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【医師取材】パニック障害でも仕事は出来る? 発作の対処法と治療

【医師取材】パニック障害でも仕事は出来る? 発作の対処法と治療

不安やパニックに襲われて、日常生活に支障をきたす「パニック障害」。今回はパニック障害でも仕事ができるのか、という話題を中心に、不安や発作の対処法、治療法などをご紹介します。


この記事の取材先ドクター
武田クリニック 武田寿之院長
当院では、出来る限り患者さんの目線になってお話を伺うことを大切にしています。
ささいなことでも何でも相談していただき、本当の意味での「家庭医」を目指しております。
http://www.nerima-med.or.jp/kikan/byoin/kobetsu_base.php?id=235/

パニック障害とは?

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パニック障害の症状

パニック障害の症状を一言で説明するならば「苦しさ」ということになるでしょう。特定的な原因もなく、理由なしに心や体の「苦しさ」が生じます。具体的な主な症状には「予期不安」「広場恐怖」「パニック発作」の3つがありますので詳しく見ていきましょう。

■予期不安
パニック障害では後述する「パニック発作」が起きます。それを何度か繰り返すうちに「またパニック発作が起こるのではないか」「次はもっと苦しく、もしかすると死んでしまうのではないか」などという不安にさいなまれるケースがあります。これが「予期不安」です。パニック発作に伴う様々な悪い想像を先回りして考えるようになり、仕事を辞めたり、特定のことができなくなったり…など、行動が消極的な方向に変化することも珍しくありません。また、不安の対象が「発作そのもの」のみならず「発作が起きたシチュエーション(発作が起きた場所、発作が起きたときにあったもの、いた人など)」にまで広がる場合があることも、特徴の1つです。

■広場恐怖症
不安の対象が「発作が起きたシチュエーション」にまで広がり、特定の場所や状況が苦手になり、これを避けるようになってしまう。このような状態を「広場恐怖症」と呼びます。もちろん、怖いと感じる場所は人それぞれで、広場以外にも、電車、特定のお店、もしくは「外出そのもの」に恐怖心を感じるケースもあります。行動にもやはり変化が生じ、引きこもりがちになってしまうことも少なくありません。なおこれまでは「パニック症状になることで、広場恐怖症も起きる」という考え方が一般的でしたが、パニック症状になる人には、すでの広場恐怖症の症状が出ていることも確認されています。10代後半、思春期の発症が比較的多いようです。

■パニック発作
パニック発作では、理由のない恐怖感・不快感が発作的に突然現れます。米国精神医学会の「DSM-5TM,」(2013)では以下のような13症状が紹介され、突然4つ以上の症状が現れるとされます。

・心拍数が増す、心臓がどきどき
・汗が出る
・震えが出る
・息苦しさや呼吸が速くなる
・息が詰まる感じ
・胸の痛みや不快感
・吐き気、お腹の不快感
・めまい、頭から血の気がなくなったり軽くなるような感覚
・ほてり、もしくは寒気
・しびれやうずき
・非現実感、自己分離感
・おかしくなりそうという恐怖心
・死ぬことへの恐怖

パニック障害の原因

パニック障害の大きな特徴の1つが「身体的な異常ではない」という点です。パニック障害を初めて経験した人は、不安になり、病院でさまざまな検査(血圧、心電図、採血など)を受けることも珍しくありませんが、異常が見つかりません。

なお、パニック障害の症状が起きる原因や、そのメカニズムは、正確に判明しているわけではありません。しかしながら、生物としての人間が持っている「性質」が関係しているとも言われています。生物は、生命の危機に際して「生き延びるための反応」(パニック状態)が準備されています。汗が出たり、心拍が速くなるのは、危機的な状況からすぐに逃げるため。不安や恐怖も、本来ならばパニック的な状況で感じるものです。

このような「反応」(パニック状態)が、何でもない状況でも生じてしまうことで、パニック障害特有の症状が起きていると考えられます。つまり「本来恐怖のない状況で恐怖が生じる(脳や体の)"誤作動"」ということもできるでしょう。

それでは「本来恐怖のない状況で恐怖が生じる要因」は何か、については「ストレス」「疲労」「精神的なプレッシャー」「脳内神経伝達物質の働きの異常」「生物学的要因」など諸説あります。

パニック障害で仕事は出来る?

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仕事場や電車でパニック発作が起こりやすいのはなぜ?

パニック発作の起こる頻度としては、仕事場や電車などの「外」であることが多いようです。パニック障害の中心をなしているのは「不安や恐怖」ですが、やはりリラックスしやすい「家」よりも、他人がいて家よりも緊張しやすい「外」の環境のほうが「不安や恐怖」を感じやすい状況であることが関係します。

仕事や電車でパニック発作が起きたときの対処法

仕事場や電車内で、パニック障害の発作起きたときには、以下のような方法で対処しましょう。

・パニック発作の薬を常に持ち歩き、発作が起きたら速やかに飲む
・落ちつける場所に移動する(電車ならば車両を移るか、1度途中の駅に降りる)
・気を紛らわすようにする
・呼吸に意識を集中する
・運転中に発作が出た場合はよりパニックになりやすいかもしれませんが落ちついてください。ハザードランプをつけながら、安全な路肩や駐車場へ車を駐車させましょう。

なお、頓服薬をあらかじめ飲んでおき「パニック発作を予防すること」も良い方法です。そして、最も大切なことの1つが「気の持ち方」かもしれません。パニック発作は多くの場合、30分程度で収まります。症状のピークも数分程度です。発作の時に「辛いけれど別に死ぬことはない」と考えるだけでも、いくらかはラクになる可能性があります。

仕事とパニック障害の付き合い方

「パニック障害に対する良き理解者を得ること」は、家庭でも職場でも同じことです。理想としては、職場の人たちに発作のことを理解してもらったり、あるいは「パニック障害に理解のある職場」を見つけることが理想的といえます。なお「安心できる職場環境」としては、以下のようなものがあります。

・周囲の人が障害について理解してくれる
・仕事内容が規則的
・激務でない
・ラッシュを避けた通勤が可能


「パニック障害なのに本当に仕事ができるの?」と不安に思う人もいることでしょう。しかし、仕事である以上、障害の有無にかかわらずほとんどの人が、仕事に対して不安や緊張を感じています。その意味ではパニック障害者の人も、そうでない人も同じです。このように考え、気をラクに持つことも大切です。

パニック障害の治療

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パニック発作を抑える薬

パニック障害の薬物療法の最優先目標は「パニック発作を抑えること」です。そのために「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」などの抗うつ薬と、ベンゾジアゼピン系薬剤という抗不安薬が使用されます。パニック発作に対して薬物療法の効果は高いと考えられます。

ただし「症状が消えたらもう飲まなくていい」ということではなく、まとまった期間、継続服用しなければなりません。治療方針は個々人によって異なりますが、薬物療法が1年前後続くことも珍しくありません。自己判断で薬の服用を急に中止すると、めまいや頭痛などの「断薬症状」が出るケースもあるので、必ず医師に相談してください。

認知行動療法

「認知行動療法」は、薬物療法と同じくらい、パニック障害の治療方法としては有効です。薬物療法と併用することで、より高い治療効果が望めます。

「認知行動療法」で目指すことは「思考の歪みを変容していくこと」です。例えば、パニック障害で現れるさまざまな症状は、命に危険がないにもかかわらず、そのように感じられます。このような状況に対して、カウンセラーや医師とともに、認識を矯正することを目指します。これにより、ご自身の症状を、合理的に受け止めることができるようになります。

また、認知行動療法の中に「曝露療法」と呼ばれるものであり、広場恐怖症に対しては、とても効果があると考えられています。細かい段階づけによって、恐怖の状況を少しずつ克服していきます。「家族で電車に乗れた」「次は、1人で電車に乗れた」…というように、恐怖に対して少しずつ「成功体験」を得ていきながら、自信を回復していきます。

運動療法

パニック障害の治療方法には「運動療法」と呼ばれるものもあります。

パニック障害が、一定の行動の制限につながることがある、というのはすでにご紹介しました。これと関連して、パニック障害の患者さんの体力が、通常よりもだいぶ落ちているケースも少なくないようです。実際に、定期的な運動をすることは心身にとってプラスとなり、抑うつ状態の改善など、精神的な安定にもつながります。方法は、患者さん個々人のライフスタイルに対応させますが、例えば、朝のウォーキング、職場ではエレベーターではなく階段を使う…などできることから、体を使うようにすると良いでしょう。

まとめ

一生のうちにパニック障害を経験する人は、なんと「1〜2%」にもなるといわれています。例えば、同僚や同級生が、身内が、ご家族ご兄弟が、そしてあなた自身も、パニック障害を経験する可能性も充分にあるということです。パニック障害について知っておくことは、それだけで大きな安心材料になります。1人で抱え込まず、早めに専門家へ相談するようにしましょう。

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