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2021年01月27日 13:59 更新

【医師監修】子供の蕁麻疹(じんましん)で押さえておきたい5つの疑問

腫れ・赤みが全身に広がり、かゆみを伴うことが多い蕁麻疹。今回は、子供が蕁麻疹にかかった時に知りたい、5つの疑問にお答えします。

子供の蕁麻疹

蕁麻疹を痒がる子供
Lazy dummy

※画像はイメージです。

蕁麻疹(じんましん)は、かゆみを伴って、ぶつぶつや赤みがあらわれる症状です。蕁麻疹の原因は、アレルギー性のものと、非アレルギー性のものがあり、約7割の蕁麻疹は、原因がはっきりしません。ここでは、子供の蕁麻疹に関するさまざまな疑問に詳しくお答えしていきます。

Q1.子供の蕁麻疹ってうつるの?

蕁麻疹って何!?疑問がいっぱいの子供
Lazy dummy

蕁麻疹は、うつりません!

蕁麻疹は感染症ではないため、たとえ患部に触れても、うつる心配はありません。ただし、ウイルスや細菌の感染がきっかけで蕁麻疹が発生するケース(感染性蕁麻疹)もあります。

蕁麻疹は遺伝するの?

ごく一部の例外を除いて、蕁麻疹が遺伝することはありません。蕁麻疹の原因の1つである「アレルギー体質」は遺伝することもあります。

Q2.普通の発疹との見分け方は?

蕁麻疹!?腕の内側をかく子供
Lazy dummy

蕁麻疹は、かゆみを伴って、皮膚に大小の少し盛り上がった発疹(膨疹:ぼうしん)が出現し、数時間以内に消えることが特徴です(中には1日くらいまで続くものも)。時に1箇所だけ出る場合もあれば、全身に広がることもあります。

特徴的な皮膚の盛り上がり

蕁麻疹は、通常の発疹とは異なる皮膚の盛り上がりが見られます。これは「膨疹:ぼうしん」と呼ばれ、悪化すると、その発疹が頭から足の先まで、全身に広がることもあります。

一時的な発疹

蕁麻疹は、突然赤く盛り上がった膨疹が、しばらくすると消えてしまう一時的な発疹です。たいていは数十分~数時間、長くても一日以内に消えるのが特徴です。

Q3. 蕁麻疹の原因や予防策は?

蕁麻疹を防ぐことを閃いた子ども
Lazy dummy

蕁麻疹は、原因がはっきりしている場合はそれを避けることで予防できます(ただ、最初に紹介したとおり原因のはっきりしない場合も多く、その場合は自分では避けることはできません)。蕁麻疹の原因として挙げられるものを、紹介します。

■アレルギーに関係するもの
・食べ物
・食品添加物
・薬品
・動物、昆虫、植物(天然ゴム製品を含む)

■アレルギー以外のもの
・スポーツ(運動)
・汗
・寒暖差(温度差)
・皮膚への圧迫
・日光(紫外線)
・ストレス
・感染症

突然、蕁麻疹が出た場合には、普段とは異なることをしていないかをチェックするとよいかもしれません。例えば、食べたもの(ピーナツや小麦、そばなどのアレルゲン)が原因で、蕁麻疹を起こす子供もいるようです。また、寒い日に外で遊んでいて、急に顔や手に蕁麻疹が出た場合は、寒冷蕁麻疹の可能性もあります。熱いお風呂に入るたびに蕁麻疹が出る場合は、温熱蕁麻疹かもしれません。

アレルギー検査も予防法のひとつに

蕁麻疹の原因のひとつにアレルギーがあるため、アレルギー検査を受けておくことも予防策のひとつとなります。アレルゲン(アレルギーの原因物質)が特定された場合、それらを避けることが対策のひとつになることもありますので、専門医に相談のうえ食事などを工夫することが重要です。

Q4.子供の蕁麻疹の治療法

子どもの蕁麻疹の相談に乗ってくれる医師と看護師
Lazy dummy

医療機関での治療は、薬の服用がメインです。蕁麻疹を疑ったら病院で診察を受け、薬を処方してもらいましょう。

急性蕁麻疹の治療法

急性蕁麻疹は、適切な治療によって1ヶ月以内に治癒する蕁麻疹のことです。抗ヒスタミン薬などを使って治療していきます。抗ヒスタミン薬はかゆみに対する効果が期待できる薬で、内服薬と外用薬(軟膏)の2つがありますが、基本的には内服治療を行います。

慢性蕁麻疹の治療法

慢性蕁麻疹は、症状が1ヶ月以上長引く蕁麻疹のことです。急性蕁麻疹と同じく、抗ヒスタミン薬を使って治療していきます。内服薬の量、服用期間などは医師が診察の過程で調整していきますので、定期的に受診することが望ましいでしょう。慢性蕁麻疹の方で、薬の服用によって一時的に症状が改善したからといって、自己判断で薬の服用を止めてしまうのはNG。医師の指示に従ってください。

Q5.急に蕁麻疹になったら?

子供や赤ちゃんに蕁麻疹が出たら、落ちついて適切に対処してください。対処法を間違えてしまうと子供に余計辛い思いをさせてしまうので注意しましょう。

とりあえずの応急処置

まずは子供を落ちつかせましょう。興奮やストレスで、かゆみが悪化するケースが多いので、横にさせてリラックスさせましょう。続いて、かゆみの出ている部分を冷やします。温めてしまうと、血行が促進されてかゆみが増しますので、必ず冷やすようにしてください(ただし急に皮膚が冷えることで起こる寒冷蕁麻疹もありますので、冷やすことで悪化した場合はすぐに冷やすのを中止してください)。

アレルギー性の蕁麻疹である場合には、急速に複数の症状が現れる「アナフィラキシー症状」を示す場合があります。以下に、アナフィラキシーの症状をまとめました。

【皮膚/粘膜症状】
・かゆみ
・皮膚の赤み・蕁麻疹
・口の中、唇、舌腫れ
・まぶたの腫れ

【呼吸器系の症状】
・息切れ
・ヒューヒュー・ゼーゼーという呼吸音
・咳

【消化器系症状】
・ひどい腹痛
・嘔吐

【その他】
・倒れる
・血圧低下
・失禁

以上の症状がいくつか起きた場合には、アナフィラキシーの可能性が高いと考えられます。中でも、アナフィラキシーによるショック症状は「アナフィラキシーショック」として有名ですが、これは意識不明になるなど危険な状態です。意識がない場合は、足を頭より高く上げた状態で寝かせたうえで、嘔吐に備え、顔を横向きにし、救急車を呼んでください。あらかじめ「エピペン®0.15mg」の処方を受けている場合は、処方時に指導された適切なタイミングで注射します。 なお、アナフィラキシーショックではなくても、他の症状が出ていたり何か違和感を感じる場合には、早めに病院に連れて行くことがベストでしょう。

分からないことがあったら

蕁麻疹の初期症状は、虫さされやかぶれと区別がつかない場合があります。「この子の症状は本当に蕁麻疹なのだろうか?」「他に症状が出ているけれど悪い病気ではないか?」など、不安になる方も多いことでしょう。そんな時は、日本小児科学会のホームページ(※)が大変役立ちます。当てはまる症状にチェックを入れていくだけで、可能性のある病気などを教えてくれますので、ケアや通院の参考にしてみてください。

※日本小児科学会「こどもの救急」

まとめ

蕁麻疹は、15~20%の人が一生に1度は経験すると言われており、乳幼児が発症することももちろんあります。かゆみが出ることが多いため苦痛が大きいこともありますが、蕁麻疹がおさまるまでは極力患部を掻かないようにすることが大切です。蕁麻疹が消えても、念のため1度は医療機関へ連れて行って、医師にしっかり診てもらうようにしましょう。

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビ子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.07.30)

※記事の修正を行いました(2019.06.07)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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