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2022年12月12日 17:24 更新

【医師監修】妊活中に実践しておきたい! ブライダルチェック・貧血対策など5つの準備

妊娠前にしておけばよかった……そんな後悔をしないように、妊活中にやっておきたい5つの準備をまとめました。スムーズな妊娠のために、ママと赤ちゃんの健康のために、おすすめの方法です。

妊娠前の準備① ブライダルチェック

妊活のためのブライダルチェックをする医師
Lazy dummy

ブライダルチェックとは、一般的に結婚を控える男女を対象とした検診のことで、妊娠を希望するにあたり確認しておきたい項目の検査を行います。

女性を対象としたブライダルチェックは、HIVやクラミジアなどの性感染症、風疹抗体、肝炎の検査や、子宮頸がん、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣腫瘍など、妊娠や出産に影響を及ぼす女性特有の病気をチェックする目的で行います。実際に行う検査内容は、医療施設や受ける人が選択するオプションによって異なります。

いずれ赤ちゃんを…と思うのであれば是非チェックを

ブライダルチェックで行われる検査内容は、具体的には、おりもの検査、卵巣や子宮の超音波チェック、子宮頸がん検査、性感染症検査、血液検査、問診などが行われます。

普段、月経(生理)不順、生理痛がひどい、などといった症状がある方はもちろん、これまでに定期的な婦人科検診を受けていない方はブライダルチェックを受けておくことをおすすめします。

男性のブライダルチェックも

「女性のみ」というイメージがあるブライダルチェックですが、実は男性向けのブライダルチェックも存在します。不妊症は男性側の原因が24%、女性側の原因が41%、男性・女性両方の原因が24%、原因不明が11%(WHO調べ)と言われているので、やはりカップルで受けておくと安心です。

男性向けのブライダルチェックとしては、精液・精子検査、性感染症検査などが行われます。

妊娠前の準備② 貧血対策

ブライダルチェックや妊活にも貧血チェックが。貧血気味で横たわる女性

妊娠中は貧血に悩まされる妊婦さんが少なくありません。「妊婦貧血」という名称を聞いたことがある方もいるかも。妊娠前から対策をしておきたいものです。

妊娠すると貧血になりやすい?

妊娠中は、血液の量が増えることで赤血球の濃度が薄くなってしまいます。

妊娠中、体を巡る血の量は、最終的には妊娠していないときの3-4割も増加します。赤血球も2割ほどは増加するものの、それよりも全体の血液量の増加の方が大きいため、結果として赤血球の濃度が薄まり、貧血になるのです。

貧血の対策法

貧血予防に重要な2大栄養素「鉄」と「葉酸」を不足しないように摂取してください。

鉄は一日に10.5mg、葉酸は一日に240μg摂取することが勧められています(※非妊娠時、月経のある18歳以上の女性の場合)[*1]。

なお、赤ちゃんの「神経管閉鎖障害」のリスク低減のため、妊娠を計画している女性や妊娠の可能性のある女性は、通常の240μgに加えて400μgの葉酸をサプリメントなどで補うことが推奨されています。

さらに「ビタミンC」は葉酸や、鉄の吸収を助けるため、一緒に摂っておきたいビタミンです。また、「ビタミンB群」は葉酸の働きを助けてくれるため、やはり一緒に摂取することがおすすめです。

妊娠前の準備③ 予防接種

妊活やブライダルチェックで予防接種をしておく女性
Lazy dummy

妊娠中に感染すると、赤ちゃんの発育に重大な影響を及ぼしかねない感染症があります。

過去に予防接種を受け体内に「抗体」が存在すると、概ね感染を防ぐことができます。しかし、世代などによっては、特定の予防接種を受けていない方も少なくありません。女性のみならず、可能であればパートナーの男性や、周囲の方々も抗体の有無を確認し、予防接種を受けることが望ましいです。

妊娠前に確認したい感染症ワクチン

麻疹(はしか)、風疹(ふうしん)、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)、水痘(みずぼうそう)。これらの感染症はいずれも予防接種で、概ね予防することが可能です。しかし予防接種を受けておらず、妊娠中に感染してしまうと、赤ちゃんに影響が出る恐れもあります。

例えば、妊娠中に麻疹(はしか)にかかってしまうと、早産や流産の原因となります。また、妊娠20週頃までに、妊婦が風疹(ふうしん)に感染してしまうと、胎児の「先天性風疹症候群」につながる可能性があると言われています。こちらは、赤ちゃんの心臓や、目、耳などに障害が発生する症候群です。

麻疹・風疹・おたふくかぜ・水痘のいずれのワクチンも、妊娠中は原則として接種できないワクチンです。妊娠をする前に抗体検査を行い、抗体がない場合には妊娠前にワクチンを接種することの大切さは、少しずつ認知されてきています。ワクチンによっては接種後一定期間妊娠できない期間が発生しますので余裕を持って検討してください。自治体によっては、妊娠希望の女性で、予防接種の費用を補助する動きも出ています。

成人男性も予防接種が必要?

2013~2018年度の感染症流行予測調査によると、風疹の抗体保有割合は、2歳~30代前半までは男女ともにおおむね90%以上ですが、30代後半以降は、女性ではほぼすべての年代で90%以上であったのに対し、男性では30代後半~50代前半の抗体保有割合が特に低く、男女差が大きくなっています[*2]。

子供の頃に定期接種の機会がなかった1962~1978年度生まれ(2020年3月末現在で41~57歳)の男性の抗体保有割合は、2009~2018年度の10年間継続して80%前後で推移しており、定期接種の機会があった年代と比べて低かったことがわかっています。

男性は妊娠しませんが、自分が風疹に感染することで、家族や周りの妊婦に風疹をうつしてしまうことにもつながります。そうならないためにも、特に該当年代の男性は抗体検査を受け、抗体がないことがわかったら予防接種を受けることが大切です。

◆参考:厚生労働省「風しんの追加的対策について」


妊娠前の準備④ むし歯治療

妊活やブライダルチェックで虫歯の治療を勧められた女性
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妊娠するとホルモンバランスの変化などから口内環境が悪化しやすいため、むし歯の自覚がある方は、妊娠前に治療することが望ましいです。自覚症状がない方も、チェックのために歯科を受診してみると良いでしょう。

歯の違和感……妊娠前に治療してみては?

歯に黒ずみなどが見え、痛みや違和感を感じる場合にはむし歯の可能性があります。初期のむし歯では、自覚症状がないことが多いのですが、歯に違和感を感じるということはむし歯がある程度進行した状態である可能性があります。

「歯周病を有する方は、そうでない方に比べて低体重児および早産のリスクが最大7倍にまで高くなる」との報告もあります[*3]。むし歯予防だけでなく、歯周病予防も兼ねて、妊娠前から歯科検診を受け、口腔環境を整えておくようにしましょう。

妊娠前の準備⑤ 健康づくり

妊活のためのブライダルチェックを済ませて晴れ晴れとした表情の女性

妊娠を望むなら、妊活中から自分の体に関心を持ち、適度な運動をして健康的な体づくりを心がけましょう。運動は自律神経やホルモン分泌にも影響します。

妊活中だけではなく、すべての人にも当てはまりますが、普段の生活に取り入れやすい運動はウォーキング。「仕事の帰りに1駅か2駅分歩く」「休日に夫と公園を散歩する」といった事は無理なく続けることができるのでおすすめです。

まとめ

ブライダルチェックをして妊活する子供を希望する女性のイメージ

妊活中に是非実践しておきたいオススメの5つのポイントをご紹介しました。妊活時だけでなく普段の生活でも同じようにやっておきたい準備や、妊活のタイミングのみに必要となる準備もあります。知識としては知っていても、案外忘れてしまいがちです。これを機に見直してみてはいかがでしょうか。


※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビ子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2020.03.04)

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