。医学情報を探すより難しいかもしれません。昔は、大体この手の怪しい情報は商売に直結している事が多かったように思います。「医者の一部しかしらない新事実、アトピーの原因は水!ちゃんとした安心安全な水を飲まないといつまでも治りません」みたいなやり方で、高い水を売りつける、といったやり方です(勿論、これは嘘ですよ)。

しかし、現在のインターネット社会では、誰もが情報発信ができます。「自分がこう考えてこうやったら解決したから、是非他の人にも勧めたい!」と悪意なく、ブログやSNSで情報を流せます。そのため、先ほどのような話があちこちで蔓延しています。悪意もないため、情報の真贋を見極めるのは、更に難しくなっています。ですので「たった一つの見極め方」のようなものはありません。次に記すのは、私の個人的な意見と思って参考程度にご覧ください。

情報発信者の信頼性

まずはここからです。誰が流したかわからない情報はほぼ怪しいと思ってください。大手企業が出した情報でも、信頼のおける情報には著者が記されてします。たとえ誰が書いたかはっきりしていても、あなたが信頼出来ると思わない人の情報は信じない方が無難です。

公的なドメインをつけて検索

「go.jp」は政府の、「ac.jp」は大学関係のドメインです。特に健康関連のものはこれが非常に有効です。子供の病気や健康について、情報に不安を感じた時はこちらで検索してください。

「全ての原因は○○」など、断定した言葉

患者さん相手に説明している時に感じます。知識があればあるほど、相手の事を考えれば考えるほど、真摯になればなるほど、断定する事は難しいものです。断定する方が魅力的に響きます。そのため、ついひきこまれてしまいます。「赤ちゃんが泣くのは母乳の味が悪い事が原因です。絶対に甘い物を食べたらダメ!」こんな断定・言いきりをする文章を見たら「あれ?」と思うクセをつけてみてください。

「有名人もやっている」「一部の人だけ」などの言い回し

希少性が高かったり、好きな有名人がやっていると真似したくなります。が、そこをぐっとこらえて冷静に考えてみてください。本当に良い育児法であれば、有名人がやっていなくても良い育児法ですし、一部の人にしか知られていない方法は「普通ではない」という事の裏返しです。

セミナーや勉強会に誘導する文言

「この方法を試すために、ぜひセミナーに」こういった商法が流行っています。不安を煽る情報が続いた後に、解決策をちらりと見せ「詳しくはセミナーに」とか「これを買えばわかる」と情報商材や有料動画を高値で売りつけます。大金を払ってセミナーや勉強会に行かないといけないような育児法が、良い育児法でしょうか?世の中の人が、そんなお金を払って育児をしているでしょうか?

これは、こういった商売形式であり、お金を払わせるための方法です。一度疑ってみてください。「普段は○円の参加費を、このブログを読んだ人には特別に今だけ半額で」など書かれていたら、それは詐欺の手口です。参加費を異常に高く設定し、「今だけ」と表記して冷静に判断する気持ちを麻痺させます。良い育児法は、そんな詐欺的な手法を使わないと手に入らない情報のはずがありません。良い育児法であれば自然に広まるので、お金などは必要ないのです。

子供に危険はないか確認

「自己責任」という言葉があります。「リスクを知った上で自己責任でやっています」かっこいい言葉ですね。しかし、育児の場合、自己責任の結果は全て「子供」にふりかかります。

たとえば、「自己責任」でワクチンを受けさせない事の不利益は、全て子供が背負う事になります。ワクチンで防ぐ事ができる病気を防げなかった時、死や後遺症といった危険に晒される事になるのは子供です。なので「この育児情報は子供にとって危険ではないか?」という視点は常に持っていてください。特に健康や病気に関わる事、子供の身体に侵襲を加えるような内容のものは、前述の公的なドメイン「~〇〇〇.go.jp」や「~〇〇〇.ac.jp」を使うか、あなたの子供を直接診る事ができる主治医の先生に尋ねる事をお勧めします。

原因と目的を明確にする

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原因を求めすぎない

何か困ったときに、原因を求め、その原因をなくせばよくなるのではないか、と思うものです。しかし原因は一つとは限りません。下手をすると原因がない事もあります。原因を求めすぎる事は、怪しい情報にひっかかりやすくなります。また、原因を見つけた(と思った)時には、原因を取り除きたくなります。しかし、あなたの困っている事は、その原因を取り除く事でしょうか?

たとえば、「赤ちゃんが泣いているのは、お腹にたまったガスが原因だ」とあなたが考えたとします。そうした時、そのガスは抜く必要あるのでしょうか?あなたもガスでお腹が張った経験があると思いますが、この時にお尻からゴムホースを入れておならを出すような真似をしようと思いますか?

目的は赤ちゃんを助ける事

無理に原因を取り除こうとすると、本来の目的を忘れてしまう事になりかねません。目的は、赤ちゃんが困っているのを救ってあげたい、そこではないでしょうか。便秘がちなら、便秘を治せばガスが出るでしょう。そうでないなら、少し時間が経てばいつかガスが出ますし、出なくてもガスは腸を移動するので苦しくなくなりますね。無理に出さなくてもいいのです。お腹を少しマッサージすれば、ガスが移動して楽になるかもしれません。

違和感に赤ちゃんが困っているのなら、抱っこして「大丈夫だよ、少ししたらよくなるよ」と優しく揺らしてあげているだけで、赤ちゃんはあなたの温かさに安心して眠るかもしれません。そうしているうちに、おならがプスっと出るかもしれません。それでもたまったガスがなかなか出ないのであれば、医者の出番です。病気がないか、是非病院を受診してください。

解決策は一つではありません。その中で、赤ちゃんに負担のないものを選ぶ方がいい……私はそう思います。

独りで悩まない事が大切

Lazy dummy

赤ちゃんは泣きます。おなかがすいて泣きます。おむつが濡れて泣きます。暑くて泣きます。寒くて泣きます。抱っこして欲しくて泣きます。眠いのに眠れなくて泣きます。もしかすると眠りたくなくて泣くのかもしれません。泣きたくて泣いているだけかもしれないのです。泣く原因は決して一つではあり得ません。私も、赤ちゃんだった娘と一緒に泣いていた事もあります。

もし夜中に困ったら、Twitterに来てみませんか。同じ月齢の子を探したいのであれば「#2014mar_baby」のように「#(生まれた西暦)(生まれた月の英語の頭3文字)_baby」というハッシュタグをつければ、同じように情報を共有したい人たちのつぶやきが見れます。「夜泣き」と検索すれば、リアルタイムで夜泣きについてのつぶやきが見れます。もちろんあなたも呟けます。好きな事を好きに呟いていいんです。辛い事を辛いと言って大丈夫。独りじゃないという事がわかるだけで、救われる事があります。

私もそうでした。娘がイヤイヤ期に限界になった時に愚痴を山ほどこぼしていたら、いろんな人に話を聞いてもらえました。いろんな人の悩みを見ました。私だけじゃなかった。同じような事で悩んでいました。イヤイヤ期の原因も、イヤイヤ期の解決法もtwitterにはありませんでした。でも、ただ困っている事を口に出す事、同じ悩みを見る事、先輩ママの話を聞く事、独りじゃないって事……それだけで、どれだけ救われた事か。

よかったら一緒に悩みましょう。そしてみんなで一緒に子育てをしましょう。氾濫する情報に溺れる事なく、どうか、あなたとあなたの子供の笑顔が守られますように。


(HAL)

※記事内の画像はすべてイメージです

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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