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2021年03月23日 17:45 更新

MCTオイルのダイエット効果が出ない理由と注意点を解説

エネルギーとして消費されやすいといわれているMCTオイル。しかし、とる量やタイミングを間違えると、逆に痩せにくくなる場合も。そこでこの記事では、MCTオイルをダイエットに役立てる効果的な方法と、とり入れる際の注意点を解説します。

MCTオイルとは?

MCTオイルのイメージ
Lazy dummy

MCTオイルでダイエットに成功しましたか?

※マイナビ子育て調べ  調査期間:2021年3月3日~3月11日 調査人数:143人(21歳~40歳以上の女性)の回答から抜粋

※ここで紹介したダイエット方法と結果は、個人の体験によるものです。記載の方法を推奨したり、結果を保証するものではありません。効果的な減量方法や結果の出方は個人により異なります。

MCTオイルとは、ココナッツやパームなどのヤシ科の植物に含まれる天然の成分「中鎖脂肪酸(=Medium Chain Triglyceride)」100%のオイルのことです。

中鎖脂肪酸とは?

中鎖脂肪酸とは、一般的な植物油よりも体内で消化吸収されるスピードが速く、肝臓でスムーズに分解されてエネルギーとなることから、体内に蓄積しにくい特性を持つと考えられている脂質成分のことです。

実際に、「体に脂肪がつきにくい」という表記が許可されている特定保健用食品の油にも、関与成分として中鎖脂肪酸が含まれています[*1]。

そもそも油は「脂肪酸」という物質がつながってできているのですが、そのつながりの長さに応じて特性が異なります。一般的に家庭でよく使用される植物油(サラダ油やオリーブ油など)は脂肪酸のつながりが長い「長鎖脂肪酸」に分類されます。

中鎖脂肪酸はそれらの油と比べると長さが半分くらいの脂肪酸で、ココナッツやパームだけでなく、母乳や牛乳などにも含まれています[*1]。

ココナッツオイルとはどう違うの?

MCTオイルとココナッツオイルは、中鎖脂肪酸の含有量が異なります[*2]。

ココナッツオイル:ココナッツの胚乳を原料として作られるオイルで、中鎖脂肪酸の含有量は60%程度

MCTオイル:ココナッツオイルなどから中鎖脂肪酸のみを取り出したオイル。中鎖脂肪酸の含有量は100%

中鎖脂肪酸を効率よく摂取したいという場合は、ココナッツオイルよりもMCTオイルを選ぶと良いでしょう。

MCTオイルはダイエットに役立つ?

体重を気にする女性のイメージ

MCTオイルの主成分である「中鎖脂肪酸」は、一般的な植物油の主成分である「長鎖脂肪酸」よりもダイエットを助ける効果が高いのではないかと期待されており、いくつかの研究が進められています。

体重や腹囲を減らすのに役立つ可能性

中鎖脂肪酸がオリーブオイルなどの長鎖脂肪酸よりも、体重や体脂肪の減少に役立ったという研究がいくつかあります。

例えば、19〜50歳の肥満の成人男女31人で調べた海外の研究では、中鎖脂肪酸を摂取するグループと、オリーブオイルのグループに分けて、減量指導とエネルギー制限を行う16週間のプログラムを実施しました。

その結果、オリーブオイルのグループでは平均1.41kgの減量だったのに対して、中鎖脂肪酸を摂取したグループはその2倍以上である平均3.16kgの減量に成功し、体脂肪量もオリーブオイルのグループより低下していたそうです[*3]。

この研究以外にも、オリーブオイルと比べて中鎖脂肪酸のほうが減量に効果的だったという研究は、いくつか報告されています[*4,5]。ただしどれも小人数・短期間で調べた結果なので、さらなる研究が待たれます。

食欲抑制効果が期待できる

また、中鎖脂肪酸には食欲を抑える効果も期待されています。

40代前後の肥満女性を対象としたある研究では、摂取エネルギーを2,200 kcal以下に制限した上で中鎖脂肪酸を毎日摂取したところ、空腹感を抑える効果が得られて体重も減少したのだそうです[*6]。

また別の実験では、中鎖脂肪酸とコーン油を摂取した肥満男性で比較したところ、中鎖脂肪酸のほうが食欲抑制に関わるホルモンである「レプチン」の分泌量が増えたことが確認されたそうです[*7]。

ダイエット以外の健康効果とは?

その他、中鎖脂肪酸にはダイエット以外にも様々な健康面への効果が期待されています。

■脳の病気の治療に活用されることがある
中鎖脂肪酸は、ブドウ糖を脳のエネルギー源としてうまく利用できなくなってしまった、認知症の人の代替エネルギーになる「ケトン体」を作り出す効果が高いと考えられています[*8,9,10]。また、認知症以外の脳の病気の治療に活用されることもあります[*11]。

■持久力が求められる運動の効率が良くなる
また、マラソンなどの持久力が重要となるスポーツでは、エネルギー源として体内に少ししか貯められない糖質よりも、もっとたくさんの量を蓄えることができる脂肪を利用したほうが、スタミナ切れを生じにくく有利だといわれています。

そこでエネルギーとして使われやすい性質を持つ中鎖脂肪酸を上手に活用すると、運動中のエネルギー不足防止に有効なのではないかと期待されています[*12,13]。

ダイエット中におすすめのMCTオイルのとり入れ方

計量スプーン
Lazy dummy

MCTオイルをダイエットに役立ててみたいという人に向けて、おすすめのとり入れ方を紹介します。

普段使用している油を置き換える

MCTオイルを単純にいつもの食事にプラスするだけでは、その分摂取エネルギーが増えてしまうので、いつも使っている油と置き換えて使うようにすると良いでしょう。

なお、通常の油は1gあたり約9kcalのエネルギーがあるとされていますが、中鎖脂肪酸の場合は6.97kcal/gと、1割ほど低いカロリーだったとする動物実験の結果もあります[*14]。ただし、それでも低カロリー食品というわけではないので摂り過ぎないように注意しましょう。

主食の前に食べる

脂肪蓄積を防止するためには、血糖値の急上昇を避けることが大切です。なぜかというと、血糖値が急激に上がると、脂肪合成を促進するインスリンというホルモンが過剰に分泌されてしまうからです[*15]。

血糖値の急上昇を避ける方法としては、野菜を先に食べる「ベジファースト」がよく知られていますが、その時に一緒に油も摂取するとより効果的に血糖値の上昇を緩やかにすることができたというデータもあります[*16]。

これはオリーブオイルで比較していたものですが、主食などの糖質を含む食品の前に野菜などと一緒にMCTオイルを摂取することで、血糖値の急上昇を防止するのに役立つ可能性があります。

MCTオイル摂取量の目安は1日小さじ1程度

中鎖脂肪酸について、現在の厚生労働省の食事摂取基準では1日の摂取量についての目安が定められていません。

そのため、まずは現在の日本人の植物性油平均摂取量(8.8g/日)[*17]の半分くらいである、小さじ1(4.6g)程度を置き換えるところから始めるのがおすすめです。

MCTオイル摂取おすすめの時間帯

MCTオイルには、エネルギーとして消費されやすいという特性があるので、その後就寝するだけの夜の時間帯に摂取するよりも、朝やお昼にとり入れると良いでしょう。その後の活動で効率よくエネルギーとして消費されます。

MCTオイルでダイエット効果が出ないとき考えられる原因と注意点

ダイエットのコツのイメージ

ダイエット中にMCTオイルをとるときに注意したいポイントをお伝えします。

とり入れるだけで痩せるというものではない

MCTオイルは、エネルギーになりやすいという特性はあるものの、この油をとり入れるだけで簡単に痩せられるというものではありません。エネルギーはあるので、摂りすぎるとカロリーオーバーを招きます。

厳格な糖質制限ダイエットをしている人がとりいれることはありますが、その理由は、糖質制限で糖質の摂取量が少ないと全体的にエネルギー摂取量が不足して筋肉分解を招いてしまう[*18]ので、それを防ぐためのエネルギー源としてMCTオイルは便利だからです(厳しすぎる糖質制限は健康を害する可能性もあります。食べすぎず減らし過ぎず、バランスのとれた食事が大切です)。

普通の食事をしている人がいつもの食事に追加するだけで痩せるというものではないので、注意しましょう。

生で使う

MCTオイルは、普通の調理油のように揚げたり炒めたりするときに使うと、一般的な油よりも低い温度で煙が出てきてしまいます。そのため高温で加熱することは避けて、サラダのドレッシングの油の一部をMCTオイルに置き換えるなど、生で摂取する方法を選びましょう。

カップ麺の容器や食品トレイに入れない

カップ麺の容器や食品トレイに使用されているポリスチレン製の容器にMCTオイルを入れると、容器が変形することがあるので注意しましょう。

まとめ

MCTオイルを含むココナッツ油
Lazy dummy

MCTオイルのダイエット効果と、おすすめのとり入れ方や注意点について解説しました。MCTオイルの主成分である中鎖脂肪酸には、速やかにエネルギーになるという特性がありますが、とり入れ方を間違えるとカロリーオーバーを招いてしまう恐れもあります。とり入れたい場合は、摂取量や時間帯に気を付けるようにしていきましょう。

(文:猪坂みなみ)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]一般社団法人 愛知県薬剤師会 特定保健用食品
[*2]日清オイリオ MCTサロン そもそも「MCT」ってなに?
[*3]Weight-loss diet that includes consumption of medium-chain triacylglycerol oil leads to a greater rate of weight and fat mass loss than does olive oil
[*4]Greater rise in fat oxidation with medium-chain triglyceride consumption relative to long-chain triglyceride is associated with lower initial body weight and greater loss of subcutaneous adipose tissue
[*5]Medium-chain triglycerides increase energy expenditure and decrease adiposity in overweight men
[*6]Value of VLCD supplementation with medium chain triglycerides
[*7]Impact of medium and long chain triglycerides consumption on appetite and food intake in overweight men
[*8]Ketosis After Intake of Coconut Oil and Caprylic Acid—With and Without Glucose: A Cross-Over Study in Healthy Older Adults
[*9]Lauric Acid Stimulates Ketone Body Production in the KT-5 Astrocyte Cell Line
[*10]長寿科学振興財団:エイジングヘルス「フレイル・サルコペニア予防の視点からの栄養管理」
[*11]てんかん情報センター ケトン食療法について教えてください 
[*12]日清オイリオグループ What is MCT
[*13]Effect of ingestion of medium-chain triacylglycerols on moderate- and high-intensity exercise in recreational athletes
[*14]Dietary Energy Value of Medium‐chain Triglycerides
[*15]e-ヘルスネット インスリン
[*16]日清オイリオ MCTサロン 健康的な食生活は「主食・主菜・副菜+油」:最新の栄養学から インタビュー
[*17]令和元年国民健康・栄養調査報告 第1部 栄養素等摂取状況調査の結果 P.80
[*18]国立健康・栄養研究所 減量の必要があります。食事量を減らすだけでやせられますか?

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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