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2022年06月09日 10:58 更新

【医師監修】妊娠初期の注意点まとめ! 体の状態・食事・過ごし方

妊娠初期とは、妊娠4ヶ月までのこと。週数では妊娠0週~15週にあたり、妊娠が始まって赤ちゃんの身体が形成されていく大事な時期です。この時期、赤ちゃんや母体はどのようになっているのでしょうか? 生活において注意しておきたいこととは? 妊娠初期の過ごし方についてまとめました。

妊娠初期ってどんな状態?

食事が気になる妊娠初期でまだお腹が見立たない女性
Lazy dummy

※画像はイメージです

妊娠初期(妊娠0週0日)は、最終月経が始まった日から始まります。ここでは、妊娠初期の週数ごとの赤ちゃんとママの状態についてご紹介します。

妊娠1ヶ月の赤ちゃんとママの状態

妊娠1ヶ月は、週数で言えば、0~3週目で、「排卵」「受精」「着床」が行われる時期となります。

妊娠1週には卵子のもとになる卵胞が発育中の段階であるため、赤ちゃんはまだ存在しないことになります。1週目の終わりから2週目のはじめに排卵が起こり、卵管で卵子と精子が出会って受精卵となります。そして細胞分裂を繰り返しながら子宮に移動し、3週目に子宮内膜に着床します。この時期はまだまん丸の形。妊娠8週(10週という説もあります)未満の段階では、赤ちゃんのことを「胎児」ではなく「胎芽」と呼びます。

妊娠が成立するのは妊娠1ヶ月のほぼ終わりの時期であるため、この頃のママはまだ妊娠の自覚がほとんどないものです。しかし、妊娠が成立することにより、女性の体の中ではhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)といったホルモンがたくさん出てくるため、次の月経予定の時期あたりに、体調の変化に気がつく人もいるようです。

その時の体調の変化としてありがちなのは、やたらと眠い、あくびがとまらない、なんとなくだるい、熱っぽいなど。

妊娠2ヶ月の赤ちゃんとママの状態

妊娠2ヶ月は、週数では4~7週目。この時期は、来るはずの月経が1週間以上来ないことで、ママが妊娠に気付くケースが多いようです。また妊娠4週の後半以降は、超音波検査(エコー検査)によって妊娠の確認や赤ちゃんの様子を見られるようになります。

この時期の赤ちゃんは、胎嚢(たいのう)という袋に入っている状態となっており、超音波検査ではこの胎嚢が黒い状態で見えます。胎嚢に入っている胎芽(赤ちゃん)は、胎嚢の中にある卵黄嚢(らんおうのう)から栄養をもらって成長します。

6週頃になると、赤ちゃんの心臓の動き(心拍)が確認できるようになるでしょう。妊娠7週目に入る頃の赤ちゃんは、少しずつ頭部と胴体が区別できるように見えてきます。この時はまだ2頭身ですが、手や足はもちろん、主要な臓器の原型もできています。


妊娠2ヶ月頃のママは基礎体温が高い状態が続くほか、ホルモンの影響でだるさや眠気を感じたり、乳房が張るといった妊娠の兆候があらわれてきます。5~6週頃からは、つわりが始まる人もいるでしょう。

妊娠3ヶ月の赤ちゃんとママの状態

妊娠3ヶ月は、週数でいうと8~11週目にあたります。まだお腹のふくらみは感じないことがほとんどです。

赤ちゃんは、胎芽から胎児となります。身体は3頭身ほどになり、頭と胴、手足の区別もはっきりしてきます。水かきのように指同士がくっついている状態だった手足も、指がきちんと分かれてきます。目にはまぶた、耳には耳たぶ、口には唇、鼻には鼻の穴ができてきます。下あごや頬も発達し、人間らしい顔つきになります。

妊娠3ヶ月末頃のママの子宮は、手掌大ほどの大きさになります。また、妊娠3ヶ月は、つわりがピークになる時期でもあります。つわりには個人差があるので、特に気にならない程度であるという人もいれば、かなり重い人もいます。

つわりの原因については、hCGの影響や甲状腺ホルモンやエストロゲンなどの変化など、さまざまな説がありますが、実際にははっきりとわかっていません。

妊娠4ヶ月の赤ちゃんとママの状態

妊娠4ヶ月は、12~15週目。妊娠15週には、胎盤(たいばん)の形や機能ががほぼ完成します。

赤ちゃんはへその緒と胎盤を通じてママから酸素や栄養を受け取っています。体内では各器官の形成期が終わり、内臓の基本的な形が完成し、徐々に機能し始めます。ママが胎動を感じるのはまだ先ですが、赤ちゃんは手足の筋肉が発達してきたので、羊水の中でクルクル回ったり、脚をパタつかせたりするなど、活発に動くようになってきます。

妊娠4ヶ月頃のママの身体は、外から見てもお腹のふくらみがわかってきます。15週末には、子宮も7~15cm程度(子宮底長)に(赤ちゃんの頭ぐらいの大きさ)になります。この時期には、つわりが軽くなったり解消されたりするママも多いようです。

妊娠初期の食事で気をつけること

妊娠初期から、赤ちゃんはママの食事から栄養を取り入れるようになります。そうなると、やはりこの段階から食事には気をつけたいところですよね。次は、妊娠初期の食事での心がけについてご紹介します。

食べ過ぎに注意

妊娠中、全期にわたっていえることですが、気を付けておきたいのが、体重管理。「妊娠中にはたくさん食べなければならない」という考えもありますが、体重が増え過ぎてしまうと、妊娠性高血圧症候群や妊娠糖尿病、難産のリスクなどが高まります。つわりが落ち着いてくると、食欲が出てくるようになると思いますが、食べ過ぎには注意しておきたいところです。

つわり時期は食べられるものは何でも食べる

逆にやせすぎも赤ちゃんに良くありません。つわりが始まると、バランスの良い食事どころか食べることさえ十分にできなくなることもあります。でも、この時期はまだ赤ちゃんがとても小さいので、赤ちゃんの分までたくさん食べようとする必要はありません。水分だけはきちんととり、フルーツ、お菓子、ゼリーなど、何でも良いので、食べられるものを食べたいときに食べるようにします。

葉酸を積極的に摂る

葉酸はビタミンB複合体の1つで、細胞の増殖に必要なDNAの合成に関与する栄養素です。妊娠初期は、赤ちゃんの細胞分裂が活発に行われるので、この時期に葉酸が不足すると、神経管閉鎖障害(二分脊椎、無脳症)という先天異常を発症するリスクが高まります。このため、妊娠を計画している女性や妊娠の可能性がある女性は、妊娠の1ヶ月以上前~妊娠3ヶ月までの間は、通常の食事からの葉酸摂取に加えて、1日400μgの「モノグルタミン酸型の葉酸」を摂取することが推奨されています[1]。

妊娠初期に避けたい食材

・クロマグロやメカジキなどの大型回遊魚、キンメダイなどの深海魚……赤ちゃんの中枢神経に影響を与える可能性があるメチル水銀が比較的多く含まれているため、妊娠中の過剰摂取は避けた方が良いとされています。週に1回までの頻度で魚の種類にもよりますが1回80gまでを目安としましょう。

・レバーやうなぎ……レバーやうなぎに多く含まれる動物性ビタミンA(レチノール)を妊娠初期に過剰に摂りすぎると、赤ちゃんに奇形が起こるリスクが高まると推定されています。妊娠中(妊娠初期)の1日のビタミンAの摂取推奨量は、18~29歳が650μg、30~49歳が700μgなので、この量を超えないように注意しましょう[2]。

妊娠初期の薬の服用について

妊娠に気づかない人も多い妊娠初期だからこそ、知っておきたい薬の服用リスク。妊娠初期に薬を服用した場合、赤ちゃんに奇形などの影響はあるのでしょうか? 妊娠初期の薬の服用のリスクについてまとめました。

妊娠初期の服薬のリスクとは

妊娠初期の中で、奇形を起こすリスクがもっとも高いと考えられるのは、赤ちゃんにとって重要な器官がつくられる妊娠4~7週までの期間。この時期には、ママが妊娠にまだ気づいていないケースも多いので、特に注意が必要です。

それ以前の妊娠4週までの期間は、まだ赤ちゃん器官形成が始まっていないので、薬が影響したとしても、受精卵の段階で着床できないか流産してしまうかのいずれかに終わります。ただし、薬によっては残留性を持つものもあるので、やはり注意が必要です。

妊娠8週目以降になると、赤ちゃんの重要な器管の形成がすでに終わっているため、奇形が起きるリスクはやや低下すると考えられます。しかし、まだ形成され続けている部分もあるので、油断は禁物です。

持病がある人は要注意

市販薬に関しても赤ちゃんへの悪影響につながるような薬がありますので、主治医に相談してから服用してください。また、抗がん剤、抗高脂血症薬、降圧剤などといった持病のある人が服用する薬に関してはリスクの高いものが多いので、主治医から、その必要性と危険について、十分説明を聞いてください。

ただし、持病で薬を服用している人が、妊娠したからといって勝手に薬の服用を中断してはいけません。できるだけ早めにかかりつけ医師に相談するようにしましょう。

薬を服用してしまったときは

「妊娠に気が付かないで薬を服用してしまった」という人もいるかもしれませんが、心配な場合は、かかりつけの医療機関に相談してみると良いでしょう。

妊娠初期の出血・腹痛にも注意

妊娠初期には、出血や腹痛が起こる場合があります。これらは、妊娠特有の症状として見られるものですが、トラブルの兆候である可能性も考えられます。気になったら、すぐに受診してください。

妊娠初期の出血で考えられること

妊娠初期に出血が起こる原因は、流産や切迫流産などが考えられます。出血の仕方には個人差があるため、自分では心配な出血かどうか判断しづらいものです。そのため、少量でも出血が見られる場合にはまずはかかりつけ医に電話し、指示を仰ぐようにしましょう。

妊娠初期の危険な腹痛とは

妊娠初期には、子宮が大きくなるに連れて、子宮の筋肉が伸びたり、子宮を支える靭帯が引っ張られたりするため、下腹部や脚のつけ根に痛みを感じることがあります。しかし、痛みがどんどん強くなったり、強い痛みが継続したり、出血をともなうような場合は、流産や切迫流産、子宮外妊娠が疑われます。この場合もかかりつけ医に相談するようにしましょう。

まとめ

妊娠初期は、妊娠に初めて気が付く時期でもあり、そのタイミングも人それぞれ。しかし、この段階で赤ちゃんの健康のために気を付けておきたいことがたくさんあります。妊娠がわかった人だけでなく、妊娠の可能性がある人も、これらのことを意識しながら過ごすのが望ましいのかもしれません。

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビ子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.06.11)

※記事の修正を行いました(2019.06.06)

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