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【医師監修】排卵障害の主な原因・症状・検査方法は? 治療で治る?

【医師監修】排卵障害の主な原因・症状・検査方法は? 治療で治る?

排卵が正常に起こっていない「排卵障害」は、女性の不妊原因の約30%を占めると言われています。ここでは、排卵障害の原因やその症状、治療法などをご紹介します。


この記事の監修ドクター
産婦人科医 巷岡彩子先生
産婦人科専門医、医学博士。都内の大学病院やクリニックでの勤務を経て、現在、不妊治療専門の産婦人科クリニックにて勤務。 ママドクターとして育児や家事と仕事を両立しながら活躍中。 女医+(じょいぷらす)所属

不妊の原因にも!排卵障害とは

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女性の卵巣には、一生分の卵子が蓄えられており、毎月、そのうちのひとつだけが成熟し、卵巣から飛び出します。これを排卵と呼び、「排卵障害」は、この排卵が正常に行われていない状態のことを指します。

妊娠するためには、排卵された卵子と女性の体内に入った精子が、卵管の内で受精する必要があります。ですから排卵が起こらない限り、自然な妊娠は望めません。

排卵障害の原因

排卵が起きるメカニズム

排卵が起こるためには、まずホルモンの司令塔である脳の視床下部から、「ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)」が分泌されます。すると、このホルモンの刺激を受けた脳の下垂体から、卵胞の発育を促す「卵胞刺激ホルモン(FSH)」と、発育した卵胞に排卵を促す「黄体化ホルモン(LH)」が分泌され、このふたつのホルモンの働きかけによって、卵巣で排卵が起こるのです。

つまり、排卵が起きるためには、視床下部、下垂体、卵巣という3つの部位が連携して、ホルモンを分泌する必要があります。どこかの部位がうまく働かなくなりバランスが崩れると、排卵が障害されてしまうのです。

原因別で見る排卵障害の種類

排卵障害の種類を原因別に見ていきましょう。

視床下部性

視床下部からゴナドトロピン放出ホルモンが十分に分泌されないために生じる排卵障害で、排卵障害の中でもっとも多いといわれています。主に、過度なダイエットなどによる体重減少、過剰な運動、ストレス等が原因となって起こります。

下垂体性

下垂体から、卵胞刺激ホルモンや黄体化ホルモンが十分に分泌されないために生じる排卵障害です。「下垂体腫瘍」、出産に伴う大量出血によって起こる「シーハン症候群」などが原因になります。

卵巣性

卵巣に卵子が枯渇することによって生じる排卵障害で、通常よりも早く閉経が起こる「早発閉経」、染色体異常によって性腺機能不全になる「ターナー症候群」などが原因になります。

その他

●多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
卵子が入っている卵胞は、通常であれば、ひと月にひとつだけ成熟し、成熟した内部の卵子が卵巣の外皮を破って外に飛び出します(排卵)。しかし「多嚢胞性卵巣症候群」では、途中までしか成長していない未成熟な卵胞が排卵されずに卵巣内にたくさん溜まってしまうのです。

●高プロラクチン血症
「プロラクチン」は、乳腺を刺激して母乳の分泌を促す作用を持つホルモンで、通常は妊娠中や授乳中に多く分泌されます。このプロラクチンが、過剰に分泌されるようになるのが「高プロラクチン血症」です。プロラクチンには、排卵を抑制する作用があるため、高プロラクチン血症では、排卵障害が起こります。

●甲状腺ホルモンの分泌低下
「甲状腺ホルモン」は、のどにある甲状腺から分泌されるホルモンで、全身の新陳代謝を活性化する作用があります。この甲状腺ホルモンの分泌が低下すると、だるさを感じたり、肌がカサついたり、熱を生み出しにくくなって寒さを感じたりするようになりますが、排卵障害になることもあります。

排卵障害の症状

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排卵があるかどうかは、どうやって判断すればいいの?

「生理がきているから、私は排卵もきちんと行われているはず」と考える人もいるかもしれません。しかし、生理があっても排卵していない「無排卵月経」ということもありますので、生理の有無だけでは排卵があるかどうかはわかりません。では、排卵が正常に行われているかどうか、どうやって判断すれば良いのでしょうか?それは「基礎体温をはかる」ことです。

排卵のある人の基礎体温は、生理開始から排卵までの「低温期」(約2週間)、排卵から次の生理までの「高温期」(約2週間)というように、はっきり2相に分かれます。しかし、排卵がない人の場合は、低温期がずっと続いてしまうのです。

排卵障害の症状とは

正常な生理は、月経周期(生理が始まった日から、次の生理が始まる前日までの期間)が25〜38日、1回の生理の日数は3〜7日とされています。しかし、排卵障害では次のような「月経不順」の症状が現れるようになります。

稀発月経…月経周期が長く、39日以上あいだが開く。

頻発月経:月経周期が短く、24日以内に次の生理が始まる。

過長月経…生理が8日以上ダラダラ続く。

過短月経…生理が1〜2日で終わってしまう。

また、排卵障害では、生理が3ヶ月以上こない「無月経」となることもあります。

排卵障害の検査とは

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気になったら早めの受診を

排卵障害を放置していると、不妊の原因になるだけでなく、卵巣からのホルモン分泌の低下により、イライラ、肩こり、のぼせなどの更年期に似た症状が出たり、骨粗しょう症になりやすくなったりします。基礎体温表で低温期、高温期がないひとは、なるべく早めに婦人科を受診しましょう。また、基礎体温表のデータは、婦人科で診断する際にも参考になりますので、受診の際は忘れずに持参しましょう。

排卵障害の検査方法とは

排卵障害の検査には、以下のものがあります。

ホルモン検査

採血をして、血液中に含まれるホルモンの値を調べる検査です。下垂体から分泌される黄体化ホルモン(FSH)と卵胞刺激ホルモン(LH)のほか、プロラクチンや甲状腺ホルモン、卵巣から分泌されるエストラジオール(E2)などの値も調べます。

卵巣の超音波検査

プローブという超音波受発信機器を膣内、もしくはお腹の上から当て、卵巣の状態を画像で確認する検査です。特に「多嚢胞性卵巣症候群」の診断に役立ちます。

子宮頚管粘液検査

「子宮頚管粘液」は、子宮の入り口部分から分泌される粘液で、排卵が近づくと分泌量が増えるとともに、糸を引く(よく伸びる)性状になり精子の通過を助けます。また、この頸管粘液を乾燥させて顕微鏡で見ると、シダ状の結晶が確認できます。

子宮頚管粘液検査は、子宮頚管粘液を採取して、性状をチェックしたり、顕微鏡で確認したりする検査です。排卵があるはずの時期に検査をします。

排卵障害とは治る病気なの!?

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ホルモンバランスを整える

排卵障害を改善するには、ホルモンバランスを整えることが大切です。そのためには、「十分な睡眠をとる」「起床時刻をできるだけ毎日同じにする」「栄養バランスのよい食事をとる」「日中に適度な運動をする」などを心がけ、生活リズムを整えるようにしましょう。

また、過度なストレスも、ホルモンバランス崩す原因になります。リラックスできる時間をつくったり、気分転換できる方法を見つけたりするなどして、ストレスを溜め込まないように出来ると良いですね。さらに、過度なダイエットによる痩せ過ぎや肥満も排卵障害のリスクを高めます。体重は標準体重を維持するようにしましょう。

排卵障害の治療法

排卵障害の治療法は、原因によって異なります。原因別の治療法を見ていきましょう。

視床下部性、下垂体性の治療

まずは、「クロミフェン」や「シクロフェニール」など、飲み薬の排卵誘発剤を使います。これらの薬は、脳に作用して下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモンの量を増やし、排卵を促します。飲み薬で効果がなかった場合は、「HMG製剤」や「FSH・HCG製剤」など、卵巣を直接刺激して排卵を促す注射薬の排卵誘発剤を使います。

多嚢胞性卵巣症候群の治療

まずは視床下部性の排卵障害同様に、飲み薬の排卵誘発剤を使用し、それでも効果がなければ注射薬の排卵誘発剤を使います。また耐糖能異常のある場合には、メトホルミンという糖尿病の治療薬を併用したりします。それでもない場合は、電気メスを使って卵巣の表面に小さな穴をたくさん開ける腹腔鏡手術をすることがあります。

高プロラクチン血症の治療

高プロラクチン血症は、下垂体の腫瘍、薬(抗うつ剤や胃潰瘍の薬)の副作用などが原因で起こるので、まずは原因を探り、それに合った治療を行います。

下垂体の腫瘍が原因の場合は、腫瘍が小さければ、プロラクチンの分泌を抑える薬を投与します。腫瘍が大きく視野障害などの症状もある場合などは、手術で腫瘍を摘出することもあります。薬の副作用の場合は、原因となる薬の服用をやめれば高プロラクチン血症は改善されます。

甲状腺ホルモンの分泌が低下している場合の治療

甲状腺ホルモン機能が低下している場合は、甲状腺ホルモンの投与を行います。

まとめ

「生理の周期や日数がおかしい」という人や、「それまであった生理がなかなか来ない」という人は、基礎体温表をつけて、排卵が行われているかどうかを確認しましょう。排卵障害の疑いがある場合は、早めに病院を受診してくださいね。

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