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2021年06月18日 20:00 更新

<父の日企画>家族にとっての「理想の父親」って何だ? #渡邊大地の令和的ワーパパ道 Vol.7

『産後が始まった! 夫による、産後のリアル妻レポート』『夫婦のミゾが埋まらない 産後にすれ違う男女を変えるパートナーシップ学』(ともにKADOKAWA)など、夫婦のパートナーシップをテーマにした著書が話題の渡邊大地さんによる新連載! 令和における新たなワーパパ像を、読者のみなさんとともに考えます。

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我が家の長男(小6)と長女(小3)はどちらも、私が代表を務める株式会社アイナロハの次期社長の座を狙っています。では、社長になって何をしたいのか、二人とも考えは同じで「シャインにメイレイしたい」のだそうです。何を命令したいのか聞くと、

長男「宿題やらせる」
長女「紅茶を持ってこさせる」

絶対コイツらに継がせたくないと思いますけどね……。
そこで、「もし自分が会社に勤めて、社長の代わりに宿題やれって言われたらどうする?」と尋ねると、「自分でやれって言う」と長男。そのまま返してやるよ。

「社長から、紅茶持って来いって言われたらどうする?」と尋ねると、「キュウリョー100万円くれたらいいよ」と長女。彼女にとっては、大金イコール100万円です。

社長になってからのことを考える前に、社員にとってどんな社長が好ましいのか、社会に揉まれなきゃですよね。何でもそうですが、当事者にとっての理想像と相手にとっての理想像にはギャップがあります。今の社長の件ほど極端ではなくても、良かれと思ってがんばったことが相手にとっては迷惑だった、なんて、結婚して以降耳にたこができるほど聞かされてますよね。

皆さん、こんにちは。渡邊大地です。今回も、「ワーパパ」とは何たるかを一緒に考えていきましょう!

改めて考える「イクメン」って何だ?

今年は6月20日(日)が「父の日」なんだそうです。ぼくが子どものころは、保育園で母の日・父の日にそれぞれお母さん・お父さんの似顔絵を描いてプレゼントしていました。しかし近年では、家族の形が多様化していることをふまえ、母の日・父の日を「ファミリーデー」という呼び方に変更し、祖父母や兄弟姉妹なども含めた「家族に感謝する日」とする取り組みも出てきているようです。時代が変われば、行事も変わっていくものですね。

さて今回はこの「父の日」をきっかけに、「理想の父親」「理想の夫」とは何たるかを一緒に考えていきましょう!


こういう仕事をしていると、よく新聞や雑誌の取材を受けます。以前、ある新聞の記者さんからこう尋ねられました。「渡邊さん、イクメンって増えてるんでしょうか?」と。

これはなかなか難しい問題です。「イクメン」というワードは2010年の「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされたことで一気に広まり、今では多くの人が知っていることと思います。ただ、そのワードを知っているのと、イクメン自体が増えていることは別です。問題は、「イクメン」の定義が不明確だということです。

育児をする男性を縮めて「イクメン」と呼ぶのでしょうが、「育児をするってどのくらい?」「育児をすればいいとして、家事はどれくらいするもの?」「パパも育休を取ればイクメン?」など、イクメンを定義するのは難しく、また夫婦、パパ、ママ、子どもごとに「理想のイクメン像」が違います。だから、その記者さんにぼくは聞きました、

「あなたの考えるイクメンって、どんな人ですか?」
つまり、記者さんのイクメンの定義を知りたかったんです。そうしたら彼はこう答えました。

「いわゆるイクメンです」

ズコー!(←古い??)

子どもから見た理想の父親とは?

そこでぼくは、「“いわゆるイクメン”って何だ?」と考えてみました。

「育児」って子どもあってのものであり、夫婦の場合は夫婦の協力あってのものですから、少なくとも、父親が育児をがんばっているかどうかを“自己判断”すること以上に大切なのが、子どもがどう思っているか、パートナーがどう思っているか、という視点だと思うのです。

以前、ある企業が企業内病児保育(病気になって保育園登園できない子を預かる施設を自社内に設置すること)を始める、というテレビニュースがありました。家族でそのニュースを見ていて、長女が「すごいね! こういう会社ならパパもママもお仕事休まないですむね!」と言ったのに対して、長男は「オレは絶対こんな会社いやだね! オレがカゼで保育園行けないときは、ママと家にいたいもん!」と言いました。どちらも正直な意見だと思います。

長女にとってこの会社で働く親は「一生懸命働く素敵な親」に映るでしょうし、長男にとっては「子どもを顧みない非情な親」ということになります。「家族のために精一杯働くぞ!」と思って実践したとしても、それが家族に伝わる場合もあれば、逆に意図することが伝わらないケースもあるということです。

ぼくは、子どもに何かあったときに真っ先に仕事を休める、自然災害があったときにすぐに家族が集まれる――そんな働き方を目指して、妻が長女を妊娠中に起業し、基本的に自宅で仕事をできるようにし、朝・夕食は家族で必ず食べることにし、保育園の保護者からは「渡邊さんって、いつもTシャツだけど、何のお仕事してるの?」と噂されるほど保育園の送り迎えもほぼやってきました。

ところが、「パパって良いパパだと思う?」と長女に尋ねると、「ん~~~、仕事ばっかりしてるよね……」と苦笑いされました。

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家族第一のワーパパ歴9年という自負を持っていましたが、娘から見たら「仕事ばっかり」なんだそうです。 自分の思ってた「家庭を優先する父親」なんて、我が子にかかれば形無しです。これはつまり、「家族のため」という言葉のとらえ方が違うってことですよね。

ちなみに、うちの長男・長女にとって良い父親は
長男「ゲーム好きで新しいゲームどんどん買ってくれる!」
長女「お金持ち!」
だそうです。もう一度声を大にして、ズコー! と言いたい。

夫婦でも、100%相手のことはわからないのが当たり前

数年前にある雑誌の企画で、ぼくが監修した「パパ度チェック」というのを行いました。「産後、役所に届けるものが何かを知っている」「出産・育児に関する妻の悩みを知っている」といった内容のテストを、当時妻が妊娠中の男性タレントたちにチャレンジしていただき、100点満点中何点かを誌上で発表するというものです。テストは決まった正解があるわけではなく、妻に答え合わせをしてもらうようになっています。夫婦によって正解が違い、ちゃんと答え合わせをすると100点満点は出ないようになっているのがミソ。夫婦といえど元は他人ですから、パートナーのことを過去から最新情報まで100%すべて知っているなんてことは不可能です。でも、それでいいんです。「ちゃんとコミュニケーション取らないと、夫婦といえどもわからないもんだね~」という反省材料にしてもらうのが目的なので、40点以上で合格、60点超えたら万歳といった感じ。ぼくが講師を務める両親学級・講座でよくこのテストを使っていて、全国各地で実施していますが、平均は40点くらいでした。

ただ、100点取ることが不可能なわけではありません。どうすれば100点取れるか? それは、夫が自分で答え合わせをすればいいんです。自分の解答を自分で丸付けできるとしたら、いくらでも操作できますよね。

イメージが大切なタレントさんですから、100点を申告すれば雑誌の企画的には「わ~!さすがAさん! すでにイクメン!」と、きれいにまとめることもできそうですが、このテストにチャレンジしてくださった男性タレントのAさん、なんと62点だったんですね。ぼくはこの結果を見て、ちゃんとパートナーに答え合わせしてもらったんだろうな、誠実な方なんだな、と感じました。不正解だった点について「これから勉強します!」とコメントしてくれたことは、そのがんばりの方向性はおいおいご夫婦ですり合わせていくとして、その素直な心持ちは夫としてプレパパとして、これから大いに期待できると思いました。

この「パパ度チェック」のポイントは、夫が回答し妻が採点するということです。夫が「自分はできている」「妻のことを知っている」と思っていても、妻にとってはそうではない可能性があります。ですから先のAさんのように、不正解があることを知り、せっかくのぼくらのがんばりを空回りに終わらせないような修正作業をしていくことが必要なんです。
もちろん、夫に限らず妻にとっても「夫のことを知っている」つもりでも、実はそうではないことってありますよね。だから、夫婦で「こんな夫婦でいたいね」「こんな親でありたいね」というすり合わせを重ねていくことが大切なんです。

父の日は「良い父親とは何か」を確認する日にしてみよう

大事なことなので何度も言いますが、良い父親・良い夫って、自分で評価できないものです。妻あってこその「良い夫」であり、子どもあってこその「良い父親」ですから。父の日自体は、ママや子どもがパパに日ごろの感謝を伝える日ではありますが、パパ自身は「良い父親とは何か」を改めて確認してみる日、ということでどうでしょうか。これを機会に、妻に「どんな夫が理想?」、子どもに「どんなパパがいい?」って聞いてみませんか?

(1)妻に「理想の夫とは」「理想の父親とは」を尋ねる(子どもが大きい場合はぜひ子どもにも!)
(2)今の自分がそれにどのくらい近いのか、妻(子ども)に尋ねる
(3)年に一度、「父の日」のタイミングで上の質問をして、自分の位置を確認する
最後に、我が家の末っ子・5歳の次女に「良い父親は?」と聞いてみました。

「かぞくみんなをしあわせにしてくれるパパ」

この回答を持って、株式会社アイナロハの次期社長が内定しました。

今回のまとめ

自己判断でない、家族の声を聴けるワーパパになろう!

(文:渡邊大地、イラスト:村澤 綾香、編集:マイナビ子育て編集部)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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