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【医師監修】時期別でみる「葉酸の必要量」 、主な働きと摂取方法

【医師監修】時期別でみる「葉酸の必要量」 、主な働きと摂取方法

女性の「葉酸の必要量」は妊娠前後で大きく変化します。ママと赤ちゃん、両方の健康のために大切なことなので、きちんとチェックしていきましょう。


この記事の監修ドクター
産婦人科医  岩木有里 先生
金沢医科大学卒。京都府立医科大学産婦人科、京都第二赤十字病院、済生会吹田病院を経て医療法人オーク会へ。東洋医学にも詳しく、 不妊治療での漢方薬処方も行なっている。産婦人科専門医、母体保護法指定医、日本東洋医学会会員、日本女性医学学会会員。

妊娠していない時の葉酸の必要量

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妊娠していないときの葉酸摂取量は、ほとんどの方が普段の食事などでクリアできているようです。ただし、頻繁に口内炎などの症状が起きる方は、葉酸が不足しているかもしれません。将来的に妊娠を希望している女性の方は、早い段階から葉酸摂取を意識しておくことがベターです。

妊娠していない時の葉酸の働き

妊娠してないときは、女性の美容と健康に不可欠な働きをします。核酸やタンパク質は、その合成のために多くの酵素を必要とします。葉酸はそれらの酵素を助ける働き(補酵素としての働き)で、細胞や粘膜の生まれ変わりをサポートしてくれるのです。具体的には、健康で美しいお肌には不可欠な栄養素と言えるでしょう。このほか、生まれ変わりのサイクルが早い粘膜を保ってくれます。舌や腸の粘膜を健やかにキープするのです。

ちなみに、お酒をよく飲まれる方は葉酸不足の傾向があります。可能な限り、葉酸を多く含む食べ物をおつまみなどにすると良いでしょう。もちろん、1番大切な事はお酒は適量にして、飲みすぎないことです。葉酸不足になると、口内炎など、粘膜に関係する部分に影響が出ますので、目安にしてみてください。

妊娠していない時の葉酸の必要量とは?

女性における、葉酸の1日の推奨摂取量は「240マイクログラム」です。これは、栄養バランスを考えた一般的な食事をしていれば、まず不足することのない量と言えるでしょう。ただし、出来合いの惣菜ばかり食べていたり、生の野菜やフルーツをあまり摂らない方の場合は不足する可能性があります。また、先ほどご紹介したようにアルコールの摂取量が多い方も不足がちな傾向があるようです。

葉酸は、ほうれん草や枝豆、アスパラガス、モロヘイヤほか、いちご、アボカド、マンゴー、ライチなどに豊富です。卵(卵黄)、牛乳、ナッツ類、納豆にも含まれています。それから、お肉ではレバー(肝臓)に豊富なので、スタミナをつける意味でもたまにレバニラ炒めなどは良いかもしれません。これらの食べ物・食材を意識して、不足しないように摂取してください。

妊娠前の葉酸の必要量

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「妊娠前」とは、具体的に妊娠を考えていたり、妊娠を計画していたり、妊活中である状態を指します。タイミング次第では、いつ赤ちゃんを授かってもおかしくない時期ですが、この時期は葉酸の摂取量を大幅に増やす必要があります。これについては、厚生労働省からも正式に通知が出ています。

妊娠前の葉酸の働き

妊娠前に十分な量の葉酸を摂取しておくと、「赤ちゃんの先天障害」に対して予防効果が期待できることをご存知ですか? 

赤ちゃんの先天障害の1つに「神経管閉鎖障害」というものがあります。胎児の神経管がうまく作られないことで、赤ちゃんに重い障害を残してしまう恐ろしい先天障害です。神経管閉鎖障害は、障害が現れる場所によって名前が変わります。脳に起こると「無脳症」となり、残念ながら多くの場合は死産か短命です。神経管閉鎖障害が脊椎に起きた場合には「二分脊椎」という状態になります。背中にコブがあるように生まれてきて、すぐに手術が必要です。必ずしも命を落とすわけではありませんが、高確率で障害が残ります。

しかし、妊娠前に葉酸をしっかり摂取しておくと、神経管閉鎖障害の発症リスクが抑えられます。これは厚生労働省だけでなく、多くの先進国でも認められているのです。日本では、2000年頃から厚生労働省より「妊娠前の女性は、普段の食事に加えてサプリメントでも葉酸を摂取してください」と通知されています。(*)

ところで、妊娠前とは言っても、具体的にいつから葉酸サプリメントの摂取を始めると良いのでしょうか?目安としては「妊娠の1ヶ月以上前から」となっています。ただし、狙い通りのタイミングにいかないのが妊娠です。「狙いの1ヶ月前から飲み始めればいい」といった思惑は外れがち。いつ授かるか分からない以上、妊娠(妊活)を決意された時から、葉酸サプリメントの摂取を始めたほうが良いでしょう。

参照:
厚生労働省 e-ヘルスネット「葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-002.html

妊娠前の葉酸の必要量とは?

妊娠前女性の、1日の葉酸推奨摂取量は「640マイクログラム」です。非妊娠時の2.5倍程度ですから大変多い量ですね。なお、640マイクログラムの葉酸を食事だけで取ろうとしてはいけません。厚生労働省は、「食事で240マイクログラム」+「サプリメント(や補助食品)で400マイクログラム」という摂取方法をすすめているからです。なぜわざわざサプリメントで摂取しなければならないかと言うと、これは「生体利用効率」が良いからです。つまり、サプリメントには体内で利用されやすい状態の葉酸が含まれているので、万が一の葉酸不足を予防することができるということですね。皆さんも、妊活を始める前にまず「葉酸サプリメント」を購入しておくと良いでしょう。

ちなみに「Japan Environment and Children's Study)」(JECS)が実施した調査(*)を見る限り、日本人の妊婦さんの90パーセント超が、妊娠前〜妊娠初期にかけて葉酸を適切に摂取できていない可能性も考えられます。葉酸の摂取で、防げる可能性も高い先天障害があるのに、これはとても残念なことですね。

(*平成15年〜平成20年実施:日本人の妊婦およそ10,000人対象:妊娠約1ヵ月前〜妊娠約3ヶ月目までの葉酸サプリメント摂取状況の調査)

妊娠中の葉酸の必要量

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妊娠中の葉酸摂取量は、妊娠前ほどは多くありません。しかし、おなかの中の赤ちゃんにすくすく育ってもらうために必要なので、引き続き不足しないように摂取してください。

妊娠中の葉酸の働き

おなかの中の赤ちゃんの成長に必要です。葉酸には細胞分裂を促す働きがありますので、胎児を始め、成長期のお子さんにも不可欠な栄養素となっています。特に、妊娠中期ではまだ、赤ちゃんの体が完全には形成されていません。したがって、葉酸を不足無く摂取する必要があります。一説によれば、妊娠中の葉酸不足は、低体重での出産や、早産の原因にもなると言われています。

それから、葉酸の摂取は「妊婦さんの貧血予防」にも不可欠です。妊婦さんが取り入れた葉酸は、赤ちゃんの成長へ優先的に使われますので、どうしても不足しがちになります。実は、人間の体は葉酸をある程度ストック(貯蓄)しておくことができます。貧血の症状が出ているという事は「ストックしてあった葉酸をすでに使い果たしている」という疑いもあります。ちなみに、鉄分不足も貧血の大きな原因です。鉄も、赤ちゃんの成長に優先的に使われますので「葉酸と鉄を不足しないように摂取すること」を心がけてください。

妊娠中の葉酸の必要量とは?

妊娠中の女性の、葉酸の1日あたりの推奨摂取量は「480マイクログラム」です。こちらは食事だけで480マイクログラムの摂取を工夫しても問題ないようですが、多くの方には難しいのではないでしょうか。したがって「食事で240マイクログラム」+「サプリメント(や補助食品)で240マイクログラム」という摂取方法の手軽で、現実的かもしれません。特に、妊娠初期はつわりがきつくてまともに食事できない方も少なくないようですので、やはりサプリメントを併用した方が良いと思われます。妊娠初期は、胎児の発育にとって大変重要な時期ですから、葉酸の摂取不足だけは避けなければなりません。

産後の葉酸の必要量

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産後は葉酸の量を「非妊娠時の頃に戻していいのかな」と思いがちです。しかし、授乳期間が終わるまでは、少し多めに葉酸を摂取してください。母乳で赤ちゃんを育てない方も、産後の体力回復の意味も込めて、多少多めに摂取しておくと無難かもしれません。

産後の葉酸の働き

葉酸は、産後のママの体の回復にも役立つと考えられます。産後に見られることがある脱毛症に対して、その改善を早めてくれる、と考える専門家もいるようです。それから、母乳で赤ちゃんを育てる方は、特に葉酸の摂取を意識されると良いでしょう。ママの摂取した葉酸が、母乳を通じて新生児に届くからです。赤ちゃんの元気で健やかな成長のためには、やはり充分な葉酸を摂取させることが望ましいので、ママがきちんと葉酸を摂るべきと言えるでしょう。

産後の葉酸の必要量とは?

産後の女性の、葉酸の1日あたりの推奨摂取量は「340マイクログラム」です。こちらは食事だけで摂取を工夫しても問題ありませんし、食材などを工夫すれば比較的難しくないかもしれません。ただし、産後の急激なホルモンバランスの変化などにより、胃腸に違和感があったり、下痢をしたり、しばらく吐き気を催したりといった方もいらっしゃるようです。食欲がない、食事の量があまり多くないという方は、サプリメント(や補助食品)を併用してください。赤ちゃんは母乳で育てる方は特に、サプリメント(や補助食品)を利用された方が無難かもしれません。

まとめ

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葉酸の摂取量は「非妊娠時、妊娠前、妊娠中、出産後」と4回のタイミングで変化します。まさに「妊娠前後までお世話になりっぱなし」という感じですが、実際にその重要性から葉酸を「赤ちゃんの栄養素」と呼ぶこともあります。ところで、葉酸の摂取量は不足することだけは避けたいのですが、少々多めに摂取する分には問題ありません。具体的には、1日の摂取量が「1,000マイクログラム」を超えなければ大丈夫です。毎日の食事メニューを工夫するとともに、葉酸サプリメントも併用して、赤ちゃんの健やかな成長と、ママの健康を守ってくださいね。


※このページの、葉酸の推奨摂取量は、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」を参考にしています

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