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第10話 ゴリラ・コンプレックス

「さすが岡崎さん。力持ちだから助かるよ」
営業先で品出しの手伝いをさせられ、
汗だくになって会社に戻ってきた午後。
遅めのランチを食べに社食へ行くと、
比呂が一人で食事をしていた。
「比呂、いまランチ?」
「おう、奈緒も?」
「うん」
せっかくなのでトレイを持って、比呂の向かいに座る。

「婚活パーティ、どうだった?」
「ダメダメ。変な人ばっかりに当たってさ」
スッポン男に捕まったことや、
シークレットブーツ履いてた人を見つけたことを
面白可笑しく話していたら、比呂が自分の顔を指さした。
「それじゃ、俺のほうがマシじゃない?
誠実だし、よく働くし、お買い得だよ?」
「わたしと比呂じゃアンバランスじゃない」
だってわたし、ゴツイのがコンプレックスなんだよ。
ヒョロってあだ名がつくぐらい細い比呂と並んだら、
ますますゴリラに見られちゃう。
「男は中身で勝負! だぜ?」
可愛い顔で笑うのは知っている。
いいやつだってのも知っている。
それと、たぶん、わたしに好意を寄せてくれていることも。

でも、ゴツイからこその憧れがあって。
自分をお姫様みたいな気持ちにしてくれる人と
お付き合いしたい。
比呂が相手では、たぶん、そうなれないと思う。
だから、いつも冗談にして、ごまかしていた。
「慰めてくれてありがとね!」
「気が向いたら、いつでもどうぞ」
頷けないけど、救われる。
まだ女としての価値があると思わせてもらえる。
ずるいよね。ひどいよね。ごめんね、比呂。

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