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2021年04月05日 11:02 更新

【医師監修】妊娠6ヶ月のママと赤ちゃんの様子、生活の注意点と過ごし方(妊娠20週、21週、22週、23週、妊娠中期)

だんだんと目立ち始めるおなかのふくらみや胎動で、赤ちゃんの存在を実感する人が増えてきます。ここでは妊娠6ヶ月のママと赤ちゃんの様子についてまとめます。日々の過ごし方や注意点もチェックしておきましょう。

妊娠6ヶ月のママの体の変化と見られやすい症状

妊娠6ヶ月を迎えて赤ちゃんの動きを感じる女性
Lazy dummy

おなかのふくらみが目立ち始めると共に胎動を感じやすくなり、赤ちゃんの存在を実感できるころ。一方、 便秘やむくみといったマイナートラブルが出てくることもあります。妊娠6ヶ月のママの体の変化について見ていきましょう。

赤ちゃんがおなかにいることを実感できるように

個人差はありますが、胎動をほとんどのママが感じるようになります。胎動をいつから感じるのかというと、妊娠4~7ヶ月の間が一般的で、中でも妊娠5~6ヶ月で気づきやすいとされます。

便秘やむくみな どマイナートラブルが現れることも

おなかが大きくなるにつれ、ママの体にはマイナートラブルが現れやすくなります。例えば大きくなった子宮による腸の圧迫や、胎盤から放出される黄体ホルモンの影響で便秘になりがちです。便秘が原因で、痔(じ)になってしまうこともあります。

普段から食物繊維の多い食事や十分な水分補給を心がけ、ウオーキングやストレッチで体も動かして便秘の改善に努めましょう。

また体重が増えてくると足に負担がかかり、下半身の血流が悪くなってきます。そのことが原因で、足がつる「こむら返り」や、足のむくみが増えることもあるでしょう。

生理的なもので心配はいりませんが、気になるときはふくらはぎのマッサージや、足を高くして眠るなどの対策をしてみてください。

妊娠6ヶ月の赤ちゃんの特徴と発達の目安

日々、すくすくと成長している赤ちゃんですが、妊娠6ヶ月のころは、どのような様子なのでしょうか。

超音波検査では毛や爪が見えるかも?

妊娠21週ごろの赤ちゃんには、髪の毛や眉毛がみられるようになります。妊娠23週末の赤ちゃんは身長30㎝、体重650gほどです[*1]。超音波検査では判別しにくいですが手の指に爪が現れたり、まぶたが分離してまばたきが見られるようになったりもします。

動きが活発になる傾向に

筋肉や骨格が発達し、赤ちゃんの動きが活発 になってきます。妊娠20週を過ぎたころから、決まった時間になるとよく体を動かす、など活動に周期性 が見られるようにもなります。

ママの声が聞こえている 可能性も?

この時期になれば、赤ちゃんの聴力はほぼ完成し、おなかの外の 大きな音が聞こえるようになると考えられています。おそらく、一番よく聞いているのはママの声やママの心臓の音でしょう。

ただし羊水の中にいるため、あまりはっきりとした音では聞こえていないと考えられています。

妊婦健診でのチェック内容と行う検査

妊婦健診では毎回、必ずチェックする項目と共に、妊娠中期だからこそ確認しておくべきこともあります。妊娠6ヶ月の健診内容や検査ついて、まとめてみました。

定期検査は引き続き実施

定期検査ではママの体重と血圧の測定、尿検査、子宮底長の測定などを引き続き行います。体重が増えすぎていないか、むくみが出ていないかも確認します。赤ちゃんは超音波検査や心拍の確認で様子を見ます。

超音波検査で赤ちゃんの計測と観察

超音波検査 では、頭の左右の長さ(児頭大横径/BPD)や太ももの長さ(大腿骨長/FL)などを計測し、平均的な値と比べて成長具合に遅れがないかを確認します。また頭や胸、おなか、背中などの形状を順番に確認し、気になるところがないかもチェックします。

臍帯(さいたい)や羊水量、胎盤の位置に異常がないかを確認

超音波検査では赤ちゃんの様子と共に、へその緒や胎盤、羊水の量についても異常がないかを観察します。

例えば羊水は妊娠30週前後に約800mlでピークの量となるまでは 週数が進むにつれて増加します。妊娠20週では通常約350ml[*2]ですが、このころすでに800ml以上と考えられるときは羊水が多すぎる「羊水過多症」、100ml未満と考えられるときは羊水が少なすぎる「羊水過少症」となります。

羊水量を判定する際は、直接量ることはできないので、超音波検査により推測する方法で異常がないかを確認しています。

また胎盤がどの位置に付着しているかも、超音波検査でチェックします。

胎盤の位置が通常よりも子宮の下方にあり、子宮口を覆ってしまっている状態を「前置胎盤」、胎盤が子宮口の近くまで下がっている状態を「低置胎盤」と呼びますが、これらが疑われる場合は24週以降に経腟超音波検査で確定診断を行います。

妊娠高血圧症候群(PIH)の検査

妊娠中の血圧は、妊娠していないときと比べて上がる、と思っている人も多いと思いますが、実は同じか、やや低下します 。

しかし何らかの原因で高血圧になり、母体に血管や臓器の障害が現れることがあり、これらを総称して「妊娠高血圧症候群(PIH)」と呼んでいます。妊娠高血圧症候群は妊婦さん約20人に1人の割合で起こる [*3]と言われています。

妊娠高血圧症候群のうち、最も典型的なのが「妊娠高血圧腎症」です。「妊娠高血圧腎症」は妊娠20週以降の検査で、高血圧と尿たんぱくが確認されると発症が疑われます。

妊娠6ヶ月はどう過ごす?

おなかのふくらみが目立ち始める妊娠6ヶ月。いよいよ妊娠生活も後半戦へ入っていきますが、このころに心がけておきたいポイントはどのようなものでしょうか。

体重管理をがんばろう

妊娠前のBMI(体重と身長の関係から肥満度を示す体格指数。体重kg/身長mの二乗で計算する)が18.5~25.0未満で「普通」だった人は、妊娠中の推奨体重増加量は7~12kgとされています[*4]。体重が増え始めたな、と思ったら早めに軌道修正をしましょう。

気を付けたいのは、もともと肥満だった人や、妊娠してから 体重が増えすぎている人。このような場合、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病 、微弱陣痛などになるリスクが高くなる と言われています。

具体的には、妊娠前のBMIが25.0をやや超える程度の場合は、妊娠期間中の体重増加は5kgを目安にし、もともとのBMIがそれ以上だった場合は、個々の状況によって個別に指導されることになります[*4] 。

健やかなお産のために、日々の体重管理には気を付けたいものです。

マタニティエクササイズを楽しもう

これまでのさまざまな調査で、妊娠経過が順調な場合は、適度に運動することが健康の維持・増進につながる 可能性があるとされています。

ただし妊娠中はおなかが大きくなることによって重心が前に移動しますし、血液量や心拍数の増加などもあり、妊娠していない時とは体の状態が大きく異なります。そのため妊娠中は転びやすい運動や、人と接触してケガをする可能性のある種目、また勝ち負けに熱中してしまうような種目は向いていません。

一方、妊娠中に望ましいスポーツは、全身の筋肉を使って酸素を十分に取り入れる有酸素運動。具体的にはウオーキングやエアロビクス、水泳、ヨガなどが挙げられます。

ただし、心臓や呼吸器に疾患があったり、妊娠高血圧症候群を発症している場合、 切迫流産や早産、前置胎盤、子宮頸管の異常 の疑いがあったりするときなどの運動は禁止です。

また妊娠経過に問題がない人でも、運動中に立ちくらみや出血、お腹の張りなど、いつもと違う体調の変化 があった場合はすぐに運動を中止し、必要に応じて医師の診断を受けましょう。

むくみの予防と解消を心がけよう

大きくなったおなかが下半身を圧迫し、血流が悪くなることが原因で、足にむくみが出やすい時期です。症状を和らげるには、足のストレッチやマッサージがオススメ。寝るときに足を少し高く し、十分な睡眠時間を取るのも良いでしょう。

また、栄養バランスの取れた食事も大切なポイントです。特に、体内の余分なナトリウム(塩分)を排出させるカリウムなどが不足しないようにしましょう。

妊娠6ヶ月に注意したい3つのこと

妊娠6ヶ月は比較的、過ごしやすい時期ですが、注意しておきたいこともあります。体調が良いからと無理をせず、食事や過ごし方に気を配りましょう。

妊娠糖尿病に注意を

妊娠糖尿病は、妊娠中に起こる糖の代謝異常です。

おなかの中の赤ちゃんは、成長に必要なエネルギーの大部分をブドウ糖(グルコース)でまかなっており、妊娠週数が進むに従って、よりたくさんのブドウ糖を必要とします。

通常、食後に上昇する血糖値は膵臓から出るインスリンというホルモンの作用で筋肉や脂肪に送られて下がりますが、妊娠20週以降は赤ちゃんにたくさんのブドウ糖が送られるよう、胎盤から出されるホルモンの影響でインスリンが効きにくい状態になります。そのため母体で血糖値が上がりやすくなり、妊娠糖尿病になりやすくなると考えられています。

妊娠糖尿病は妊娠初期に血糖値を測定し、基準より高かった場合は必要に応じてさらに詳しい検査を受けます。

また、妊娠初期に問題ないと診断されていた人も、24週以降に再度、検査を受けることが推奨されています。ここでも基準値を超えた人はさらにくわしい検査を受けて、妊娠糖尿病を発症していないかどうか調べられます。

妊娠糖尿病になると、ママ、おなかの赤ちゃんともにさまざまな合併症が引き起こされるリスクがあるので、 妊娠糖尿病と診断されたときには、食事療法やインスリン療法など適切な治療を受けることになります。

妊娠中に適切な範囲を超えて体重が増えすぎることは、妊娠糖尿病を発症する危険因子のひとつです。 妊娠糖尿病を防ぐためにも、バランスの良い食事と適度な運動で体重管理をしっかり行いましょう。

早産にも気をつけよう

妊娠22~36週で出産になることを早産と言います[*5]。妊娠22週を過ぎると、万が一、出産となり赤ちゃんがお母さんのおなかの外に出ても生存できる確率は上がっていきますが、32週ごろまでは赤ちゃんに合併症が出るリスクもあります。

早産の原因 はさまざまですが、ママの喫煙で赤ちゃんが低酸素になったり、過剰なダイエットで赤ちゃんが低栄養になったりすることも要因の一つと考えられています。ストレスもできるだけ避け、健やかに過ごして早産を予防しましょう。

過度なダイエットはやめよう

妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病にならないよう、妊娠中の体重管理は重要です。一方、過度なダイエットで母体の体重増加が不十分すぎると、赤ちゃんが低出生体重児として生まれてくるリスクが高く なります。またおなかの中で長期にわたって低栄養の状態が続いた赤ちゃんは将来、生活習慣病の発症率が高くなる、という説も唱えられており、妊娠中の適切な体重増加は必要なことです。

具体的に、妊娠前のBMIが18.5未満で「やせ」体質だった人は、妊娠中に9~12㎏の体重増加が推奨されています[*4]。体重が増えることに神経質になりすぎて、妊娠中の栄養摂取が不十分にならないよう注意しましょう。

まとめ

おなかの中で動く赤ちゃんの様子が胎動として伝わり、その存在に愛おしさを感じる人も多いことでしょう。赤ちゃんの聴力がほぼ完成するので、もしかしたらママの声が聞こえているかもしれません。おなかの赤ちゃんと一緒に過ごすことがますます楽しくなりますが、ママは体重管理を頑張りたい時期。妊娠7ヶ月目に備えて早産の兆候や過度なダイエットには気を付けながら、体調が良いときは適度なエクササイズで体を動かしましょう。

(文:剣崎友里恵、監修:中林稔先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]岡井崇(編)/綾部 琢哉(編)・2011年・『標準産科婦人科学第4版』・医学書院・P302
[*2]医療情報科学研究所(編)・2014年・『病気がみえるvol.10 産科 第3版』・メディックメディア・p141
[*3]公益社団法人日本産科婦人科学会 妊娠高血圧症候群
[*4]妊産婦のための食生活指針-「健やか親子21」推進検討会報告書, 4 「妊娠期の至適体重増加チャート」について
[*5]医療情報科学研究所/編・2014年・『病気がみえるvol.10 産科 第3版』・メディックメディア・p158

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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