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2021年01月09日 17:15 更新

【医師監修】インフルエンザなど感染症の子供は、いつから登園できる?

小さい子供を持つママにとって日課ともいえる子供の保育園・幼稚園通い。しかし、特定の病気の診断をされた場合には登園を控えなければなりませんし、体調次第では登園させるかどうかをママが判断しなければならないことがあります。そこで今回は、さまざまな感染症の登園基準についてご紹介します。

症状別に見る登園の基準

インフルエンザで登園できずに熱を計る子供
Lazy dummy

※画像はイメージです

まずは子供の様子を見て、保育園・幼稚園に行かせようか判断に迷ったときに参考にしておきたい基準をケース別にご紹介します[*1]。

発熱しているときの登園基準

次のようなケースでは登園が可能です。
・前日に38℃を超える発熱がなかった
・熱が37.5℃以下で、元気があり機嫌がよく顔色もよい
・食事や水分が摂れている
・発熱をともなう発疹が出ていない
・排尿の回数が減っていない
・深刻な咳や鼻水の症状がない
・24時間以内に解熱剤を使っていない
・夜が眠れている

一方で、次のようなときは登園を控えましょう。
・朝から37.5℃を超えた熱が出ているとともに、元気がなく機嫌が悪い
・食欲がなく朝食・水分が摂れていない
・24時間以内に38℃以上の発熱があった
・24時間以内に解熱剤を使用している
・1歳以下の場合は、上記に加えて平熱より1℃以上高いとき(38℃以上の発熱があるとき)

※発熱はあくまでも目安であり、それぞれの子供の平熱に応じて個別判断が必要

咳があるときの登園基準

次のようなケースでは登園が可能です。
・連続した咳がない
・喘鳴(呼吸のときにゼイゼイ、ヒューヒュー音がする)や呼吸困難がない
・呼吸が速くない
・37.5℃以上の発熱をともなっていない
・機嫌がよく、元気がある
・朝食や水分が摂れている

一方で、次のようなときは登園を控えましょう。
・咳のために夜間にしばしば起きてしまう
・喘鳴や呼吸困難がある
・呼吸が速い
・37.5℃以上の発熱をともなっている
・元気がなく機嫌が悪い
・食欲がなく朝食・水分が摂れない
・少し動いただけで咳が出る

下痢をしているときの登園基準

次のようなケースでは登園が可能です。
・24時間以内に2回以上の水様便がない
・ご飯や水分を摂っても下痢にならない。血便がない
・排尿がある
・発熱がない
・感染のおそれがないと診断された

一方で、次のようなときは登園を控えましょう。
・24時間以内に2回以上の水様便がある
・ご飯や水分を摂ると下痢を起こす
・下痢にともなって、いつもよりも体温が高い
・機嫌が悪く、元気がない
・顔色が悪くぐったりしている

嘔吐があるときの登園基準

次のようなケースでは登園が可能です。
・24時間以内に2回以上の嘔吐がない
・水分が摂れて食欲もある
・機嫌がよく元気がある
・顔色がいい
・発熱がみられない
・感染のおそれがないと診断された

一方で、次のようなときは登園を控えましょう。
・24時間以内に2回以上の嘔吐がある
・食欲がなく、水分も欲しがらない
・嘔吐にともなって、いつもより体温が高い
・機嫌が悪く、元気がない
・顔色が悪く、ぐったりしている

発疹があるときの登園基準

次のようなケースでは登園が可能です。
・受診した結果、感染のおそれがないと診断された

一方で、次のようなときは登園を控えましょう。
・発熱をともなっている
・口内炎によってご飯や水分が摂れない
・今までになかった発疹が出て感染症の疑いがあり、医師から登園を控えるよう指示された
とびひと診断され、じくじくしていて他の子に感染するおそれがある

インフルエンザの登園基準

インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって発症する呼吸器の病気で、12月~3月頃までの間に毎年流行します。保育園での主な感染経路は、患者のくしゃみや咳で飛び散ったしぶきに含まれるウイルスを吸い込むことによる飛沫感染です。次は、子供がインフルエンザと診断された場合の登園基準についてご説明します。

インフルエンザの基本的な症状

インフルエンザは、鼻水やのどの痛み、くしゃみなどの症状が中心である風邪と違って、高熱や頭痛、関節痛、筋肉痛などの全身症状が比較的に急速に強く現れるのが特徴です。

感染した場合、1~3日の潜伏期間を経て突然発症します。発症すると、次のような症状が見られることがあります。

・38度以上の発熱
・全身がだるい
・関節痛、筋肉痛、頭痛
・のどの痛み、咳、鼻水

その他に、嘔吐や下痢などの症状も現れることがあります。

症状は、通常1週間ほどで落ち着きますが、場合によっては2週間近く長引くこともあります。また、熱性けいれんや中耳炎、気管支喘息、急性脳症、急性肺炎といった合併症が起こる可能性も考えられるので、注意が必要です。

インフルエンザの登園基準

インフルエンザにかかると、発症前日から発症後3~7日目くらいまでは、鼻やのどからウイルスが排出されて、周囲の人に感染するリスクがあります。また熱が下がれば排出されるウイルスの量が減るものの、解熱後もウイルスの排出は続くと考えられています。このため、登園を再開するには、次の条件をクリアしなければなりません。

・発症後5日が経過していること
・解熱後2日(乳幼児の場合は3日)が経過していること


「発症」というのは、「発熱の症状が現れたこと」を指します。また、日数を数える際には、発症した日、解熱した日からではなく、その翌日を「第1日目」としてカウントします。つまり、解熱後3日のケースでは、月曜日に解熱した場合、翌日の火曜日を1日目、水曜日を2日目、木曜日を3日目と数えるので、登園が可能になるのは4日目の金曜日からということです。

手足口病の登園基準

手足口病は、主に子供がかかるウイルス性の感染症で、口内や手足など、身体のさまざまな部位に水疱性発疹ができるのが特徴です。次は、この手足口病に感染した際の登園基準についてご説明します。

手足口病の基本的な症状

手足口病は、3~6日の潜伏期間を経て、手のひらや足の裏、口の中に2~3mmの水疱性発疹が現れます。口の中にできた水疱性発疹が破れると、ただれて潰瘍になるので、痛みで食事がとれなくなることがあります。また、軽い発熱をともなうこともあります。

通常は、数日で症状が治まりますが、幼児の場合は、稀に髄膜炎や脳炎などといった合併症を引き起こす可能性があるため、注意が必要となります。

手足口病の登園基準

解熱後1日以上経ち発熱がなくなり、口の中の水疱や潰瘍が治まって、ふだんの食事ができるようなったら登園の目安といえます。

おたふく風邪の登園基準

おたふく風邪(流行性耳下腺炎)は、ムンプスウイルスによって起こる感染症で、飛沫感染と接触感染によってうつる病気です。耳下腺が腫れる1~2日前でも人に感染するので、知らないうちに感染していたり、感染させてしまったりすることがあります。次は、おたふく風邪にかかった場合の登園基準についてご説明します。

おたふく風邪の基本的な症状

ムンプスウイルスに感染すると、まずは2~3週間の潜伏期間があります。発症後には、耳下腺が腫れるため、両方またはどちらかの耳の下の部分が腫れて痛みます。腫れは、外から見てもわかります。片方だけ腫れている場合も、しばらくすると反対側も腫れてくることがあります。それに加えて、発熱、食欲低下、倦怠感、頭痛、筋肉痛、額下腺や舌下腺の腫れといった症状も見られることがあります。

耳下腺の腫れについては一般的に発症してから3日目頃がピークで、それ以降は6~10日ほどかけて消えていきます。

おたふく風邪にかかると、難聴や無菌性髄膜炎、髄膜脳炎などといった合併症をともなう可能性があります。

おたふく風邪の登園基準

おたふく風邪にかかると、耳下腺、顎下腺、舌下腺の腫脹が現れてから5日を経過するまで、かつ全身状態が良好になるまでは登園を控えます。

ウイルス性胃腸炎の登園基準

ウイルス性胃腸炎の原因ウイルスには、ロタウイルス、ノロウイルス、腸管アデノウイルスなどがあります。感染経路は、感染者の吐瀉物や便が付着した手を介した接触感染、吐瀉物で飛び散った飛沫(しぶき)に含まれるウイルスを吸い込んでしまうことによる飛沫感染、ウイルスに汚染された食品を食べることによる経口感染などがあり、集団感染が起こることもあるので注意が必要です。次は、ウイルス性胃腸炎の登園基準についてご紹介します。

ウイルス性胃腸炎の基本的な症状

感染するウイルスによっても異なり、ロタウイルスは1~3日ほど、ノロウイルスは12~48時間後の潜伏期間を経て、発熱や下痢、嘔吐、腹痛などの症状が見られます。

ウイルス性胃腸炎の登園基準

嘔吐、下痢などの症状が治まったあと、普段の食事がとれるようになれば登園できます。解熱して24時間経過することも必要です。

RSウイルス感染症の登園基準

RSウイルス感染症とは、RSウイルスによる呼吸器系の感染症で、毎年11~1月頃にかけて流行していましたが、近年では夏から流行する傾向があります。次は、このRSウイルス感染症にかかった際の登園基準についてご説明します。

RSウイルス感染症の基本的な症状

RSウイルスに感染すると、2~8日の潜伏期間を経て、鼻水や咳、発熱などといった風邪の症状が出てきます。症状は7~12日ほどで治ることがほとんどですが、重症化すると、咳がひどくなったり、喘鳴が出たり、呼吸困難に陥ったり、場合によっては細気管支炎、肺炎を合併することがあります。特に6ヶ月以内や初めて感染した赤ちゃん、心臓・呼吸器に持病がある方、低出生体重で出生した乳児は、重症化しやすいので注意が必要です。

この病気は、一度感染しても免疫が十分につかないために繰り返し感染してしまうのも特徴のひとつですが、再感染した場合は一般的に症状が軽く済みます。

RSウイルス感染症の登園基準

重篤な呼吸器の症状が治まり、全身の状態が良くなったら登園しても良くなります。感染期間は通常3~8日間ですが、乳児では3~4週間ほど感染力が持続することがあるので、登園のタイミングは医師と相談して決めたほうが良いかもしれません。

水疱瘡の登園基準

水疱瘡(みずぼうそう)は、水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こる感染症です。その感染力は、おたふく風邪のムンプスウイルスよりも強く、家庭内接触での発症率は90%ともいわれています。次は、水疱瘡に感染した場合の登園基準についてご説明します。

水疱瘡の基本的な症状

水痘・帯状疱疹ウイルスに感染すると、2週間程度の潜伏期間を経て、子供の場合は、全身に発疹が見られるようになります。発疹はかゆみをともなうもので、短時間のうちに水疱となったあと、かさぶたになります。発疹は数日にわたって次々と出現し、通常は、頭皮から体幹、腕や足へと広がっていきますが、鼻やのどの奥、気道などの粘膜にも出現することがあります。

そのほかには、倦怠感や38度前後の発熱が2~3日続くこともあります。

水疱瘡の登園基準

水疱瘡にかかった場合には、全ての発疹がかさぶたになるまで登園することができません。

溶連菌感染症の登園基準

溶連菌感染症とは、A群溶血性レンサ球菌による感染症です。菌が侵入する部位によって、咽頭炎や扁桃炎、発疹をともなう猩紅熱(しょうこうねつ)などが起こります。感染経路は、飛沫感染と接触感染です。

溶連菌感染症の基本的な症状

咽頭炎の場合は、2~5日の潜伏期間を経て、38℃以上の突然の発熱、のどの痛みなどの症状が現れます。ただし3歳未満では、熱があまり上がらないともいわれています。

そのほかには、身体や手足に小さく赤い発疹が出たり、舌がイチゴのように赤くなってブツブツができたり、頭痛や腹痛、首すじのリンパ節の腫れが見られることもあります。風邪と違い、咳や鼻水は出ないのも溶連菌感染症の特徴です。

溶連菌感染症の登園基準

抗菌薬による溶連菌治療を開始してから24~48時間が経過すれば登園が可能になります。ただし、登園が可能になっても、医師に指示された期間は、抗菌薬を内服し続ける必要があります。

まとめ

登園させるかどうかを考える際、どうしても、この日は仕事を休みづらい、子供が保育園・幼稚園に行きたがっている、などといった都合を考えて判断してしまうこともあるかもしれません。ただし、きちんと体調を見て判断しないと、他の子にうつしてしまったり、ぶり返してかえって長引いてしまうことも。子供の体調を優先して登園の判断をするようにしましょう。

なお、保育所によっては病気の完治後に登園を開始する際、医師による証明が必要になるなどのルールを設けている場合もあるので、事前に確認しておきましょう。また、登園できる範囲内の症状であっても、気になる症状は職員に伝達しておき、家庭内でも引き続き様子を見るように心がけておきましょう。

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビ子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.08.20)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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