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【医師取材】ADHDってどんな症状? 診断基準と原因・子どもへの接し方

【医師取材】ADHDってどんな症状? 診断基準と原因・子どもへの接し方

衝動的な行動、不注意など、特徴的な症状が現れる「ADHD」。いま話題の「大人の発達障害」の1つです。今回はADHDについて、障害の内容と、その診断基準、原因についてご紹介します。


この記事の取材先ドクター
武田クリニック 武田寿之院長
当院では、出来る限り患者さんの目線になってお話を伺うことを大切にしています。
ささいなことでも何でも相談していただき、本当の意味での「家庭医」を目指しております。
http://www.nerima-med.or.jp/kikan/byoin/kobetsu_base.php?id=235/

ADHDとは?

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ADHDってどんな病気?

ADHD(attention deficit hyperactivity disorder)は「注意欠如多動性障害」のことです。乳幼児は時や場所をわきまえず、感情のままに泣き叫んだり暴れたりします。しかし、少しずつ社会性を身に付けることで、年齢とともに落ち着いてくることが一般的です。しかし、「多動・衝動性」「不注意」が、その年齢に見合わない形で出現する時「発達の遅れ」としてADHDを疑うことになります。

具体的には「集中力や注意力の欠如」「じっとしていることが難しい」「よく考えずに行動しやすい」などの症状によって、勉強や社会生活に支障が出ます。

ADHDの診断基準は?

一般的には、アメリカ精神医学会(APA)の「DSM」を診断基準とすることが多いでしょう。例えば「DSM-IV-TR」では、以下の5つ全てに該当するときに、ADHDと診断されることになります。

・同年代と比べて「不注意」「多動・衝動性」が、強く、そして頻繁に認められること。なお「不注意」とは具体的に、集中力散漫、気が散りやすい、順序だての困難、物を紛失しやすい…などが挙げられます。また「多動・衝動性」とは、待てずに他人の邪魔をすることがある、静かにしていられない、じっとして遊んでいられないが…などが挙げられます。

・7歳よりも前からいくつかの症状が認められる。

・ライフステージにおける、学業、職業、対人関係の障害となっている。

・学校や家庭など、2つ以上の状況で障害となっている。

・不注意、多動・衝動性が、ADHD以外の原因(他の発達障害、精神障害など)によるものではないこと。

なお、2013年発表の診断基準「DSM-Ⅴ」では「不注意・多動・衝動性が12歳以前から見られ、症状が半年以上継続していること」と変更されています。このような診断基準を目安にしつつ、同時にパパ・ママのお話、子どもの学習記録なども参考に、総合的な視点から診断を下します。

ADHDは発達障害?

発達障害にはいくつかのタイプがあります。その中の1つが「ADHD」なので、「ADHDは発達障害の仲間」ということができるでしょう。ADHD以外の発達障害のタイプとしては、自閉症、アスペルガー症候群、学習障害(LD)、チック障害などがあります。

ADHDの発現時期や場面は?

小学生くらいまでの間に、ADHDと考えられる症状が現れます。多くの子どもは、小さいときには、集中力がなかったり、落ち着きがなかったり、少々乱暴だったり…ということは珍しくありません。しかし、幼稚園や小学校という集団生活の中では、ほかの子供と比較できるため「ちょっと行動が度をすぎているのでは?」という気づきのきっかけとなりやすいと考えられます。

大人のADHD

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大人のADHDの原因と症状

ADHDは1つの「特性」ですので、子どもだけでなく大人にも症状が出ます。大人のADHDはやはり、仕事の障害になって本人を悩ませるケースが多いようです。実際にいま「大人の発達障害」が話題となっていますが、その中で最も高い割合がADHDです。

具体的に、以下のような症状のある人は、ADHDの疑いもあります。
・順序だてや計画に基づいた作業・仕事が苦手
・忘れ物が多い
・ケアレスミスが目立つ
・遅刻、約束に間に合わない/忘れる
・片付けが苦手
・熱中すると周りが見えなくなる/切り替えられない
・長い説明/多くの指示に混乱しやすい
・長い時間座っていることが苦手

なお、ADHDの症状の1つである「多動性」は、成長に従って軽くなっていくケースも多いです。一方、「衝動性」「不注意」については、青年期・成人期まで、それぞれ半数ずつ程度継続されるとも言われています。また、ADHDの人の中には、不安やうつなどの症状を思春期以降に合併するケースもあります。成人の発症率は「40人に1人」とも言われていますので、決して珍しい病気ではないと言えるでしょう。

ADHDの薬物療法と心理療法

これまで、大人のADHDに服用可能な治療薬はありませんでした。しかし近年、大人のADHDに対して「コンサータ」「ストラテラ」などの薬の処方が認められるようになりました。ちなみに幼児期・児童期の子どもの場合には「塩酸メチルフェニデート」「アトモキセチン」などといった薬の服用が可能です。

さて、大人のADHDは以上の「薬物治療」のほかに、「心理療法」や「行動療法」があります。「心理療法」では、対人コミュニケーションにおけるルールを学び、適切な訓練を行います。専門家、家族のみならず、ときには自助グループとも連携しながら、社会性の習得を目指すのです。このような学びによって自信が育まれることで、不安な心を癒したり、将来に希望が持てたりというメリットがあります。

「行動療法」では、より実践的なセルフコントロールを目指します。きちんとスケジュールを立てて行動したり、問題行動に特化した修正や改善を目指したり、生活しやすいように環境を整えたりといったことを行います。

親のADHDは遺伝する?

ADHDは血縁・家族の中で発生する割合が高いと考えられるため、遺伝が関係する可能性も高いといわれています。具体的には、脳の特定の部位(前頭葉、線条体)の機能障害に、遺伝が関係していると考えられるのです。一卵性双生児(ふたご)の場合、両方がADHDに確率はおよそ8割になるとの報告もあります。

子どものADHD

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子どものADHDの症状

子どものADHDについて「多動性」「衝動性」「不注意」はどのように現れるのでしょうか。具体的な学校での様子をご紹介します。

・授業中にじっと座っていられない
・大声をあげる
・たびたび列を乱して横入りしようとする
・手足をもじもじする
・しゃべりすぎる(多弁)
・いちど話し始めると止まらない
・お友達に暴力を振るう
・会話やゲームに割り込む
・話を聞いていないように見える
・宿題など忘れ物が多い(*特に女性・女の子に多いと言われています)  など

ADHDの場合、このような症状が学童期までに現れますが、子どもの「3~7%」にものぼると言われています。女性よりも男性の方が数倍程度多いようです。(ただし最近の事件では、男女比が同程度と言う説もあります)なお、男性の場合は成長に従って有病率が低下するのに対して、女性の有病率は「年齢による変化はない」と報告されています。

ADHDの子どもとの接し方

ADHDの子どもに対しては、気をつけるべきポイントもありますが、決して腫れ物に触るように余計な気を使う必要もありません。大切なポイントは「良いところを具体的に褒めてあげる」「できたことに対するメリットを提示する」ということです。これを忘れずに、以下の4つを実践していくと良いでしょう。

■子どもの良い面に目を向けること
ADHDの症状にばかり目が行きがちですが、その子の良い部分をなるべく見てあげましょう。

■暴力禁止
言葉の暴力、体の暴力(体罰)に限らず、禁止です。叱るときは、しっかりと自分に注意を向けさせて、誠意を持ってわかりやすく注意するようにします。パパ・ママが、日ごろからポジティブな言葉を使うことも重要です。

■心を広く持つ
忘れ物が多いのも、お友達に手を挙げてしまうのも…パパ・ママにとっては面白くないことかもしれませんが、子どもは「パパ・ママを困らせようと思ってやっているのではない」ということは、常に自分に言い聞かせてください。子どもの不器用さは「特徴」です。これを常に意識しておくと、親としても気持ちがラクでしょう。

■年齢に合わせた接し方を考えよう
子どもの年齢や発達に合わせて、接するようにしましょう。例えば小さいときには自由な遊びや運動で、パワーを発散させてあげることも大切です。小学生になったら、パパ・ママがポジティブな姿勢で子どもを支えてあげると良いでしょう。信頼できるパートナーのような存在になれたら理想的です。中学生になると、思春期で難しい時もあるかもしれませんが、引き続き「言葉や体の暴力」はNGです。命令ではなく、あくまでもアドバイスを与えるつもりで接するようにしましょう。「もう大人だし」とすべてを子ども任せにするのは、少し早いかもしれません。様子を見ながら、あくまでも段階的に進めていくと良いでしょう。

通院と治療

ADHDの子どもに対しては「薬物療法」「生活環境の調整」「行動療法(行動変容)」などを、複合的に実施します。

■薬物療法
「メチルフェニデート」「アトモキセチン」などの薬が治療に利用されます。いずれも脳内神経伝達部室(ノルアドレナリンやドーパミン)に対して働きかけます。なお、サプリメントについては「ビタミンB群」が利用される場合もあります。落ち着きのなさの改善にある程度の効果が期待できるとの説もありますが、医師によって考え方は異なるかもしれません。

■生活環境の調整
ADHDの子どもは、他の子どもとは異なる「生活のしにくさ」を感じているものです。このような不便を解消することで、集中力を妨げない、暮らしやすい環境を整えます。具体的には、学校の掲示物や机の位置を工夫するほか、時間の区切り方を普通よりも細くするなどの方法があります。学校側の協力・理解を得つつ、すすめていくことが理想です。

■行動療法(行動変容)
「好ましい行動に報酬を与えること」をメインに、子どもの行動に好ましい方向に変えることを目指します。好ましい行動を点数制にして、それが溜まると子どもが喜ぶイベント参加やご褒美を与えるようにします。通常、好ましくない行動に対しては「怒ること」が中心になりがちですが「報酬を与えないこと」をメインにします。特に、過剰に厳しくしたり怒ったりすることは、逆効果。特に、多動症状は大人の力で抑えつけたくなるかもしれませんが、一時的に静かになったとしても、長期的な視点では効果が期待できません。医師(専門家)をはじめ、パパ・ママ、学校など、子どもに関係する人々の理解と協力が不可欠です。

まとめ

ADHDを含む発達障害者のサポートは、2005年の「発達障害者支援法」施行より確実に前進していると言えるでしょう。つい最近、2016年に同支援法の改正法案が可決・成立し、さらなる情報提供や、助言、共有について強化されています。ただし、それでもまだADHDを始めとする発達障害は、一般に正しい認知が浸透しているとは言いがたいのも事実です。ご自分のお子さんに少しでも心配な点があれば、ためらわず専門機関へご相談されることをおすすめします。

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