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【医師監修】妊婦の鉄分補給に役立つ6つの栄養素とは?

【医師監修】妊婦の鉄分補給に役立つ6つの栄養素とは?

妊娠すると、どんどん変わっていく自分の身体。大きくなっていくお腹を眺める幸福感と反対に、変わっていく身体へ不安や戸惑を感じますよね。今回ご紹介する「貧血」もそのひとつ。女性にとっては慣れた悩みのように思えますが、妊娠するとその症状はより悪化してしまいます。たかが貧血……と侮らずに、しっかり対策をしていきましょう!


この記事の監修ドクター
東邦大学医療センター大橋病院 婦人科 高橋怜奈先生
女医プラス所属。東邦大学医療センター大橋病院・婦人科在籍。趣味はベリーダンス、ボクシング、バックパッカーの旅。2016年6月にボクシングのプロテストに合格をし、世界初の女医ボクサーとして活躍中。ダイエットや食事療法、運動療法のアドバイスも行う

妊婦は貧血になりやすい?

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人間の血液は、様々な栄養素をからだ中に運ぶ役割をします。「貧血」とは、簡単にいうと血液が薄く、水っぽくなってしまうということによって、身体に必要な栄養素を、必要な分だけ運ぶことができなくなってしまう症状です。
妊娠をすると、お腹の赤ちゃんに栄養を運ぶために自然と血液の量が増えますが、液体成分である血しょうは増えても、赤血球などの固体成分は増加が追い付かずに、血液が薄くなってしまい貧血気味になってしまうのです。妊婦は貧血になりやすいと言われています。

妊婦の体に鉄分が必要な理由

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どうして「鉄」が必要なの? 

貧血の診断基準において、重要な役割を示すのが「ヘモグロビン」です。ヘモグロビンとは、血液中にある赤血球の赤色色素成分であり、ヘモグロビンが少ないほど血液が薄いということになります。
【貧血の診断基準】
妊娠中の女性………ヘモグロビン濃度11g/dl未満 ヘマトクリット値……33%未満
非妊娠時の女性……ヘモグロビン濃度12g/dl未満 ヘマトクリット値……35%未満
男性…………………ヘモグロビン濃度13g/dl未満 ヘマトクリット値……40%未満
※ヘモグロビン濃度とは、血液1dl中に占める赤血球の色素成分であるヘモグロビンの重さ
※ヘマトクリット値とは、血液中の赤血球の容積の割合です。

その「ヘモグロビン」の原料であるのが「鉄」なのです。鉄分をしっかりと摂取することで血液が濃くなり、貧血の改善につながります。

症状を放っておくと…

【赤ちゃんは……? 】
お腹の赤ちゃんの生命力はたくましく、ママが貧血気味であっても、お腹の赤ちゃんが栄養不足に陥るということはめったにありません。それでも、貧血が重症化してしまうと、早産や低出生体重児になる可能性があります。

【ママは……? 】
ヘモグロビンは酸素と結びつく性質があるので、血液に乗っかって身体のすみずみまで酸素を届ける役割もあります。なので、ヘモグロビンが不足してしまうと酸素不足になり動機や息切れを起こすことがあります。
また、血液はお産の際にも重要な役割を果たします。お産に伴う出血で、500mlを超えるような大出血があった場合に貧血の人はショック症状を起こす可能性が出てきてしまうのです。

鉄分の種類

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鉄分」、実は「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」という2種類に分かれているということをご存知でしたか? 肉や魚など動物性食品に含まれるものを「ヘム鉄」。ひじきやホウレン草など植物性食品に含まれるものを「非ヘム鉄」といいます。同じ「鉄分」ですが、体内に取り込む吸収率は「ヘム鉄」の方が高いです! では、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の違いについてご紹介します。

ヘム鉄

ヘム鉄は、肉や魚などの動物性食品に多く含まれています。ヘム鉄はタンパク質につつまれており、食物繊維やタンニンなどの吸収阻害を受けずに、鉄分の吸収を行う小腸で比較的すんなり吸収されます。
100gあたりに含まれる鉄分の含有量もそうですが、吸収率が非ヘム鉄よりも高いため、鉄欠乏による貧血に効果的といわれています。

【ヘム鉄吸収率ベスト3食材】
①牛肉
②牛レバー
③いわし

非ヘム鉄

非ヘム鉄は、ひじきやホウレン草などの植物性食品に多く含まれています。私たち日本人が鉄欠乏の際に摂取する食材として良く食べられてきたのは、植物性がほとんどかと思いますが、実は非ヘム鉄は鉄分の含有量は高くても、吸収率がとても低いのです。また、吸収されるときに活性酵素を出して粘膜を攻撃し、一緒に食べたものの阻害を受けやすいのも特徴です。食べる際は、食べ合わせに気を付けて摂取した方が良いでしょう。

【非ヘム鉄吸収率ベスト3食材】
①大豆
➁小麦
➂ホウレン草

こんな食べ合わせに気を付けて! 

鉄分を摂取するとき、肉など動物性蛋白質や、野菜、果物といったビタミン豊富なものを一緒に食べると効果的です。

しかし、コーヒー、紅茶、緑茶などに含まれる「タンニン」は非ヘム鉄の吸収を妨げるといわれています。お茶碗やコップ1杯程度に含まれるくらいなら問題ありませんが、念のために食前、食後30分は間隔を空けてから飲むと良いでしょう。ただし貧血で鉄が減少している状態では、少量の鉄であっても吸収効率がいいため、通常飲用する程度のお茶で治療効果が落ちるとは考えられていません。また、玄米などの穀物の外皮や、食物繊維に含まれるフィチン酸も非ヘム鉄の吸収を阻害してしまいます。逆に、ヘム鉄は阻害を受けにくいのです。

貧血予防に効果的な栄養素とは?

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妊娠中は血液量が増えるため、原料である鉄分が不足し貧血になりやすくなってしまいます。そのため、妊婦さんは通常の約2倍もの鉄分が必要とされています。最近では、妊娠前から貧血気味の妊婦さんが多く、妊娠によりさらに悪化することも多いです。

貧血予防には鉄分だけを摂るのではなく、吸収率やその働きを促す効果のある食材と併せて食べることをおススメします。では、どんな栄養素が貧血予防に効果的なのでしょうか?

赤血球の色素成分であるヘモグロビンの原料になります。貧血改善には不可欠な成分です。
鉄の食事摂取基準2015年度版によると、18歳~29歳の女性の鉄摂取推奨量は6.0㎎/日。30歳~49歳の女性の場合は6.5㎎/日だそうです。また、それに加えて妊娠初期は+2.5㎎/日、妊娠中期は15.0㎎/日の鉄分量をプラスしなくてはなりません。つまり、いつもより意識して摂取しなくてはいけないのです。

【鉄を多く含む食品】
レバーや赤身の肉、魚
牡蠣、あさりなどの貝類
ホウレン草、小松菜、ひじき

タンパク質

貧血予防のためには、タンパク質をしっかりと摂ることも大切です。特に赤身の肉や魚には、タンパク質と鉄分が同時に摂れます。肉類に含まれる動物性タンパク質は、非ヘム鉄の吸収を高めてくれるのです。赤い色は鉄分の色なので、積極的に赤身の食材を食べるようにしましょう。また、酸素を運ぶ役割を担うヘモグロビンは、鉄とタンパク質が結合されてできているので、鉄とタンパク質は相乗効果が高いといわれています。

【タンパク質を多く含む食品】
肉、魚、卵などの動物性食品
大豆、豆腐、納豆などの大豆製品
ヨーグルト

ビタミンC

体内で鉄分の吸収力を高めるために絶大な力を発揮するのは、ビタミンCです。特に非ヘム鉄の吸収力をアップさせてくれます。もちろん、ヘム鉄にも効果的なので、肉や魚の付け合わせとしてビタミンCを含む野菜と一緒に食べると良いでしょう。しかし、ビタミンCは水溶性で長時間の過熱によりその成分が壊れてしまうのが難点です。調理の際は、長時間水につけたりせずに、短時間過熱などの工夫をしましょう。

【ビタミンCを多く含む食品】
イチゴやオレンジなどの果物
ホウレン草や小松菜、ブロッコリーなどの野菜

ビタミンB₆

ヘモグロビンは鉄とタンパク質からできており、そのタンパク質の合成を助けるのに欠かせないのがビタミンB₆です。また、ヘモグロビンの生成にも必要となります。鉄とタンパク質、ビタミンB₆のどれかが欠けてもヘモグロビンは生成されなくなってしまうので、貧血予防に欠かせない栄養素のひとつなのです。貧血改善たけではなく、人間の身体にとってビタミンB₆の不足は、生命活動の維持が難しくなってしまうほどです。

【ビタミンB₆を多く含む食品】
マグロやサンマ、イワシなどの魚類
鶏肉、豆類、卵、乳製品、にんにく

ビタミンB12

ビタミンB12が不足してしまうことによって、通常よりも大きい赤血球ができてしまいます。そうすると、外から酸素を取り入れ、体内の二酸化炭素を排出するという赤血球の働きが滞ってしまい、貧血のような症状が起こるのです。これを「巨赤芽球性貧血(悪性貧血)」と呼びます。なかなか改善されにくい鉄分不足の貧血に比べ、比較的治療しやすいのも特徴です。

【ビタミンB12が多く含まれる食品】
レバー、あさり、さば、卵、乳製品

葉酸

葉酸も、上記で述べたビタミンB12と同じく、不足してしまうことにより通常より大きい赤血球ができてしまい、通常の赤血球の役割ができないことにより貧血と同じ症状がでてしまいます。
葉酸は大きく分けて「ポリグルタミン酸型葉酸」という食品中に含まれる「天然葉酸」と、「モノグルタミン酸型葉酸」といういわゆる人工で作られた「人工葉酸」の2種類があります。葉酸レシピなどの食品中で摂りきれない分は、積極的に葉酸サプリメントなどでモノグルタミン酸型葉酸を摂っていきましょう。貧血改善だけではなく、特に妊娠前、妊娠初期の葉酸不足はお腹の赤ちゃんの発育にも影響を及ぼしますので、しっかりと摂取することをおススメします。

【葉酸が多く含まれる食品】
ホウレン草やモロヘイヤ、ブロッコリーなどの緑野菜
レバーや大豆などのタンパク質

いろいろ試したけど改善されない時は…

貧血の改善が必要な場合、主治医から鉄剤の処方をうけると思います。鉄分の吸収によいいろいろな食材や食べ合わせと、鉄剤の内服をくみあわせ、出産に備えましょう。重症の場合は、より確実に吸収されるように鉄剤の静脈注射を行う場合もあります。内服薬の場合は、薬といっても即効性があるわけではなく少しずつ鉄を吸収するため改善までには時間を要します。すぐに効果が出ないからといって止めてしまわないで、根気よく服用を続けましょう。もちろん、食事での摂取も忘れずに続けましょう。

まとめ

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いかがでしたか? 「貧血」は女性にとって悩ましい症状ですよね。ましてや、妊婦ともなると体質や好みまで変わってきて、今まで好んでいたものが急に受け付けなくなった…なんて良くある話。そんな中で、貧血予防のために食事に気を付けなくてはならないなんて大変だと思います。しかし、食事は貧血予防のためだけではありません。妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などほかの疾患の予防も食習慣を整えることが大切になってきます。こうした疾患は、全ての妊婦さん誰しもが予備軍です。自分は大丈夫! と侮らずに、日々の生活の中でできることから少しずつ取り入れてみたらいかがでしょうか? 

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