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2021年01月21日 12:33 更新

【医師取材】3つの発達障害の症状と、そのサインとは?

脳の発達に関わる特性である「発達障害」。その障害のタイプは複数あり、症状も様々です。今回は3つに分類された発達障害の症状と、障害に気づくサインをご紹介します。

発達障害とは

発達障害の症状がある子供のイメージ
Lazy dummy

※画像はイメージです

「脳の発達」に関連した先天的な特性

発達障害は、脳の発達に関連した先天的な特性によって周囲の人とのコミュニケーションにミスマッチが生じたり、社会生活に困難が生じている状態障害です。発達障害は現在、大きく次の3つに分類されています[※1]。

・自閉症スペクトラム障害(ASD) → 自閉症、アスペルガー症候群など
・注意欠如・多動性障害(ADHD)
・学習障害(LD)

日本での支援・取り組み

2005年4月、「発達障害者支援法」が施行されました[※2]。それまで、発達障害による症状は「やる気が足りない」「反抗的だ」など本人の気持ちの問題とされたり、親のしつけの問題などととらえられがちでした。しかし、発達障害者支援法は、発達障害を脳機能の障害と定義づけ、ライフステージに合わせたサポートが不可欠であると定めています。そして、学校のみならず、国や自治体、さらに私たち1人1人の理解と支援が責務であると述べています。

発達障害への理解は少しずつ広がり、しかるべき指導・サポート方法も用意されています。発達障害の子供を持つ家族は、専門家はもちろん担任の先生・スクールカウンセラーなどにも相談、支援を求めることができます。

すべての子供が生きやすく長所を伸ばせる社会をつくるために、子供を取り巻く数多くの人々の理解と連携が求められています。

3つの発達障害、それぞれの特徴

自閉症スペクトラム障害(ASD)

以前は、広汎性発達障害(PDD)という分類名で呼ばれていました。自閉症、アスペルガー症候群、そのほかの広汎性発達障害が含まれます。

自閉症スペクトラム障害は、社会的関係やコミュニケーションの形成が困難である障害です。こだわりの強さ(特定分野やものへの関心・興味が強い)、言葉の発達遅れなども特徴にあげることができます。100人に1~2人存在すると言われています。

注意欠如・多動性障害(ADHD)

ADHDは不注意(注意の欠如)、および、多動・衝動性を特徴とする行動の障害です。忘れ物が多い、ミスを繰り返す(不注意)、おしゃべりが止まらない、じっとしていられない(多動性)、約束を守れない、いらいらする(衝動性)などの症状・行動が現れ、学校生活などに困難が生じてしまいます。学童期の子供の3~7%にみられると報告されています。

学習障害(LD)

学習障害と聞くと、勉強全般が苦手といったイメージが浮かぶかもしれませんが、全般的な知的発達には問題がないのに、特定の事柄だけが困難である状態を学習障害と言います。おもに、読字障害(文字を読むのが苦手)、書字障害(文字を書くのが苦手)、算数障害(計算や推論が苦手)の3つに分類されます。2~10%ぐらいにみられると推定されています。

発達障害に気づくサイン

発達障害には、赤ちゃんの頃から症状が出て育児が思うようにいかずパパ・ママを悩ませるものもあれば、パパ・ママが気づかないまま子供自身が「自分はほかの子と違う」「生きにくい」などと感じるケースもあります。成長に伴って、また社会との関わりの変化に伴って、どんな場面で発達障害に気づくサインがあるかをまとめてみます。

自閉症スペクトラム障害(ASD)

子供は生後9ヶ月ごろから、人のマネをしたがるようになります。大人の動作や声をマネしたりするのは、周囲の人に興味を持っている証拠です。また1歳ごろになると「指さし」を始めます。手の届かない場所にあるものへの興味や欲求を大人に伝えるコミュニケーションです。

自閉症スペクトラム障害の子供は、1歳ごろに、人の目を見ることが少ない、指さしをしない、ほかの子供に関心を持たないという特徴を示し、これが最初のサインとなります。保育所・幼稚園などにはいるとでは集団行動が苦手だったり、お友だちとうまく関われないことも気づきのサインになります。

さらに思春期、青年期になってから、対人関係がうまくいかないこと、他人と違う自分に気づいて不安や悩みを抱え、自ら医療機関病院を受診する人もいます。

注意欠如・多動性障害(ADHD)

7歳までに、多動・衝動性、不注意のどちらか、または両方の症状が現れます。

集団生活での様々な決まり事に対応できず、授業中に席を離れる、しゃべりすぎる、順番を待てない、忘れ物が多い、勉強などでうっかりミスが多い、課題に集中し続けることができない、整理整頓が苦手などの症状がみられるようになります。

多動の症状は年齢とともに軽くなりますが、不注意、衝動性の症状は青年期まで、もしくは成人になっても続くと報告されています。

学習障害(LD)

学習全般ではなく、読む、書く、計算するなど、特定のことができないので、小学生になってすぐではなく、2~4年生になってからの成績不振がきっかけで障害が明らかになります。勉強をサボっているわけではないのに、みんなできることが自分はできないので、意欲や自信を失ってしまうことがあります。

まとめ

発達障害は、先天的に脳の発達が通常とは異なることによって現れます。様々なタイプがあり、症状や行動に個人差があります。それぞれの特性に合わせた治療や支援の方法がありますので、サインに気づいたら早めに専門医の診断を受けることが大切です。

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビ子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.07.30)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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