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【医師監修】痛くて辛い乳腺炎。症状別の対処法と授乳の仕方

【医師監修】痛くて辛い乳腺炎。症状別の対処法と授乳の仕方

授乳中のママが多くなるといわれる乳腺炎。今回は、乳腺炎の症状や原因を詳しくお伝えし、症状や状態に合わせた対処法や改善法をご紹介します。


この記事の監修ドクター
森美樹 先生
専門医鳥取大学医学部卒業、がん研有明病院乳腺外科、聖路加国際病院乳腺外科、昭和大学乳腺外科、米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校を経て、2016年より自由が丘みきブレストクリニック院長就任。日本乳癌学会 乳腺専門医・指導医、日本外科学会
http://miki-breast.com/

乳腺炎の症状、原因は?

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乳腺炎の症状

おっぱいの中で母乳を運ぶ管状の器官を乳腺と言います。乳腺炎とは、この乳腺に炎症が起きる症状を指します。乳腺炎は決して珍しいものではなく、授乳中のママのおよそ2~10%前後が乳腺炎になるともいわれています。以下、乳腺炎の代表的な症状を紹介します。

・乳房や胸の辺りが痛む
・乳房に、発熱、赤身、しこりなどの症状が出る
・乳房が張り、硬くなる
・母乳の色が黄色っぽくなる
・頭痛や発熱、関節の痛みや寒気など、風邪のひきはじめのような症状が出る

乳腺炎の原因

乳腺炎にはふたつの種類があります。母乳が乳腺にたまって炎症を起こす急性うっ帯性乳腺炎と、それに細菌感染が伴う急性化膿性乳腺炎です。

■急性うっ滞性乳腺炎
急性うっ滞性乳腺炎(急性停滞性乳腺炎)とは、母乳が乳房に溜まることが原因で、乳腺に炎症が起きている状態を指します。赤ちゃんが飲む量に対して、母乳分泌量が大幅に上回ることで母乳が溜まり、乳腺炎のきっかけとなるケースが多いです。その原因としては、以下のようなことが考えられます。

・乳管が十分に開いていない
乳管が十分に開いていないことで、母乳が出にくくなっている状態です。初めて妊娠出産を経験したママに多いと考えられます。

・赤ちゃんの母乳の飲み方に問題がある
赤ちゃんの母乳を飲む量が少ない、あるいは母乳を飲む力が弱いなどが考えられます。このほか、母乳の飲み方に偏りがあり、アンバランスな場合などにも、母乳が溜まってしまうケースがあります。

授乳の間隔が一定でない
授乳の間隔が乱れることで、母乳のつくられる量と赤ちゃんが飲む量とのバランスが崩れてしまうケースがあります。

・何らかの原因でおっぱいが圧迫されている
サイズの合わないブラジャーや、負担のかかる姿勢をとり続けるなどで、おっぱいが圧迫されると乳腺炎を引き起こすことがあります。

■急性化膿性乳腺炎
急性うっ滞性乳腺炎の状態が半日から1日以上続くと、うっ滞した乳汁が化膿して高い熱が出たり、筋肉痛や悪寒などのインフルエンザに似た症状がおこります。黄色ブドウ球菌や連鎖球菌などの細菌感染が原因で乳腺に炎症が起きます。急性うっ滞乳腺炎を発症したら、その段階できちんと治療やケアを行い、完治させておくことが重要となります。

乳腺炎の対処法

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まずはしっかり赤ちゃんに飲んでもらう

乳腺炎になってしまうと、痛くて母乳をあげるのもつらくなります。だからといって母乳をあげずミルクに切り替えてしまうと母乳が溜まってしまい、痛みの増大や症状の悪化へつながる可能性があります。しっかり赤ちゃんに飲んでもらい、おっぱいを空にすることが重要です。

また、乳腺炎に伴う痛みはママの生活の質を下げる原因となってしまいます。市販の解熱鎮痛剤などを飲んで様子を見ることもできますが、それでもよくならないときには受診して、適切な治療を行うことが望ましいでしょう。保険も適用されますので、費用も自費よりも抑えられます。

熱や痛みに対する薬の服用について

乳腺炎に伴う熱や痛みは、薬で軽減することができます。しかし「授乳中だけど薬を飲んでも大丈夫?」と心配になりますよね。薬の中には、授乳を継続しながら服用できるものもあります。病院で薬を処方してもらう際には「現在授乳中であること」「授乳を中断したくないこと」を伝えてください。以下、授乳中でも服用可能な薬をご紹介します。

■経口用セフェム系抗生剤
フロモックス、メイアクト、セフゾンなどの名称の抗生物質です。処方箋が要るので、病院で出してもらってください。

■イブプロフェン
非ステロイド性消炎鎮痛剤のひとつで、市販もされています。副作用も比較的少ないとされます。

■アセトアミノフェン
小さな子どもでも安心とされる解熱鎮痛剤です。市販薬にも配合されています。


以上の薬の一部は市販もされており、コンビニエンスストアやドラッグストアで購入できます。しかし、適切な診察に基づいて処方されることが望ましいので、やはり一度病院を受診し、診察してもらったうえで薬を処方してもらうのがおすすめです。

正しいマッサージで緩和

母乳の出が悪い時は、授乳前にマッサージをすることも効果的です。バストを持ち上げるようにしたり、脇から乳頭にかけてさすったり、乳輪や乳首を圧迫することで乳管の開通に効果が期待できます。セルフマッサージでも良いですが、可能であれば熟練の助産師さんに正しいマッサージ方法を教えてもらってください。助産師さんによる乳房マッサージで母乳の出が改善したというママもいます。

食事の改善と授乳法

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ヘルシーな食事を心掛けよう

食事の内容と乳腺炎の関係にははっきりとしたデータがあるわけではありません。しかし、栄養過多になると、母乳の過剰生産につながる可能性もあるため、カロリー摂り過ぎに注意し、出来る限りヘルシーな食事を心がけると良いでしょう。ママの摂取カロリーは、妊娠期間を経るにつれ増えて行き、産後の授乳時期には非妊娠時よりも「350kcal」多く摂取することが推奨されています。(*)これを目安に、カロリー摂取量を意識してみましょう。肉食中心の欧米の食事は、どうしても高カロリー・高脂質になりがちですので、この点では和食の方が優れていると言えます。

また、タンポポを使った飲み物(タンポポ茶やタンポポコーヒー)には、母乳の出を良くする効果があるともいわれています。ノンカフェインで、赤ちゃんにも安心ですから、試してみると良いでしょう。


(*「日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要」厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf

授乳法を改善してみよう

適切な授乳法は、乳腺炎の予防だけでなく、赤ちゃんやママの負担軽減にもつながります。ここでは、正しい授乳間隔や授乳の際の赤ちゃんの抱き方、おっぱいの飲ませ方などを確認していきましょう。

■正しい授乳間隔
新生児の場合には、2〜3時間おきに母乳を飲ませましょう。1回の授乳時間は、長くても左右それぞれ10分程度でOKです。1度に長時間の授乳は、赤ちゃんにとってもママにとっても負担となってしまいます。授乳の回数としては、1日に何度飲ませても大丈夫。授乳間隔にムラがあってもそこまで心配する必要はありません。

生後3〜4ヶ月目くらいになると、3~4時間の授乳間隔になってくるでしょう。満腹の感覚が分かり、飲む量が調整できるようになるため、母乳を飲む量が減るケースもあります。ただし、体重増加が順調ではない場合には、母乳が足りていない可能性も考えられます。この場合は、早めに医師に相談しましょう。

■授乳時の赤ちゃんの抱き方
一般的な赤ちゃんの抱き方は「横抱き」ですが、抱き方を変えることで、乳房の様々な領域の母乳を空にすることが期待できます。また、乳腺の通りを良くするうえでも日に数回程度は、抱き方を替えて授乳してみると良いでしょう。例えば縦抱きや、ボールを抱きかかえるような抱き方があります。

■おっぱいの飲ませ方
左右の乳房をまんべんなく与えることを意識しましょう。また、乳腺は乳首を中心に、放射状に広がっているため、赤ちゃんの抱き方を工夫して「一部の乳腺だけに常に母乳を残したまま」にならないように注意しましょう。ふたつの乳房で母乳の出方が異なる場合は、母乳の出方の特徴をつかんでおき、母乳の出にくい乳房から飲ませるのも効果的です。赤ちゃんはお腹が減っているので、多少母乳が出にくくてもしっかり飲もうとしてくれます。これも、バランスよく母乳を飲ませるためのテクニックといえます。

まとめ

乳腺炎は、普段の食事や授乳方法を見直すことで、予防することも期待できます。ちょっと意識するだけでできるセルフケアも多いので、ぜひ実践してみましょう。なお、おっぱいに痛みが生じ、乳腺炎が疑われる場合には、まずしっかり赤ちゃんに飲んでもらい、症状が改善しないときには我慢せずに早めに受診しましょう。

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