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【医師監修】不妊治療で行う体外受精(IVF)とは? 方法や費用についての説明

【医師監修】不妊治療で行う体外受精(IVF)とは? 方法や費用についての説明

今や日本国内において、不妊治療を受ける人は46万人を超え、その中でも「体外受精」は、不妊治療の一つとして知られています。今回は、体外受精とは一体どういうものなのか、体外受精の方法と流れ、体外受精で妊娠する確率、体外受精の費用相場、体外受精のリスクと副作用についてまとめてみました。


この記事の監修ドクター
六本木レディースクリニック 山中 智哉先生
不妊治療専門クリニックとしてどうあるべきかを常に考え、私たちだからこそできる心のこもった診療ができるよう心がけています。
http://www.sbc-ladies.com/

「IVF」とは

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「体外受精」とは、卵巣から卵子を取り出し、通常ならば、身体の中で行われる受精を身体の外で行い、受精卵を培養して再び子宮に戻し、着床を促す不妊治療の方法です。“IVF”(In Vitro Fertilization)とも呼ばれています。

体外受精は、卵巣機能の低下や卵管閉塞など女性側に原因がある場合、あるいは乏精子症や精子無力症など男性側に原因がある場合など、一般不妊治療といわれるタイミング法や人工授精で妊娠が困難な場合に行なわれます。また最近では、挙児を希望される女性の高齢化の傾向から、一刻も早く妊娠を目指す必要がある場合に、初めから体外受精が選択されるケースも増えています。

体外受精(IVF)の方法と流れ

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体外受精の大まかな方法や流れは以下の通りです。体外受精は女性の月経周期に合わせて進められます。「採卵」は針を卵巣に刺して卵子を採取する小手術ですので、事前に術前検査を行なう必要があります。

「排卵誘発」は月経が始まった日から数えて3日目前後からスタートします。「排卵誘発」の方法にはいくつか種類があり、通常は卵巣機能によってその方法が選択されますが、クリニックの方針によって決められている場合もあります。

「胚移植」は体外で受精、培養された胚を子宮内に戻す施術ですが、胚移植も月経周期に合わせて適切な時期に行われます。

1)術前検査

採卵を行なう前に、安全に採卵が行えるかどうかを確認するために術前検査が行われます。主な項目としましては、貧血の有無・肝腎機能検査・感染症などが含まれます。

2)卵巣刺激(排卵誘発)

通常、自然な周期ではひとつしか育たない卵胞を、複数個育てるために排卵誘発剤を使用することを「卵巣刺激」あるいは「排卵誘発」といいます。排卵誘発剤にはクロミッドなど数種類あり、その使用方法によって刺激の強さが決まります。

排卵誘発の方法は、主に卵巣機能を見て決められますが、クリニックや医師の方針によって、基本的な方針が定められていることもあります。排卵誘発剤を使用せずに、自然に発生した1つの卵胞から採取する「完全自然周期採卵」という方法もありますが、不妊治療に携わる医師の間でも賛否両論があるところです。

3)採卵・採精

卵巣刺激により育てた卵胞の成長を確認し、採卵日を決定します。卵胞の成熟の指標として、卵胞径と血中エストラジオール値が重要となります。

卵胞が十分成熟したことを確認した後、採卵予定時間の34~36時間前に、「GnRhアゴニストの点鼻投与」または「HCG製剤の筋肉注射」を行ないます。

これは、卵子が最後に成熟するためには、黄体化ホルモン(LH)の一過性の上昇(LHサージ)が必要なためで、この作用が人工的に発現するよう上記の薬剤が用いられます。

卵子と精子の受精は、採卵日と同日に行われますので、採卵日には採精も必要となります。

4)受精

受精方法には、卵子に適切な濃度の精子をふりかける「体外受精」と、ひとつの卵子にひとつの精子を注入する「顕微授精」があります。

一般的に卵子と精子の状態に問題がなければ、「体外受精」が選択されますが、治療歴や不妊検査の中で受精障害が疑われる場合や、健常な精子が少ない場合などでは「顕微授精」の適応となります。

5)胚培養

体外受精または顕微授精を行ない受精した受精卵(胚)は、インキュベーターと呼ばれる胚に適した環境の中で、数日間培養されます。

培養中に、胚は分割を繰り返しながら成長していきますが、その過程で良好な胚と不良な胚が選別されます。胚培養は、受精後2~3日後の「初期胚(分割期胚)」または5~6日後の「胚盤胞」まで行われます。

6)胚移植

胚移植には、採卵した周期の黄体期に移植を行なう「新鮮胚移植」と、採卵周期で得られた胚はいったん凍結し、次の周期以降に移植を行なう「凍結融解胚移植」があります。

いずれの場合も、子宮内膜の厚さや血中エストラジオール値などが、よい着床環境が出来上がっているかどうかの指標となります。

現在、日本産科婦人科学会の勧告により原則1個の胚移植が推奨されています。

特殊な胚移植方法として、胚盤胞を移植する2-3日前に、その胚盤胞を培養していた培養液を子宮内に注入しておく「シート法」や、同一周期に、初期胚と胚盤胞を2回に分けて移植する「2段階移植」があり、これらは反復不成功例で着床障害が疑われる方に検討される方法となります。

7)黄体ホルモンの補充

黄体ホルモンは、受精卵が子宮内に着床するために重要なホルモンです。
黄体ホルモン製剤には、内服、注射、膣錠があり、それぞれの特徴を生かした投与が行われます。
また、黄体ホルモンには着床率を高めるだけではなく、流産を防ぐ働きもあります。

8)妊娠判定

胚移植を終えてからおよそ10-14日後に尿検査や血液検査をして、妊娠すると分泌される「hCG(ヒト絨毛ゴナドトロピン)」の濃度を測定し、妊娠しているかどうかを判定します。

体外受精で妊娠する確率

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日本産科婦人科学会によると、2013年に行われた体外受精はおよそ36万8000件あまりで、10年前に比べると3倍にも増え、その後妊娠・出産にまで至り、生まれた子供の数はおよそ4万2000人あまりとなっています。

不妊治療において、タイミング法ではおよそ30%、人工授精ではおよそ5~10%の確率で妊娠すると言われています。その中でも、体外受精で妊娠する確率は、およそ20~40%と比較的高い確率です。しかし、体外受精によって妊娠する確率は年齢と共に減少していきます。これは女性の年齢が上がるにつれ、妊娠するために必要な卵子が衰えたり、受精卵が着床する子宮の状態が悪化してしまうためで、25歳頃の体外受精の成功率がおよそ40%であるのに対し、35歳で35%、38歳で30%、40歳で20%、45歳以上になると妊娠できる確率はおよそ5%と極めて低い確率になっています。

また、体外受精によって妊娠できる確率は、年齢の他にも不妊治療をスタートした年齢、治療をしている病院、体外受精の治療法、そして日頃の生活習慣によっても大きく変わってきます。

体外受精の費用相場

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不妊治療の中でも比較的妊娠する成功率が高いといわれている体外受精ですが、高度生殖医療なので保険が適用されず、自己負担となるため、体外受精に掛かる費用は決して安いものではありません。体外受精の費用については、自由診療なので病院によって金額が大きく違ってきます。また、治療内容、治療を受ける回数によっても異なります。

体外受精の費用は、排卵誘発から妊娠判定までおよそ30~80万円と、クリニックや治療内容によって変わります。いろいろな不妊治療体験談などから、100万円以上かかったという報告もあり、「採卵料金」、「胚培養料金」、「胚移植」の料金以外に、「排卵誘発にかかる薬剤や検査料金」や「胚凍結の料金」、「胚移植に関わる薬剤の料金」など、すべて合算した料金がだいたいいくら位になるかは、確認しておいた方がよいと思います。

体外受精で妊娠される方の中には、1回目で妊娠できる方もいらっしゃれば、何度か治療を繰り返してやっと妊娠できる方もいらっしゃいます。妊娠された方の体外受精治療に費やした費用の平均額は約140万というデータもあります。

体外受精の治療を始めたいと思ったら、まず総額でどのくらいの治療費がかかるのか、ある程度病院側と相談して事前に見積もりを出してもらうのもいいですね。そして、国と自治体が不妊治療に対して助成金が支給する「特定不妊治療費助成制度」や銀行の「不妊治療ローン」、医療費控除などを上手に利用して体外受精の治療を進めていくといいでしょう。

体外受精のリスクと副作用

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体外受精だからといって、赤ちゃんが何らかの障害や奇形を持って生まれるということはほとんどありません。しかし体外受精の治療を進める上で、赤ちゃんにもママにもいくつかのリスクや副作用の可能性があります。もし治療を始めてから、体調がおかしいと感じたら、すぐに病院に相談しましょう。

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)は、体外受精の治療の際、妊娠率を高めるために使用される排卵誘発剤によって引き起こされる合併症状のことです。

どのように排卵誘発を行なっても、いくらか卵巣は腫大しますが、それが過度に生じた場合、卵巣が大きく腫れて腹水が溜まり、重症例では胸水貯留、血液濃縮による血栓形成などのリスクが高まるため、状況によっては入院管理が必要になることもあります。

腹腔内出血、膀胱出血

採卵は超音波下で慎重に行われますが、癒着などがある場合に腸管や膀胱、あるいは内腸骨動静脈などが傷つくリスクがあります。場合によっては止血のために手術が必要なケースもあります。

骨盤内感染症

採卵時に穿刺部から細菌が骨盤内に感染するリスクがあるため、採卵前には必ず膣洗浄や消毒が行われます。これまでにチョコレート嚢腫(卵巣嚢腫)や卵管水腫がある方は、感染巣を形成するリスクが高いので、より注意が必要となります。

不妊遺伝子の遺伝

乏精子症や精子無力症、無精子症など、男性因子が原因で体外受精を行ない妊娠した際、生まれてきた子供が男児の場合、その遺伝形質が引き継がれる可能性があります。

まとめ

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かつて一部の病院でしか行われていなかった体外受精も、現在では、およそ560ヶ所の医療機関で受けることができるようになり、“27人に1人”が体外受精で生まれているといわれています。とはいえ、体外受精は経済的な負担もある上に、時間も掛かるため、治療をするかどうか躊躇するご夫婦も多いかもしれません。しかし、年齢と共に体外受精の成功率は低くなってしまうため、治療する期間は限られています。

体外受精の妊娠率を考えますと、不妊治療の最先端治療とはいえ、それが妊娠に対する特効薬のようなものではないということが分かります。
それでも、限られた時間の中で、体外受精まで試みるのかどうかはご夫婦で決めなければなりません。

治療のための通院や費用も、ご夫婦の生活に影響を与えるものですので、あらかじめ治療の概要を知った上で、「もし妊娠しなかった場合、どこまで治療を継続するのか」ということも、いくらか心に留めておくべきことかと思います。

体外受精という治療があっても、まず身体ありきですので、日頃から食事や生活習慣にも気をつけて、健康な身体を保つことが妊娠率の向上にもつながっていきます。
ご夫婦の日々の生活も大切にしながら、不妊治療に取り組んでいきましょう。

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